表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第二章 学生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/135

28 冒険者活動 3

 ダミアン王子が言う。


「他ならぬエスカの頼みだ。僕が力になるよ。安心して、エスカ」


「殿下・・・・はい・・・お願いします」


 エスカトーレ様は頬を赤らめている。


 なるほどね・・・エスカトーレ様はダミアン王子の婚約者候補だと聞いていたが、エスカトーレ様はダミアン王子のことを憎からず思っていることが態度で分かった。後でミリアから聞いたのだが、エスカトーレ様が派閥活動をしているのも、ダミアン王子の婚約者として相応しいと認められるためでもあるのだ。王位を継ぐにしても、臣籍降下するにしても、多くの貴族から支持を得られていれば、それだけでポイントは高いからね。

 エスカトーレ様がダミアン王子の婚約者となれば、派閥のメンバーも恩恵が得られる。未来の王子妃殿下と懇意というだけで、就職なんかも有利になるし、私やミリアにとってみれば商売もやり易くなる。因みにレニーナ様は自領への資金援助が狙いだという。


「というか、今までそんなことも理解せずに活動してたの?本当にクララって、優秀なんだか、抜けてるのか分からないわ・・・」


「つい最近、貴族になったばかりだからね」


 そんな思惑もあり、冒険者活動にはダミアン王子が同行することになったのだが、早速リーダーシップを発揮していた。ダミアン王子は「勇者」というレアジョブなだけあって、剣も魔法も得意でかなりの戦闘力だ。それにもまして、カリスマ性がある。


「みんな聞いてくれ!!エスカトーレの魔法攻撃やレニーナの弓などが注目されがちだが、最前線で体を張って攻撃を防いでくれているゴンザレス以下の前衛部隊の存在も大きい!!それに、ネスカ、ミリア、クララが中心になって、裏方仕事をしてくれている。一人一人の働きが、この活動では重要なんだ!!」


 目立つメンバーだけでなく、裏方や目立たないが頑張っているメンバーを評価する姿勢は好感が持てた。単純なゴンザレスなんかは心酔している。


「ダミアン王子!!バンザーイ!!俺は命の限り付いていきます!!」


 それにダミアン王子は笑顔で答える。更に問題児の伯爵家の三人娘に対しても「戦闘に参加するだけがすべてではない。後方でしっかりと仕事をこなすことも大事だ」と説得し、冒険者活動から排除した。そして、三人娘たちは排除されたことも気付かず、率先してスラム街のボランティア活動をしてくれるようになった。


 ダミアン王子がリーダーとなってからは、冒険者活動は順調だった。王族であり、剣も魔法も一流で、カリスマ性もあるので、皆指示に従った。私にはない能力だ。世の中には完璧な人間もいるもんだと思っていたが、そうではなかった。

 これに気付いたのは、ダミアン王子が加入して一週間が経過した頃だった。


 その日ギルド脇の広場で、エスカトーレ様とダミアン王子が二人で、こっそりと何かをしていた。

 私は逢引き現場に遭遇したと思った。見てはいけないと思いつつも、こっそり覗くことにした。覗いてみて分かったが、どうやら逢引き現場ではなさそうだった。


「みんな!!耐えろ!!魔法部隊、一斉に放て!!」


「殿下、もっと感情を込めて、自信を持って指示してください」


「分かったよ、エスカ・・・でも不安だな・・・本当に僕で大丈夫かなあ・・・」


「殿下は勇者ですよ。みんなに慕われています。自信を持ってください」


「分かったよ。もう一度最初からやり直そう。それと本番は僕の側にいて、タイミングを教えてくれよ」


「もちろんです。片時もお側を離れませんわ。心配なさらずに・・・」


 何をやっているんだ?

