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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第一章 プロローグ

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11 新規事業 3

 レベッカさんの強さは圧倒的だった。

「赤い稲妻」という二つ名を持つだけのことはある。ジョブは公表していないが(手の内を晒したくはない冒険者はジョブを公表しないことも多い)、見た感じ、たぶん「魔法剣士」か何かだろう。電撃魔法で足止めをして、華麗な剣技で次々と切り伏せていく。

 他の冒険者も慣れたもので、素晴らしい連携で攻撃をしていた。魔法や弓で牽制し、背後から忍び寄った剣士がグレートボアの首を切り落としたときには、私を含めた商会関係者が感嘆の声を上げた。

 特に弟のロキは大興奮で、「僕は将来、冒険者になる!!」という始末だった。


 意地悪そうな笑みを浮かべて、父が言う。


「ロキはクララと一緒にベル商会を支えてくれるんじゃなかったのかい?」


「そ、それは・・・冒険者をしながら、お姉様を支えるよ」


「商会の経営は、片手間でできるほど甘くないぞ」


 ロキは落ち込む。


「冗談さ。ロキが冒険者をしたいのなら、それもいいと思う。もうすぐジョブ鑑定があるから、冒険者に向いているジョブなら、考えてみよう」


「うん!!分かった」


 そんな微笑ましい会話をしていたところ、戦闘が終わったようで、お母様が腕まくりして、包丁を取り出した。


「よし!!ここからは私たちの戦いだよ!!気合い入れていくよ」


「「「はい!!」」」


 ここから解体作業に入る。20頭もいるので、かなり厳しい。私も当然手伝うことになる。

 解体作業をしていると、レベッカさんに声を掛けられる。


「クララ嬢は解体作業もできるのだな。だったら、ギルドの解体業務も依頼しようかな?」


 これにはお父様が口を挟む。


「これ以上クララをギルドに通わせることはできませんよ。解体業務が滞っているのなら、ウチから作業員を臨時で派遣します。安くはしておきます」


「分かったよ。なし崩し的にクララ嬢をギルドに引き込もうと思ったのだがな・・・」


「レベッカ様、心の声が漏れてますよ」



 3時間ほどで、解体作業は終わった。だが、これで終わりではない。新鮮な肉を使って、ここから料理を作るのだ。まあ、シチューとバーベキューだからそこまで手間はかからないんだけどね。


 そこから、大宴会が始まった。大人たちは大盛り上がりだった。大量に素材が手に入ったからね。盛り上がりも、落ち着きを見せたころにお母様に呼ばれた。


「クララ、新作のラーメンができたから、みんなに配るのを手伝っておくれ。冒険者に売り込むのもいいと思うんだよ」


 それはその通りだ。背徳感はあるが、飲んだ後のラーメンは何とも言えない美味しさがあるからね。


 予想通り、ラーメンは大好評だった。特にレベッカ様が気に入ってくれた。お父様と何やら話している。


「シャイロよ。このラーメンの旨さには感動した。そこで、特別にギルド前の広場に出店することを許可しよう」


「まだ、直営店以外での販売は考えておらず、お気持ちは嬉しいのですが・・・」


「商人の癖に気が利かない奴だな。すぐにでも出店しろと言っているんだ!!」


 お父様も分かった上ではぐらかしていたんだけどね。


 ここで私が助け舟を出す。


「ラーメンは屋台形式でも販売可能です。私がギルドに出勤する日に合わせて出店してはどうでしょうか?それくらいなら、負担にならないのでは?」


 この件はすぐに承認された。ただ、誤算だったのは大人気になり過ぎて、毎日出店させられることになったことだろう。


 そんな感じで、初回の素材採取クエストは大成功のうちに幕を閉じたのだった。



 ★★★


 昔のことを振り返っていたが、業績が下がった原因が分からない。グレートボア討伐については、定期的に行っており、安定的な収益を上げているが、その他の採取クエストの収益がよくない。赤字にこそなっていないが、儲けがほとんど出ていない。

 その他の採取クエストも当初は、調子が良かったんだけどな・・・・


 ギルドで作業をしていたところ、迎えに来たお父様に声を掛けられた。集中しすぎて、終業時間になったのに気づかなかった。


「どうしたんだい?元気がないようだが」


「実は・・・」


 正直にお父様に説明した。

 他の採取クエストの収益が思うように上がらないことや場合によってはグレートボアの採取クエスト一本にすることなどを話した。


「とりあえず、クララが一人で抱え込まなくていいよ。現状を踏まえて、レベッカ様と相談してみよう。それに合わせて会議資料を作ってくれるかい?」


「もちろん!!」


 3日後、ギルマス部屋で私はお父様とレベッカ様の前で説明を始めた。


「・・・以上のとおり、グレートボア以外のクエストについては収益がほとんど上がっていません。特に高級素材が採取できるミスリルリザードなどの魔物については、赤字を出しています」


 お父様とレベッカさんを見やるとかなり暗い顔をしていた。私は落ち込んでしまう。グレートボアの件で調子に乗った私が、自分の分析力を過信した結果だ。商人として、苦しいが損切りをしよう。


「自身の分析力を過信した結果です。グレートボア以外のクエストは中止することを進言します」


 すると二人は、押し黙ってしまった。

 しばらくして、お父様が言った。


「クララは優しく、素直だから気付かないかもしれないんだが・・・・不正を働いている者が我が商会にも出てしまったな。残念だが、商会が大きくなれば、そういったことが起きるものだ」


 レベッカさんも続く。


「ギルド側にも協力者がいる。クララ嬢の説明を聞いて確信が持てたよ。私も薄々おかしいと思っていたのだ。クララ嬢の分析がここまで外れるのは異常だからな」


 実際、業績が下がり続ける前は、的中率が98パーセントだった。


「辛いだろうが、不正をしている者がいるという前提で、もう一度分析をしてもらえないか?」


「もちろんです!!」


 私は、怒りに燃えていた。

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