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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
最終章

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117 挫折した聖女

 ~エリザベス・クレイラー視点~


 私は、エリザベス・クレイラー17歳。神聖ラドリア帝国クレイラー公爵家の二女で、自分で言うのもアレですが、金髪青目の美少女です。これは私の主観ではなく。周囲の評価です。

 それに私のジョブは「才女」という何でも平均以上にできるジョブで、帝国学園を卒業する時には多くの勧誘がありました。主なものを挙げると、属国の王妃候補、上級文官、聖騎士団、上級神官などでした。正直、迷っていました。そんな時に皇帝陛下から呼び出しを受け、そこには聖騎士団長、お父様もいて、聖女として活動してほしいと言われました。詳しく事情を聞くと使命感に駆られました。


 現聖女であるアイリーンは、実は魔族や獣人たちの工作員だったらしく、ジョブ偽装のスキルで国王陛下や聖騎士団長までも騙していたのです。そして、悪魔に魂を売ったアイリーンは更に暴挙に出ました。


「君も知っていると思うが、「悪魔の襲撃事件」もアイリーンが関与しているんだ。エランツ派の総本山を襲撃するなんて、悪質すぎる。こちらも部隊を派遣しているのだが、裏切り者どもに邪魔されて、上手くいっていないのが現状だ。

 世界は危機的状況だ。無理なお願いだとは思うが、私たちを救ってもらえないだろうか?聖女として」


 聖騎士団長が言うには、最近脱退したテンプル騎士団もアイリーンと合流しているそうです。彼らは悪魔の手先のアイリーンに洗脳されたようでした。

 私は、自分の才能がこの危機を救うためにあるような気がして、考えるまでもなく即答しました。


「分かりました。私が聖女になり、世界の危機を救います」


 そうは言ってみたものの、何をどうするか分からなかったので、聖騎士団長の計画に沿って行動することにしました。とりあえず、国内を巡り地道に慈善活動を行いました。魔物を討伐したり、炊き出しをしたり、病人や怪我人の治療も行いました。すべて私はそれなりにできますからね。


 そんな活動も1年を迎え、私は国内を離れ、国外に出て活動することになりました。1年間地道に聖女として活動したことで、多くの国民から信頼され、自他ともに認める聖女になったと思います。今後はこの活動を世界的に広め、協力者を集めて、卑怯な魔族やその手先であるアイリーンを討ち倒すことを目標にまずは、小国家群を目指しました。

 私にとって有難かったのは、多くの親衛隊と呼ばれる協力者がいたことです。中でも幼馴染のプラークは、エリート中のエリートである聖騎士団を辞めてまで、ついて来てくれました。彼には親衛隊長をしてもらうことになり、本当に頼りになりました。


 しかし国内では順調だった活動も、国外では全く相手にされませんでした。原因を探ると聖女がそこらかしこで誕生しているのです。更に調査すると小国家群に属するルータス公国のベルシティという都市が、聖女の認定書を乱発しているということが分かりました。正義感の強いプラークは言いました。


「エルザ様、こんな奴らは許せません。神聖ラドリア帝国の聖女として、抗議してやりましょう。神聖ラドリア帝国の名前を出せば、奴らだって態度を改めるはずです」


 それから、私たちはベルシティにやって来たのですが、本当にびっくりしました。亜人、獣人、魔族、人族が共存する町でした。それにベルシティの至るところで聖女と名乗る者がおり、獣人や亜人の聖女もいました。プラークは激怒しました。


「こ、こんな・・・ふざけやがって!!聖女を何だと思っているんだ!!」


 私はここは敵地だと思いました。だって、獣人や亜人、ましてや魔族など汚らわしい、危ない種族だと習ってきましたからね。しかし、私は聖女、世界を救う聖女、逃げるわけにはいきません。なので、プラークや親衛隊にこう言いました。


「ここはどうやら、危険な場所のようです。まずはこの町の調査をしましょう」


 とりあえず、町を見て回りました。見たこともない宙に浮く乗り物に乗っている者がいるし、美味しそうな食べ物を売っている屋台もありました。かなり町としては発展しているようでした。そんなとき、プラークのお腹がグーっと鳴りました。


