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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第二章 学生編

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14 入学へ

 私は12歳になった。

 大きな変化は・・・それなりにあったな・・・


 まず、アルバイト先が増えた。ギールス商会長がギルマスを務める商業ギルドにも、週に一度、出勤することになった。もちろん、冒険者ギルドへのアルバイトは継続中だ。商業ギルドは冒険者ギルドほど、酷くはなかったが、非効率なことが多くあり、徐々に改善していった。偶然というか、なんというか、帳簿整理や倉庫整理をしていく過程で、不正を発見してしまった。

 その後、私は何もしていないが、近年では最大規模の汚職事件が発覚してしまったようだった。


 この件の功績と日頃の貧民や孤児に対する支援活動が評価され、お父様はなんと男爵に陞爵し、商業ギルドの評議員に選出されたのだった。男爵となれば一代限りの騎士爵とは違い、子供に爵位を受け継ぐことができる。晴れて、真の貴族になったのだが、面倒事も多い。

 それなりに貴族と付き合わなければならないし、もし戦争があれば、形だけでも人員を出さなければならない。戦争はないし、もしあっても冒険者に依頼すればいいようなのだが、問題は貴族との付き合いだ。流石のお父様とお母様も、ストレスが溜まっているようだ。


「こんなに着飾って、大して旨くもない見栄えだけの料理を摘みながら、愛想笑いを浮かべるなんて、耐えられないよ。思いっきり、目の前でラーメンを啜ってやろうかと思うくらいさ」


「ムーサ、耐えてくれ。一通りの挨拶周りが終わったら、徐々に付き合いを減らしていくからな。レベッカ様の関係でドナルド侯爵家、ギールス商会の関係でギールス子爵家との関係は切れないだろうが、この二つは礼儀にうるさくないから、問題はないだろう」


「レベッカちゃんもギールスの爺さんも、よく食堂に来てくれるからね。まあ、もうしばらく我慢してみるよ」


 まあ不満もあるが、家族の仲もよく、幸せといえば幸せだ。



 ★★★


 そんなある日のこと、夕食の後の団欒中にお父様が話始めた。


「みんな聞いてくれ。実はクララをケーブ学園へ入学させることになった」


「えっ・・・」


 ケーブ学園、それは王都ケーブの名を冠した学園で、ルータス王国全土から将来の国を背負う若者を集めた教育機関だ。対象が12~15歳の基礎課程、それ以後の研究者用の専門課程などがある。まあ、この程度は常識なのだが、なぜ私が?


「男爵になったことで、次代の当主を育成する義務が出てきた。これはムーサとも話したのだが、ベル家の当主をクララにするかロキにするか迷うところだ。ロキのジョブがジョブだからな・・・・」


 ロキのジョブは「武具職人」だった。武器や防具、簡単な魔道具の制作に特化したジョブで、全体的な管理をする商会長よりも、現場で、ものづくりをしたほうが、商会のためにも本人ためにもいいのではという思いからだろう。因みに私が前世の知識で「十徳ナイフ」という多機能ナイフのアイデアだけ出したところ、たちどころに作ってしまった。そして、ちょうど同時期に発売した缶詰製品とセットで売り出す形で大ヒット商品を生み出してしまったのだ。缶詰に缶切りは必要だしね。それと商品名は「万能ナイフ」だけどね。


「僕はどちらでもいいよ。お姉様と一緒にベル商会を盛り立てていくことに変わりはないからね」


「そうだね。だが、ロキの入学も考えているよ。ダメなのはどちらも入学させないことだ。なったばかりの貴族が当主候補を入学させないなんて、できないからね・・・」


 一応規定では、当主となるには例外的な措置を除き、ケーブ学園への入学が必須であるのだ。


「まあ、嫌と言えないのなら入学するしかないわね。でもお父様、学費は大丈夫なの?」


「大丈夫だ。そこまで高くはないからね。ただ、高額の寄付を求められているよ。本当にこの国の役人どもは、商人よりも強欲だからな・・・」


 そんなこんなで、私のケーブ学園への入学が決まってしまったのだ。


 入学が決まってしまったので、準備をしなければならない。私はこれまで、商家の娘として生きてきたので、貴族の作法なんて全く知らない。誰かに教えてもらう必要はあるが、知り合いの貴族なんてレベッカさんとギールス会長しかいないので、レベッカさんに相談することにした。


「クララ嬢も入学するのだな!!ならば当家でクララ嬢の指導はしてやろう」


「そ、そんな悪いですし・・・費用だって・・・」


「気にするな、我が愚弟も入学するからな。愚弟の為に家庭教師を雇っているので、そのついでと思えばいい」


「それでは、お言葉に甘えます」



 ★★★


 次の日からドナルド侯爵家で指導を受けることになった。

 ドナルド家を訪ねるとすぐに部屋に案内された。そこには赤髪の少年がいた。


「僕はゴンザレス・ドナルド、クララのことは姉上から聞いている。困ったことがあれば、僕を頼るといい」


「クララ・ベルです。よろしくお願いします」


 ゴンザレスは私と同じ12歳だが、かなり大きな体格だった。日本の中学校や高校にゴンザレスがいれば、8割の確率で「赤ゴリラ」と呼ばれるだろうな。


 それから家庭教師が入ってきて、指導を受ける。基本的な礼儀作法、目上の貴族との接し方、簡単な読み書きや計算を習う。勉強関係は日本で大学まで行った私には簡単な内容だし、作法も覚えれば済む話だった。家庭教師も認めてくれる。


「クララさんは優秀ですね。多少ぎこちないところもありますが、慣れれば問題ないでしょう。それに比べてゴンザレスお坊ちゃまは・・・・」


 ゴンザレスは想像を絶するほど不器用だった。計算や読み書きはケアレスミスが多いし、作法も名門の貴族家で育ってきたとは思えないほど、ミスを連発する。

 そして社交ダンスは最悪だ。私は何度も殺されかけた。もう社交ダンスではなく、柔道の乱取りだと思えるほど投げ飛ばされた。無駄に力だけは強いからね


「ゴンザレス様!!お止めください!!クララさんが死んでしまいます!!」


 投げ飛ばされた私は回復魔法を掛けられ、休憩をさせられる。

 私が休んでいるとレベッカさんが見舞いにやってきた。


「クララ嬢、すまなかった。クララ嬢を誘ったのは善意だけではないのだ・・・ゴンザレスにいい影響が出ればという打算もあった・・・・」


 レベッカさんの話によると見てのとおり、ゴンザレスは不器用で使用人からも馬鹿にされているという。偶々通りかかった使用人の雑談が、耳に入る。


「ゴンザレス様は酷いわね・・・レベッカ様やジョージ様と同じ血を引いているとは思えないわ」

「本当にね・・・おどおどしているし、ドナルド家が名家であるだけに扱いに困るものね・・・」


 レベッカさんが言う。


「ゴンザレスは素直でいい子なのだが、少し不器用なのだ。報酬は出す。私たち家族もトップの成績は期待していない、せめて人並みの成績が出せるように策を考えてほしい」


 名家に生まれたら生まれたで、辛いこともあるのだろう。優秀な兄やと姉と比べられたら卑屈になってしまっても仕方がない。


「分かりました。できる範囲で指導をさせていただきます。それと報酬はいりません。このような素晴らしい教育を受けさせてもらったことのお礼だと思ってください」


 また面倒ごとに巻き込まれた。

 だが仕事であれば、結果は出さないとね。

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なんかずっといいように使われてんなー
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