表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第二章 学生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/135

26 冒険者活動

 Cランク相当であるブラックシープの群れを討伐し、私は早速、魔物の解体をしようとしていたのだが、レベッカさんに止められた。


「クララ嬢、少し話さないか?それと他の者は解体の練習だと思って、各自やってみてくれ」


 一体何を言われるのかと少し不安になった。特にミスらしいミスもしていないし、戦闘もほぼ完璧だったと思う。


「多分これから一番苦労するのは、クララ嬢だと思ってな・・・少し戦術の基本でも指導してやろうと思ったのだ」


「そ、そうですか?それではお願いします」


 レベッカさんから指導を受ける。

 冒険者パーティーには、大まかに個人個人の役割があるそうだ。このパーティーでいうと、ゴンザレスは敵を正面から受け止めて、味方を攻撃から防ぐタンクという役割だ。エスカトーレ様は魔法攻撃に特化したメインアタッカー、レニーナ様は弓をメインにしたサブアタッカーだという。


「ゴンザレスは不器用だが、タンクとしてはトップクラスだ。愚直な性格がタンク向きだ。そしてメインアタッカーのエスカトーレ嬢は言わずもがな、レニーナ嬢も並みのパーティーなら十分メインアタッカーとしても活躍できるだろう」


 また、ミリアとネスカは役割を当てはめるなら、周囲の状況に合わせて、臨機応変に対応するバランサーという役割になる。


「ミリア嬢も思いのほか優秀だし、ネスカ殿は実力の半分も出していない気がするが、それでもこの二人がいれば、どんなパーティーに入っても、パーティー戦力の底上げになるだろう」


 何の問題もないんじゃないの?むしろ、超優秀なパーティーでしょ?


 そんな思いが顔に出ていたのだろう。レベッカさんに指摘される。


「このままのメンバーで活動を続けるのなら問題はないだろう。だが、このメンバーに派閥のメンバーが加わるのだろ?」


「そういうことになってます」


「だったらかなり苦労するだろう。困ったときは遠慮なく相談に来るといい」


 私はレベッカさんの言葉をこのとき全く理解していなかった。それを思い知らされたのは、派閥の他のメンバーを加えて活動を始めてすぐだった。



 ★★★


 最初に冒険者活動に参加したのは、将来騎士団や魔導士団への就職を希望する者たちだった。この者たちは、エスカトーレ様に取り入ろうという以外に別の思惑もあった。冒険者活動を定期的に続けて行けば、Dランク冒険者になれるのだ。Dランクになると騎士団や魔導士団への就職に有利で、将来の為にどうしても取得しておきたいのだという。

 そのような事情だから、やる気はあるのだが・・・


「おい!!そこ!!出過ぎるな!!」

「エスカトーレ様が魔法を撃つので早く退避を!!」

「そこ!!勝手に魔法を撃たないで!!せっかく1箇所に集めたのに・・・」



 いくら綿密に計画を立てたところで、言うことを聞いてくれなければ上手くいくはずがない。好き勝手動くので、怪我人が多く出るのに成果は、当初のメンバーだけの活動の3分の1だ。それなのに上から目線で指示してくる。


「おい!!そこの女二人。早く解体しておけ。戦闘で役立たずだったんだから、それぐらいやれよ!!」


 私が戦闘で役立たずだったのは認めるが、ミリアはバランスを取ったり、怪我人を後方に搬送したり、何とか戦線を維持しようと必死だった。ミリアがいなければ、とっくの昔に敗走していてもおかしくはない。流石のミリアもこれにブチキレた。


「騎士爵の勘違い野郎が偉そうに!!実力がないんだから、アンタこそ、立場分かってるの?」


「なんだと生意気な!!俺の家は代々国に仕えてきた誇り高い騎士の家系だ!!女といえども容赦はせんぞ!!」


 喧嘩になってしまい、数秒でミリアがノックアウトしてしまった。

 当然、そこで本日の活動は中止になった。


 次の日、レベッカさんに相談しようとしたら、すでに私たちに同行することが決まっていた。


「早速、ゴンザレスが泣きついてきた。話は聞いたから、ゴンザレスには助言してやった。これも奴にとっての試練だ。前衛職の者の扱いはゴンザレスに任せてくれ」


 早速、本日のブリーフィングを始めたのだが、ゴンザレスが吠える。


「前衛職の者に告ぐ。指示を聞かない者は今すぐ前に出ろ!!俺が気合いを入れてやる!!」


 これに3名の学生が反応した。


「何を!!親の七光りが偉そうに!!」

「そうだ!!お前は大したことないだろ?」

「戦闘でも守ってばかりじゃないか!!」


「能書きはいい。文句があるなら掛かってこい!!」


 私はゴンザレスたちを止めようと動き出したが、レベッカさんに止められた。


「ゴンザレスには、殴ってでも言うことを聞かせろと言ってある。本当に殴り合いをするとは思わなかったがな・・・」


 レベッカさんによると、立派な騎士になるには、戦闘力だけでなくリーダーシップも必要だと指導したそうだ。不器用で単純なゴンザレスは「殴って()()言うことを聞かせろ」を変に受け止めて、「殴って言うことを聞かせろ」に変換してしまったようだ。


 もめごとはというと、こちらもあっという間にゴンザレスに投げ飛ばされ、三人の学生はフルボッコになっていた。これで前衛部隊は険悪な雰囲気になると心配していたのだが、そうはならなかった。


「申し訳ありません、ゴンザレスの兄貴!!」

「兄貴についていきます!!」

「みんな!!ゴンザレスの兄貴に恥を掻かせるなよ!!」


「「「オオオー!!」」」


 なぜか急にチームワークが出て来た。


「前衛職は単純な者が多いんだ。力を示してやれば言うことは聞く。これで「死んでも敵を通すな」と指示すれば、命尽きるまで体を張ってくれると思う。愚弟にしてはよくやったと褒めてやりたい」


 そうだった・・・レベッカさんも脳筋タイプだった・・・・


 前衛職はゴンザレスのお陰でまとまったが、魔法職は魔法職でまとめるのに苦労した。実力を見せようとエスカトーレ様が大魔法を放ったのだが、それがよくなかった。あまりの実力差に委縮してしまったのだ。自信を無くして、魔導士を止めると言い出す者もいたくらいだ。


 結局、余程の相手でないかぎり、エスカトーレ様は指揮に徹するということになってしまった。メインアタッカーの攻撃が封じられた形で戦力ダウンだが、派閥のためを思うと仕方がないと割り切っていた。


 何とか形にはなったのだが、苦労はまだまだ続くのであった。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