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【祝!300万PV】転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話  作者: 楊楊
第一章 プロローグ

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10 新規事業 2

 話は大分逸れてしまったが、もう少し聞いてほしい。

 販売会などを通じて、ほとんどの素材を捌けたのだが、次の目標は倉庫の管理だ。倉庫の管理者を指定し、管理者の責任において管理をしてもらう。具体的には、倉庫の棚や区画に番号を振り、例えばAー1の棚に素材を収納したのなら、それを一覧表のメモに書き込む。そして私がアルバイトに来た時にチェックして、新規に一覧表を作成する。この方法なら、倉庫の管理者が異動になっても何とかなる。


 問題は在庫を溜めないことだが、これが難しい。

 冒険者ギルドは営利団体であるが、冒険者を保護する機関でもある。冒険者が定期的に魔物を間引かないと大変なことになってしまう。そのため、冒険者から必要がなくても、一定の金額で素材を買取らなければならない。そうしないと冒険者がいなくなるからね。


 儲けだけを考えたら、必要のない素材の買取価格を下げることだけど・・・


 まず一般的な商会の取引を考えてみると、必要な素材の採取依頼をギルドに出すか、またはギルドの在庫の中から商品にできそうなものを選定して買取る方法がほとんどだ。これだとどうしても在庫を多く抱えてしまう。


 例えばの話だが、グレートボアの肉を使用した料理が流行したとする。どの商会も、こぞってグレートボアの肉の採取依頼を出すだろう。それを受けて冒険者もグレートボア狩りに出かける。ブームが続いている間はそれでいい。冒険者がどんどんグレートボアを狩ってくるので、商会にグレートボアの肉を販売すれば、ギルドは大きな利益を得る。しかし、ブームが終わってしまうと大変だ。グレートボアの肉は商会が買わなくなるが、冒険者はそれでも定期的にグレートボアを狩ってくる。

 そうなるとギルドは在庫という名の負債を抱えることになってしまうのだ。


 普通の商人だと、ある程度価格が下がった段階で損切りをする。安く売り捌き、多少損をしてもトータルでプラスになるところであるが、冒険者ギルドではそんなことはせず、何年も何十年も倉庫内で保管していたのだ。

 きちんと在庫管理をするようになり、毎年在庫一斉処分の販売会を開催すれば、このようなことは少なくなっていくだろうけど・・・


 そんなとき、思いついたことがあった。

 逆転の発想をしたのだ。素材の買取りに際して、一旦ギルドが冒険者と商人の仲介に入るから在庫を抱えるのだ。だったら必要な素材を商人が採取をする際の護衛として冒険者を同行させればいいのではないだろうか?それなら、現場で解体もできるし、素材もその場で商人に引き取ってもらえる。

 この方式なら、魔物の発生分布も相場情報もいち早く分析できるベル商会の優位性が生かせる。

 ただ、問題は・・・・


「クララ、いい案だと思うが、ギルドの儲けが減ってしまうよね?人間誰しも、大儲けできるチャンスを不意にしてしまうことは腹立たしく思う。在庫を抱えるリスクなんて、そのときは考えないからな」


「そうだよね・・・別の方法を考えてみるわ」


 お父様に相談したところ、私が懸念していたことを指摘された。


「でも、この案をぶつけてみる価値はあるぞ。これから資料を作って、この案の優位性をレベッカ様に説明してはどうだろうか?話くらいは聞いてくれると思うけどね」


「じゃあ、頑張って資料を作るわ。となると・・・数値を再度見直してと・・・・」


 資料作成には3日掛かった。

 そして、レベッカ様に説明したのだが・・・


「いいぞ、認めよう」


「どうしてもと言うのならこちらも考えがあります。この依頼を受けてくれる冒険者には、食事の提供及びポーションを無料で支給することを考えて・・・・」


「だから、認めると言っている」


 あまりにあっさり承認してもらったので、要らぬ提案までしてしまった。


「えっ・・・でも、ギルドの儲けが・・・」


「それは気にしなくていい。解体部門は今でも過重労働状態だから助かるし、それにあんな思いはもうしたくないしな・・・あんな惨状を見るのは二度とごめんだ」


 レベッカ様が遠い目をしながら言った。

 大倉庫には高額のお宝素材が発見された一方、得体のしれないヤバい物も多くあった。かなり危ない呪いの鉄仮面があったり、中級の鑑定スキルを持った鑑定士でも鑑定できない禍々しい物体もあった。不思議なことに呪いの装備を収集している貴族が鉄仮面を購入し、得体のしれない禍々しい物体は、いかにも危険そうな魔導士が購入していった。売ってはいけない人に売ってはいけないものを売ってしまったのかもしれないと、当時は思ったものだ。


 その二つはまだいいほうで、強烈な異臭を放つ謎の物体も多々あり、処理に困ったものだった。


「但し条件がある。最初の依頼は私が同行しよう」



 ★★★


 5日後、スケジュールを調整して、私たち家族とレベッカさん、Bランク冒険者3名、Cランク冒険者3名、ベル商会のスタッフ5名がクエストに出発した。説明も兼ねて、多めの人数での参加となった。討伐対象はグレートボアで、大型のイノシシ型の魔物だ。かなりパワーのある魔物で、単体ならCランク、群れならBランクの魔物だ。


 なぜ、この魔物を選んだかというと新商品の開発のためだ。グレートボアの骨を煮込めば、豚骨ラーメンのスープと同じような味になることが分かり、この世界でもラーメンを売り出すことにしたからだ。今回も私がアイデアだけ出して、お母様が完成させた。


 森の中を私たちを乗せた馬車が進む。

 レベッカさんが声を掛けてくる。


「しかし、信じられんな。なぜグレートボアの群れがここにいることが分かったんだ?」


「資料分析の結果です」


 発生分布とグレートボアの特性を考慮すれば、大体の予想がつく。

 グレートボアは雑食だが、キール草という草が好物だ。なので、発生分布と照らし合わせて、キール草の群生地付近で待ち伏せしていれば、そのうち出くわすというわけだ。


 現地に到着した次の日にグレートボアの群れに出くわした。ただ群れの規模が通常よりも大きかった。グレートボアの群れは通常であれば5~10頭前後であるが、今回は20頭近くいると「斥候スカウト」のジョブを持つ冒険者から報告があった。


「この人数だと危険ではないでしょうか?安全策を取って、引き返してもいいと思いますが・・・」


 レベッカさんが言う。


「雑魚が何匹いようと関係ない。まあ、ゆっくり見ていてくれ」


 しばらくして、戦闘が始まった。


 まあ、戦闘と呼べるものではなかったけど・・・・

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