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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第一章 プロローグ

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12 新規事業 4

 私の分析は正しく、不正している者がいるという前提で、分析を始めたらすぐに状況が把握できた。手口は二つあった。一つは、ベル商会と冒険者の混成部隊が現地に到着する前に対象の魔物を狩る方法だ。どんなに早くても、情報を商会で共有してから、クエスト発注までに3日は掛かる。その間に対象の魔物を狩ってしまうのである。


 もう一つの手口はもっと悪質だ。

 普通に採取クエストに同行し、素材をかすめ取る方法だ。やり方は様々で、実際は討伐して素材を採取しているのだが、ギルドには捜索したが発見に至らなかったと虚偽の報告をする手口、実際に討伐したが、激しい戦闘の結果、必要な素材は使い物にならないくらい損傷したと報告を上げる手口などがあった。

 そして中には、盗賊団を装って採取した素材を強引に奪い取る手口まであった。


 資料をまとめて、お父様とレベッカさんに報告をした。

 レベッカさんが言う。


「なるほど・・・こちらのBランク冒険者のクサールとベル商会のニオールが兄弟で、クサールは傭兵団「ハイエナ」の団長か・・・まず、間違いないな」


「そうですね。クエストに参加してかすめ取る場合、この二人が必ず参加していますからね」


「だが、あくまでも状況証拠だ。となると・・・・やられたらやり返す。逆に罠に嵌めてやろう」



 ★★★


「お姉様!!すごく奇麗です!!いつも奇麗ですが、今日は格別です」


 ロキが大興奮して言う。

 私は今までにないくらい豪華なドレスに身を包み、無駄に光るネックレスや指輪などで飾りつけられている。


「ロキ、やめてよ・・・恥ずかしいんだから・・・でも本当に貴族令嬢みたいよね?」


「何を言っているんだい?一応、我が家も騎士爵だから貴族だろ?」


 お母様にツッコミを入れられた。そういえば、私も貴族の娘だった。


 そんなことは置いておいて、なぜ私が着飾っているかというと、ある作戦を実行するためだ。資料等の分析結果から、クサールとニオールの兄弟が怪しいということが分かり、裏付け捜査を進めていた。その中で、罠を張ったところ、見事に引っかかったのだ。

 最初にやったのは、意図的に間違った分析情報を流し、無駄足を踏ませ続け、1ヶ月前にはかなりの損害を出させた。やったことは、ミスリルリザードというミスリル鉱石が採取できる魔物の群れの討伐クエストを発注した。当然、クサールたちは飛び付き、自身が団長を務める傭兵団「ハイエナ」を総動員して、資料に記載されているポイントに赴いた。しかし、その情報は大ウソで、大量の人員を総動員しても、まったく成果を上げられなかった。


 怪しまれてはいけないので、クエスト前日に地竜が大量発生したとの、緊急クエストが発令され、ミスリルリザードの討伐は延期となったことにした。もちろん、地竜の大量発生は予想していたので、何食わぬ顔で、ベル商会は地竜の素材を購入することができたのだが・・・・・


 そのような失敗続きの状況なので、クサールたちの資金繰りは悪化し、なにふり構わずに違法行為もやってくることが予想できた。なので、今回の作戦は小国家群にあるサカーズ共和国の名家の娘たちがお忍びで素材採取のクエストに着いてきたとの情報を流した。そしてクサールたちは、素材採取後に素材はおろか娘たちも誘拐して、身代金をせしめようと画策したのだった。これは騎士団長のフレッド様直属の諜報部隊が仕入れた情報で、クサールたちの背後には神聖ラドリア帝国の諜報機関が関与している疑いがあり、協力してくれることになったのだった。

 今回、自ら囮となる作戦だが、心配はしていない。心強い味方がいるからね。


 しばらくして、金髪のロング、スラっとした、いかにも貴族令嬢といった女性が現れた。奇麗なドレスと金ピカの装飾品を身に着けたのは・・・


「クララ嬢も見違えたなあ!!私は少し落ち着かないが・・・」


 カツラで自慢の赤髪を隠したレベッカさんだった。

 当初はお父様も反対していたが、レベッカさんも同行することになり、渋々了承したのだった。


 この日のお目当てはミスリルリザード、前回延期になったクエストを再発注した形にした。ベル商会の担当者はニオールだった。私は貴族の娘を装いながらニオールを観察する。心なしかそわそわしてるようで、偶に誰もいない森に向かってハンドサインのようなものを送っていた。


「クララ嬢、気になるかい?だが、我慢して知らないふりをしていてほしい。諜報部隊からの報告によると兄のクサールは、50名の部下を引き連れて、近くで待機しているようだ。私たちがミスリルリザードを討伐して帰還する途中に襲う予定のようだ」


「分かりました」


 それから目的の場所に到着し、無事冒険者がミスリルリザードを仕留めた。癖で解体しようとしてしまったところをレベッカさんに止められた。慌てて、貴族令嬢っぽく誤魔化す。


「すぐに近寄ってはダメよ!!死んだふりをしている場合もありますからね。解体や何かは冒険者に任せればいいのです」


「ごめんなさい、お姉様。ミスリルが手に入れば大儲け間違いなしと思って、興奮してしまいましたわ。これで、私たちものし上がれますわね?」


「そうね。予算を抑えるために護衛を減らし、冒険者もBランクではなく、Cランクにしましたからね」


 これにニオールはほくそ笑む。

 もちろん、私たちは姉妹でもないし、連れてきている冒険者もBランクとAランクの者だ。それに周囲には諜報部隊も配置しているし、すぐに対応できる位置に騎士団も配置している。


「お姉様、早く帰りましょう。素材が手に入ったのだから、こんな場所にもう用はないわ」


「そうね。冒険者と商人たち!!早く素材を採取しなさい!!こっちは暇じゃないのですよ!!」


 レベッカさんは、ワザと上から目線で命令をした。これも作戦のうちだ。


 素材採取を終えた帰り道、予想通り、盗賊たちに囲まれた。


「おい!!お前ら!!積み荷を全部置いていけ!!そうすれば命だけは助けてやる!!」


「おい!!冒険者!!何とかなさい!!護衛料分の仕事はしなさい!!」


 レベッカさんが叫ぶと事情を知っているAランク冒険者が、話を合わせる。


「おいおい、こんな人数じゃ無理だ。それに散々俺たち冒険者を馬鹿にしやがって・・・もういい、俺たちはこの仕事を降りる」


 ここでニオールも話に乗ってくる。


「どうか命だけは・・・私たちはしがない商人です・・・お助けを・・・・」


「そうか。じゃあ、素材とその貴族の娘さんたちをおいていけ。そうすれば、冒険者と商人は助けてやる」


「分かりました。積み荷とこちらのお嬢さん方は差し上げます。冒険者の皆様、この際、口裏を合わせましょう。必死で抵抗したけど、人質を取られ、止む無く撤退したとね」


 もうここまで来たら、言い逃れはできないな。


「こ、こわいわ・・・か弱く、可憐な私たちをどうするつもり?やめて!!」


 レベッカさんはまだ、演技を続けている。

 堪り兼ねたAランク冒険者の男が言う。


「ギルマス、いつまでやってんですか?さっさとやっちまいましょうぜ!!」


「もうちょっと、貴族ごっこを楽しみたかったんだがな。まあいい・・・」


 レベッカさんはドレスとカツラを脱ぎ捨て、剣を抜き構えた。


「武器を捨てて、投降するなら命だけは助けてやる!!」

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