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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第二章 学生編

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22 派閥の活動

 定例会で派閥内の承認を取った後、学園側の許可も下りて、補助金も支給されることになった。

 ここから私は多忙を極めることになってしまった。


 まず学園側への申請資料も定期報告も私の担当になってしまった。そして、私の案は学園だけで話が終わらず、商業ギルドや冒険者ギルドも巻き込むことになり、それぞれに説明資料を用意する羽目になった。用意する資料も微妙に違い、学園側には社会貢献や学園の威信が高められることを中心に資料を作成したが、商業ギルドには、如何にして利益が上がるかといったことを中心に資料を作成した。

 資料を作成した私が言うのもあれだが、同じプロジェクトとは思えない。


 ここで私に誤算が生まれた。いつもサポートしてくれるミリアがサポートできなくなってしまったことだ。というのも、商業ギルドに説明に行った際、出資する条件が専属のスタッフを用意することだった。当然、私かミリアなのだが、ミリアの希望でミリアが商業ギルドの担当になってしまった。元々、ミリアも孤児たちを使ったビジネスを考えていたので、仕方がない。

 となると、他のメンバーにサポートを頼もうと思ったのだが、気軽に頼める相手なんていない。


 エスカトーレ様は代表者として、積極的に挨拶回り、貴族との折衝で忙しそうだし、レニーナ様は派閥や学園内の協力者集めで手一杯だった。それにミリアがいなければ、他のメンバーとほとんど会話できていなかったしね。

 ゴンザレスが見かねて、助力を申し出たが、これが逆効果だった。二度手間、三度手間になり仕事が増えていく。

 ゴンザレスが申し訳なさそうに言う。


「すまん・・・俺には無理のようだ。だから、いい人材を連れてきたぞ!!」


 ゴンザレスが連れてきたのは、ロイター王国からの留学生ネスカだった。

 私はロイター王国にいい印象を持っていなかったが、この状況では背に腹は代えられないので、私のサポートをお願いすることにした。

 しかしこれが私を助けることになった。ネスカは恐ろしいほど優秀だった。私が資料を見せて少し説明しただけで、事業内容をすべて理解した。


「つまりこのプロジェクトの目的は、孤児たちやスラムの人たちの自立支援ということだね。柱は大きく分けて3つ。雇用の確保、教育支援、一時的な援助だね?」


 そのとおりだ。

 まずはミリアが責任者をしている孤児たちによる屋台営業だ。貴族家を中心にラーメンの屋台を引いて回り、販売する。ベル食堂で食べたり、屋台で食べるのが憚られると思っている貴族は意外に多く、それらをターゲットにしたものだ。貴族にとってみれば、屋敷に呼んでラーメンを食べるだけで、「孤児たちを支援している立派な貴族」という印象が世間に与えられる。味も美味しいし、社会貢献もできるとなれば、倍の値段でも売り上げが上がっている。

 そして、こちらもミリアの発案なのだが、大規模な缶詰工場をスラム街に建設することが決定した。これは流石に多くの資金が動くので、ギールス商会の会長とお父様を中心とした商業ギルドの評議員が担当することになった。だが、その雑用が私に回ってくるので、いくらスキル持ちの私でも体力的にも魔力的にも厳しい。


 教育支援については、学生と冒険者ギルドが主体となる。

 簡単な読み書き、計算は学生が中心となって指導する。将来、冒険者になる子供たちも多いので、希望者には、基礎的な訓練をさせることにした。冒険者の死亡率は、他の職業に比べて格段に高く、特に若手冒険者の死亡率が高い。それを少しでも減らすために、ギルドが中心となって基礎教育をしようということになったのだ。

 特に活躍したのは二人で、一人は魔法のスペシャリストのエスカトーレ様だ。魔法適性のある子どもたちに簡単な魔法を教えている。美少女で、特徴的な縦ロールなので、「クルクルのお姉ちゃん」と呼ばれ、人気を博している。


 そして意外なのはゴンザレスだった。

 近衛騎士団長の息子との模擬戦を観戦していた子供たちも多く、最初から人気があった。教え方が上手いというのではないが、とにかく熱い体力馬鹿なところが、ウケる子供にはウケた。

 指導を見に来たレベッカさんが言った。


「小手先の技術など、戦場ではほとんど役に立たん。最後に頼れるのは気力と体力だ。それを教えているのだから、無駄とは思わん。ゴンザレスにそのつもりはないだろうが、あのままの指導でいいだろう」


 走り込みと筋トレくらいしかやらせていないが、ギルマスのレベッカさんが言うのなら、いい指導なのだろう。


 最後に一時的な援助だが、これは私、ミリア、エスカトーレ様、レニーナ様以外のメンバーが中心になって担当してくれている。ベル商会でも週に1度は炊き出しをしていたのだが、王都の貴族たちに声を掛けて、資金や人を援助してもらうことになった。一見して、貴族にメリットはないように思われるが、コスパがいい社会貢献システムだ。王都には多くの貴族が居住しており、持ち回りでやれば半年に一度くらいになる。そこまで大きな負担になることがない割には、社会貢献に積極的な貴族という名誉が得られるので、資金提供をしてくれる貴族は多い。逆にしない貴族が珍しいくらいだった。


 ここでネスカは提案してきた。


「状況を見る限り、クララさんの負担が大き過ぎるね。だから、各部門に責任者を指定して、報告書を提出してもらうようにすれば、どうだろうか?商業部門はミリアさん、炊き出しの関係はその日担当した者、教育部門は僕が引き受けよう」


 それは私も考えたことがある。だけど私の悪い癖で、人に頼るのが苦手なのだ。そして、頼む相手はすべて私よりも爵位が上だ。


「それは分かっているんですが、頼みづらくて・・・・」


「だったら僕が話を通してあげるよ」


「本当ですか?それならお願いします」


 これは、我ながらいい判断だったと思う。ネスカにお願いして、本当に良かった。私の業務が劇的に改善された。私は上がってくる報告書や領収書をまとめるだけでよくなった。私の不得意分野である人との交渉の類はすべてネスカがやってくれた。


 ネスカは人当たりもいいし、頭の回転も速い。

 ロイター王国の貴族でなければ、多くの有力者から声が掛かるだろう。国の失態を挽回するために送り込まれただけはある。

 だが優秀過ぎるので、そこは逆に不安な面でもあるのだが・・・

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― 新着の感想 ―
 ネスカが優秀なのは拾い物ではあるかもしれないけど、クララの能力にロイター王国が強引に連れていこうとするのではと心配になります(^^;a
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