「長旅で疲れましたから、宿を取りましょう。その前に何か食べましょうね。腹が減っては何とやらと言いますしね」

「申し訳ありません、エルザ様・・・お気遣い感謝します」


 近くを探したところ、いい匂いがする屋台を見付けました。どうやらラーメンという麺類の屋台のようでした。早速注文して、いただきましたが、本当に美味しゅうございました。濃厚な深みのあるスープにコシのある麺、トッピングのお肉も本当に美味しゅうございました。


「ごちそうさまでした。本当に美味しくいただかせてもらいました」


 店主にお礼を言いました。その店主は、私と同じ年頃の少女でした。その少女は嬉しそうに言いました。


「ありがとね。これでも味には自信があるんだよ。もしかして君も聖女かな?実は私も聖女なんだ。私はリンリン、「こってりラーメンの聖女」なんだけど、君は何の聖女?」

「・・・えっと・・・その・・・」


 正直に答えるかどうか迷いました。そんなときリンリンが言ってきました。


「もしかして、まだ認定を受けてないの?」

「認定?」

「ああ、そこからか・・・ラーメンを食べてくれたお礼に、先輩聖女として色々と教えてあげるよ。まずは聖女認定からだね」


 聖女認定とは、ベルシティの聖女認定協会が行っているもので、親衛隊が2人以上いて、月に1回以上の活動実績があり、登録料の金貨1枚を払えば認定してもらえるそうです。


なんと、適当な・・・


「登録で迷っているなら、よく考えたほうがいいよ。変更は3回までで、変更の度に金貨1枚取られるからね。私も何ラーメンにするか迷っていたからね」


 そんな話をしていたら、リンリンが通りを指差さして言いました。


「見て!!あれが聖女パーティーだよ。「風の聖女」と「森の聖女」がいるし、それに勇者もいるんだよ。それとあの体格のいい赤髪は、ナダスの達人なんだ。流石に「風の聖女」は知っているよね?」

「もちろんです。私のライバルですからね」

「そ、そうか・・・大きく出たもんだね・・・」


 エスカトーレ・ウィード・・・同年代で知らない者はいないでしょう。アイリーンを駆逐する前に彼女には勝っておきたいところです。


「あっ!!今日は運がいいね。「天使の聖女」と「奇跡の三聖女」がやって来たよ。どうやら、定期公演の帰りのようだ」


 物凄い人だかりです。「天使の聖女」と呼ばれている女性は背中に羽が生えており、空を飛んでいました。それに「奇跡の三聖女」はドラゴンに乗って、進んできます。完全にドラゴンを従えているように見えました。


「彼女たちもトップクラスの聖女だよ。「天使の聖女」は歌も踊りも上手くて大人気なんだ。それに「奇跡の三聖女」は伝説のジョブ「ドラゴンライダー」かもしれないって言われているんだ。まあ、「風の聖女」よりもある意味すごい人たちだよ。親衛隊の数だけで言えば、「風の聖女」の5倍以上はいるからね」


 スケールが違いました。私は彼女たちに本当に勝てるのか不安になりました。


「後は聖戦についてだね。この町や小国家群の都市の多くでは聖戦という制度があってね。口で説明するのは、難しいんだけど、聖女同士がテーマを決めて戦うんだ・・・」


 そんな説明を遮るようにリンリンと同じような屋台を引いた少女が現れ、リンリンにこう言いました。


「我が名は「あっさりラーメンの聖女」ランラン!!「こってりラーメンの聖女」リンリンに聖戦を申し込む!!」


「その勝負受けた!!」


 しばらく考えた後にリンリンは言いました。


「実際に聖戦が何か教えてあげるよ。じゃあ、聖女さんと親衛隊の皆さんに審査員をしてもらおう。それでいいよね、ランラン?」


「いいわ、望むところよ」


 よく分かりませんが、私は聖戦に巻き込まれたようでした。

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