 あっ!!ヤバい・・・エスカトーレ様と目が合ってしまった・・・・


 冒険者活動の後、エスカトーレ様から呼び出しを受けた。


「いつかはバレると思っていました・・・・正直に言います。他のメンバーにも言おうと思いますので、詳細は、今夜の女子会で」


「は、はあ・・・・」



 ★★★


 OL時代、女子会というものに全く縁がなかった。憧れはあったのだが・・・・

 なので、この世界で女子会を企画したのだった。メンバーは私、エスカトーレ様、レニーナ様、ミリアだ。最近オープンしたベル商会系列のホテルにお泊りする。表向きは、実際に宿泊して、貴族目線での感想を言ってもらうということにしている。


 まあ、女子会というと恋バナなんだけど・・・・


 夕食を終え、パジャマに着替えて、話を始める。早速エスカトーレ様が話始めた。


「クララさんには見られてしまいましたが、皆さんにお話しておきたいことが・・・・」


 エスカトーレ様はダミアン王子のことを話始めた。

 話はダミアン王子の生い立ちに遡る。ダミアン王子の母親は第二王妃で既に他界している。ダミアン王子は引っ込み思案で甘えん坊の性格だったのだが、ジョブ鑑定で「勇者」のジョブが判明する。そして、第二王妃が最後にダミアン王子に残した言葉が重くのしかかる。その言葉とは「勇者として相応しい行動を常に取りなさい」だった。


「ダミアン王子は勉学に励まれ、武術や魔法の鍛錬にも精を出されました。幼いころから一緒に勉学と魔法の鍛錬をさせてもらったのは、いい思い出です。しかし、殿下はいつも不安でした。母親の最後の言葉どおり、ちゃんと「勇者」をやれているか・・・人前では誰よりも「勇者」であろうとするのですが、私と二人っきりになったときは、『大丈夫?今のは勇者として相応しかった?』『この場合、どうしたらいいの?』といつも不安そうに聞いてくるのです。それが何とも・・・愛らしく・・・」


 エスカトーレ様は、恥ずかしそうに自慢の縦ロールを指でクルクルしながら話した。


「自分を頼ってくれているのは嬉しいのですが、それでも自信を持ってもらいたかったのです。なので、冒険者活動にお誘いしました。ネスカさんとクララさんが作ってくれた計画書のとおりに指示すれば、ほぼ完璧に指揮することができます。魔法以外、特に経験のない私でもできたので、殿下にもできるのではないかと思いました。すると思いのほか上手く行き過ぎました。それで、求められるリーダー像が高くなり、ダミアン王子はまた不安になって・・・・結局私が計画書を暗記し、指揮するタイミングを殿下にお教えするようになってしまったのです」


 完璧勇者と思っていたダミアン王子が口パクだったのは驚きだが、素直に私とネスカが作った計画書が評価されたのはうれしい。魔物の発生分析や物資の調達などは私が、実際の戦術についてはネスカが担当していたのだが、言うことさえ聞いてくれれば、誰がリーダーをやっても上手くいくと自負しているのだ。

 ただ、話をダミアン王子に戻すと依存体質だ。自分では物事を決められないタイプで、今はエスカトーレ様に依存しきっている。少し質問してみよう。


「エスカトーレ様、もし結婚されたら、それはそれで大変じゃないでしょうか?いつまでたっても頼りっきりでは・・・」


「殿下は私を亡くなられたお母様と重ねているのでしょうね。でもそれはそれで・・・はい・・・」


 エスカトーレ様の顔は真っ赤だ。

 レニーナ様も話始める。


「エスカトーレ様のお気持ちはよく分かりました。だから皆でエスカトーレ様の思いが届くように頑張りましょう!!それで話は変わるのですが、私にも思い人が・・・」


「それって、弓術教官のイカルス教官でしょ?それはそうとクララはどうなの?ゴンザレス様とは?他に気になる人はいないの?」


 ミリアに話を遮られたレニーナ様は不機嫌だった。


「ゴンザレスは頑張っているけど、算術が少し心配ね・・・・気になると言えば、ネスカかな?あれこれ何でもできるけど、何かを隠しているようで、もしかしたら本当にスパイじゃないかって思うし・・・」


「こりゃあ駄目だ。そういう気になるじゃないんだよね・・・・」


 するとレニーナ様は強引に話始めた。


「それでは私とイカルスとの関係について、教えて差し上げますね。出会いは・・・」


 レニーナ様も恋バナをしたかったのだろう。


 ただ、レニーナ様のお話は夜更けまで続き、私たちが寝不足になったのは言うまでもない。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