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11 ランクとレベルは別物です

 転生するにあたって名前を決めなければならないことが判明したので試しに本名の萩守勇斗を入力してみた。

 入力方法は念じるだけだったが、入力し終わると数秒で文字はすべて消えてしまいカーソル点滅状態に戻ってしまった。

 そして別ウィンドウでエラーメッセージが表示される。


[!:非対応の文字による無効な入力です]


 要するに漢字を用いた名前がダメってことなんだと思われる。

 こっちの世界は表意文字が一般的ではなく表音文字がスタンダードなんだろう。

 そのあたりは元の世界と変わりはないようだ。

 試しに現地語でハギモリ・ユウトと念じてみる。

 すると今度も別ウィンドウが開いた。


[確定しますか?]


 というメッセージの下には2種類のボタンがあり、それぞれ確定とキャンセルの表示がある。

 迷いなくキャンセルを押すイメージで念じるとボタンが押し込まれてウィンドウが消えた。

 同時に入力した名前もクリアされている。

 俺は創天神様の方へ視線を向けた。


「新しい名前が決まらんようじゃな」


「こっちの世界のルールを知りませんので」


 名前に漢字が使えないのは分かったが他は色々と不明だ。

 王侯貴族しか名字持ちがいないのに名字を入力してしまったら面倒事の予感しかしない。


「こちらは緩いですよ~」


 星界神様がニコニコしながら教えてくれた。

 聞けば、誰でも名字持ちになれるらしい。

 名字を名乗るか否かは自由。

 確かに緩いな。


 ちなみにフルネームを名乗る時は名前が先になるそうだ。

 それを聞いて本名にこだわる必要もない気がしてきた。

 萩守勇斗という名前に愛着がない訳じゃないが、今の見た目はレイドル・ブレイバリーなんだよな。


 故に日本人を嫌でも意識してしまうユウト・ハギモリでは違和感があるのも事実。

 じゃあレイドルにするのかと言われると首肯しづらい部分もある。

 見た目と名前が一致することで身バレする恐れがあるからだ。


 まあ、VRMMOゲーマーの転生者が俺以外にもいればの話だが。

 それで高をくくった結果、何か致命的なことになるのも嫌だ。

 用心するに越したことはない。

 監視カメラのある場所なら大丈夫だろうと思って油断したせいで半身不随になった身としてはね。


 そんな訳で俺は新しい名前を本名をもじったユート・ギモリーとすることにした。

 この名前はVRMMOでキャラメイクする時に候補のひとつだった名前だ。

 当時は本名のもじりが微妙に感じたので却下したが今回は本名の雰囲気を残したかったのでこれにしてみた。


 今度は確定のボタンを押して名前を決定。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

Name:ユート・ギモリー

Rank:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

TLv.:1

HP:39.96|39.96 MP:43.29|43.29


STR:13/1  MAG:15/1

VIT:10/1  INT:13/1

AGI:13/1  DEX:11/1


        * ability(figure/SLv.)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



「決まったようじゃな」


「はい」


「では、次じゃ」


 そう言って創天神様が右手を掲げかけたところで──


「その前に、ちょっとタンマして揚げ玉よ」


 星界神様が妙なダジャレでストップをかけた。


「なんじゃな?」


 邪魔をされた格好になった創天神様だが、特に腹を立てるでもなく応じている。

 その様子から察するにいつものことなんだろう。

 それを言うなら「あげたまえよ」だろうというツッコミは無駄に長引きそうな気がしたので俺もスルーしておく。


「勇斗くん改めユートくんは聞きたいことがあるんじゃないかしらー」


「へ?」


「ステータス画面はゲームのものとは違うでしょ」


 確かにその通りだ。

 色々と異なる部分が見受けられるので間違っても同一とは言えない。

 能力値的にはファンタジー系のFFOの初期設定に近いように思える。


 ちなみにFFOでは最初から課金して平均より上のステータスで剣も魔法も使うタイプにしていた。

 耐久が平均的なのは動きの速さでカバーする感じだったし。


 だが、/の後の数字は意味不明だ。

 Slv.というものらしいがステータスのレベルということだろうか。

 だとすると、Tlv.はトータルのレベル?


 じゃあ、Rankは何なんだ?

 数値ではなく星印で表示されているのも意味深長でありながら理由は見当がつかない。


 それとHPやMPが小数点で表示されているのも謎だ。

 消耗しているならまだしも、完全な状態のようだし……


 聞けば、レベルに関しては俺の推測通りらしい。

 Slv.はステータスごとにレベルがあるということだった。

 能力値そのものよりも上げやすいようだ。

 そして、それらの値によってHPやMPが決まるということだった。


 教えてもらった計算式によれば、STRのSLv.が2になればHPは40.09になる。

 そこから更にVITのSLv.が2になればHPは40.19だ。

 劇的に増えるものではないってことだな。

 その状態でTLv.が2になるとHPが43.79でMPは47.19と少しは上がるんだが総合レベルというだけあって簡単には上げられまい。


 残るはRankの謎である。


「ランクはの、生き物としての格を表すものなんじゃよ」


「生き物としての格、ですか?」


「左様」


「星印で表現されているのは何故なんでしょうか?」


「総合レベルと区別するためじゃよ。レベルが同じでも星の数が違えば段違いじゃからな」


「はあ」


 どう段違いなのかがわからなくて思わず生返事をしてしまう。

 星界神様が俺の微妙な表情を見て教えてくれる。


「星ひとつでレベルに換算すると倍くらい変わると思っておけばいいわよ。ふたつだと更に倍ね」


 それは確かに段違いと言えるかもしれない。

 格上の相手に遭遇した時のことを想像すると空恐ろしくなってきた。

 そこに星界神様からの追撃が入る。


「小動物で星2個、人間だと3個か4個ね」


「……………………………………………………」


 俺、10個もあるんですけど。

 龍の素材を使ったからなんだろうと頭ではわかっても現実を受け入れるのは困難だ。

 星界神様の話の通りだと単純計算で少なくとも人間の64倍以上ってことになるからな。

 たぶん星が4個の人間ってレアだろうから普通は128倍だと勘定しておいた方が良さそうな気がする。


 レベル2になるだけで軽くレベル100オーバーしている人間と同等になるってシャレにならんぞ。


読んでくれてありがとう。

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