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38 まとめて倒すつもりですが、何か?

 スタンピードの魔物は狂乱すると言われているが、不思議と同じ種類で固まるようだ。

 もっとゴチャゴチャした感じになると思っていたんだけど。

 このあたりはゲームとは少し違うようで現実の方がゲームっぽく感じる。


 とはいえ、こちらの方が食材の大量ゲットを目指す俺たちには都合が良いので文句などあろうはずがない。

 現にレイはハイテンションで狩り続けている。


「ニャーハッハッハ! トリ肉ゲットだぜ、なのニャ~ッ!」


 何処かで聞いたような台詞だが、そこはまあいい。

 ノリノリだから物理攻撃で無双モードになるのかと思いきや魔法を使っている。

 対象の影を侵食して操り人形とする闇属性の中級魔法シャドウマリオネット。

 魔物の影を捕捉した後は首を捻ってへし折るだけの簡単なお仕事です。


 とはいえ、浸食対象を広げて魔力を湯水のように消費しているので俺たち以外に真似のできる者はそうそういないだろうけどね。

 ブラッディターキーやキックバードが次々に自ら首を捻って折っていく光景は、ちょっとしたホラーだ。


 絶命させた後もシャドウマリオネットで操ったままにしている。

 おかげで折れた首がだらんと垂れ下がらずに済んでいるためグロさは控えめかもしれない。

 目的は魔法で操作できる影を接続状態のままにして闇魔法シャドウストレージで収納するためだけどね。

 シャドウストレージは影の中に亜空間を作り出して対象を収納する上級魔法である。

 魔力の消費は空間を形成する時のみだが、サイズに比例したMPを消費するため汎用性は低いと思われている。

 後から亜空間を拡張できることは知られていないせいだろう。


 何にせよレイは効率優先でこの魔法コンボを選択したようだ。

 シャドウマリオネットで影を捕らえているお陰で少々距離が離れていてもダイレクト収納できるからな。


 でも、まさか唐揚げへの執着が質が高く手早い仕事をさせることにつながるとはね。

 レイがトリ肉と言っているから間違いないだろう。

 おそらくトリは鳥ではなく鶏として考えているに違いない。

 ブラッディターキーもキックバードも鶏ではないんですが?

 求めていた唐揚げの味とは食い違っても文句を言うなよ。


 一方で、スィーは淡々と仕事をこなしていた。


「変わった魔法だな」


 使っている術式は追尾系だ。

 高度な術式によって軽く避けたくらいでは逃げ切れないため、あれを回避するのは至難の業である。

 しかも弾は短くカットしたワイヤーだ。

 小さすぎて回避どころか迎撃すらもままならないはず。

 それを赤熱化させて最も防御が手薄な魔物の耳の穴にロックオン。

 当たれば脳が破壊され屈強な魔物といえど即死はまぬがれない。


「追尾で必中。迎撃も許さず必殺か」


 名付けるならホーミングニードルってところかな。

 まず、地属性の魔法でワイヤーを生成。

 闇属性で対象をロックし続け、理力属性で追尾して飛んでいく。

 そこに火属性である加熱の術式も加わって3属性を制御するので上級魔法に該当する。


「世間じゃ、ほいほい気軽に使える魔法じゃなさそうなんだけどなぁ」


 スィーは涼しい顔して同時に何発も撃ち出している。

 まるで某ロボットアニメのミサイルを全弾発射するシーンを見ているかのようだ。

 オークもブルータルブルも満足に反応できずにいる。


 ただ、俺の食材調達でそのまま使える魔法ではない。

 植物系の魔物には耳の穴もなければ脳だってありはしないからな。


 どちらかと言えばレイの使っている闇属性の魔法コンボの方が参考になる。

 ただ、そのまま使うのは芸がない。

 急所である魔石をえぐり取るというのは、ひとつの手だろう。

 あるいは魔力の供給を遮断すべく根っこと茎を切り離すか。


「ふむ……」


 両方を採用するのもありかもしれない。

 前者はマーダーライスのような小さい魔物には不向きな手段だし、後者はトレント系の魔物だと手間がかかってしまうからな。

 属性は水か風が適切か。


「まだ使っていない水魔法にしてみるか」


 ホイールスライサーの水版をいくつもセットしホーミング機能を持たせて発射。

 この時、意図的に水漏れ状態にしておくのがポイントだ。

 漏れ出た水を糸状に伸ばしてヨーヨーのようにするためである。

 つながっていると制御が楽なだけではなく増水してホイールスライサーの輪っかを大きくするくらい簡単にでしてしまうという寸法だ。

 輪っかを大きくするのは目標周辺の群れをまるごと刈り取るためである。

 これだけ密集していれば複数のホイールスライサーを個別に当てるより効率がいい。


 続いて魔石をえぐり取ってHPを0にするため水を糸状に射出。

 水魔法ウォータージェットだ。

 単に撃ち出すのではなく魔石の周囲を縁取るように制御する。

 魔石の縁をウォータージェットでくり抜いて上級の理力魔法テレポーテーションで魔石を手元に転送。

 これで本体もトドメを刺された格好になる。

 魔石も本体もシャドウストレージを使って亜空間へ収納して収穫完了って訳だ。


読んでくれてありがとう。

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