第42話 連鎖する雷
――十日後
十日間、湖畔で戦い続けて気づいたことが二つある。
一つ目は、サハギンの戦闘力が想像以上に高かったということ。
雷魔法で感電させ、その隙にアリサとシルバに攻撃を仕掛けさせたが——二人が与えるダメージは、わずか一桁。
キョウヤからの情報にも詳細な記述はなく、「サハギンにはダメージが通りにくい」としか書かれていなかった。その意味を、俺たちは痛感することになった。
そして、もう一つ。
エアクロウは——一度倒せば、二度とリポップしない。
この十日間、俺たちは湖の外周をひたすら駆け、百体を超えるエアクロウを討伐した。
今や遊歩道を進んでも、その姿はどこにもない。
代わりに現れるのは、サハギンばかり。
もしかすると——このクエストで出現する魔物は、一度討伐すれば消滅する仕様なのかもしれない。
だが、サハギンを倒せない俺たちには、それを確かめる術がなかった。
……少なくとも、今日までは。
明日からは違う。
俺たちには、倒せる可能性がある——そのための手段を、すでに手にしているのだから。
【名 前】ユウト
【ジョブ】魔法剣士(0/16)
【状 態】良好
【L V】31(3up)
【H P】453/453
【M P】855/855
【筋 力】189 (18up)
【敏 捷】221 (21up)
【魔 力】476 (48up)(+50)
【器 用】221 (21up)
【防 御】189 (18up)(+10)
【魔 防】261 (24up)(+20)
【適 性】火魔法E・風魔法E・水魔法E・雷魔法C(0/16)
【重 量】169/189
【装 備】魔術師の杖
【装 備】魔術師のローブ
【アクティブスキル】
・《ファイア》・《フレイムスロウワー》
・《ウィンド》・《シルフィード》
・《ウォーター》・《ウォーターミスト》
・《ライトニング》・《ライトニングウォール》・《チェインライトニング》
【パッシブスキル】
・《鑑定》
・《雷の加護》
《チェインライトニング》
【MP】400
【CT】600
【威力】50
【詳細】対象に雷属性でのダメージ。100%の確率で感電を付与する。さらに、対象の近くに敵がいる場合、雷が連鎖する
【雷鳴士】をマスターし、雷魔法適正がCに向上。そして、新たな力——《チェインライトニング》を習得した。
それだけでも十分な成果だが、さらに嬉しい結果が待っていた。
【審判の書】を開くと、そこには——
・(雷霆士)(1/1):【雷鳴士】マスター、雷魔法B以上
他にも【賢者】や【魔装士】の項目が表示されていたが、そんなものは眼中にない。それらは所詮、限定職ではないのだから。
【魔法剣士の証】を使っても雷魔法以外の適性が上がらないと知ったときの失望は、今の興奮ですべて吹き飛んだ。
さらにレベルが上がったのは俺だけではない。
【名 前】アリサ
【ジョブ】魔法剣士(3/16)
【状 態】良好
【L V】38(3up)
【H P】645/645
【M P】373/373
【筋 力】244 (21up)(+40)
【敏 捷】283 (24up)
【魔 力】182 (24up)
【器 用】283 (24up)
【防 御】215 (21up)(+25)
【魔 防】229 (21up)(+15)
【適 性】剣術C(3/16)・光魔法F(3/16)
【重 量】90/244
【装 備】鋼の剣
【装 備】剣士の法衣
【アクティブスキル】
・《二連切り》・《スラッシュ》・《残像剣》
・《ライト》
【パッシブスキル】
・《索敵》
【名 前】シルバ
【ジョブ】神聖魔法使い(3/14)
【状 態】良好
【L V】32(5up)
【H P】687/687
【M P】224/224
【筋 力】222 (25up)
【敏 捷】144 (14up)
【魔 力】122 (21up)
【器 用】227 (25up)
【防 御】283 (33up)(+50)
【魔 防】265 (37up)(+30)
【適 性】槍術E・馬術E・神聖魔法F(3/7)
【重 量】170/222
【装 備】鉄の大盾
【アクティブスキル】
・《二連突き》・《疾風突き》
・《ヒール》
【パッシブスキル】
・《HP自動回復》
・《馬心伝心》
シルバのステータスがどうしても見劣りしてしまうのは、仕方のないことだ。
彼は【神聖魔法使い】でありながら、大盾を構え、最前線で攻撃を受ける役目を担っている。
その代償として、槍と鎧を手放さざるを得なかった。
ジョブチェンジによる重量問題が、彼の装備選択に大きな制約を与えたのだ。
だが、俺が【雷霆士】へのクラスチェンジを可能にしたことで、【求道者の書】をシルバに譲り渡し、彼の神聖魔法適正をFへと引き上げた。
【神聖魔導士】への道を進んだ先、三次職にふさわしいジョブが訪れることを今はただ願うばかり。
そして、翌日――
「各自、役割はもう分かっているな? シルバ、一番キツい役だが頼む。アリサ、シルバのHPバー管理を頼む。いつでも撤退できるように準備しておけ!」
ベリグランド湖近くの遊歩道手前で、作戦を改めて確認し、いよいよサハギン討伐へと向かう。
シルバが一歩、遊歩道に足を踏み入れた瞬間——湖の水面が不気味に波立ち、五体のサハギンが姿を現した。
「《ウォーターミスト》!」
シルバが前線で盾を構える前に、魔法防御力を10%上昇させる補助魔法を発動。霧のヴェールが彼の周囲を包み、淡い光がゆらめく。
サハギンたちは水音を響かせながら距離を詰め、同時に《ウォーター》を放つ。弾け飛ぶ水弾がシルバの大盾を叩くが、ダメージは10にも満たない。
——逸る気持ちを抑えろ。焦るな。
シルバが奴らを引きつける。
サハギンの一体が、鋭い眼光を向け、三叉槍を構えた。水飛沫が舞うなか、突き出された刃がシルバへと迫る。
——今だ!
「《チェインライトニング》!」
杖から放たれた雷撃が一直線に走り、先頭のサハギンに着弾。
瞬間、金色の閃光が炸裂し、稲妻は枝分かれしながら周囲のサハギンへと連鎖していく。
弾ける雷光。サハギンたちは感電し、HPが一気に1/4ほど削られる。
——今が好機!
「《ウィンド》!」
「《ファイア》!」
アリサの剣が閃き、俺の風魔法と火魔法が重なる。
烈風がサハギンの体勢を崩し、そこへ炎が襲いかかる。だが、感電の効果はここで解けた——ならば、次の手を打つまで!
「《ライトニングウォール》!!」
先頭のサハギンを雷の壁が呑み込むと、HPバーが赤く灯る。
他のサハギンたちは雷の壁を前に足を止め、俺たちへ近づくことすらできない。
ならば、決める——最後の一撃を!
「《フレイムスロウワー》!!」
赤々と燃え上がる炎が奔流となり、サハギンを飲み込む。感電したまま灼熱の業火に焼かれ、先頭のサハギンは断末魔を上げることも許されず、エフェクトとなって霧散した。
——倒せた!
だが、その代償も大きい。
たった五発の魔法で消費MPは635。
しかも、《チェインライトニング》と《ライトニングウォール》のCTは、まだ7分以上も残っている……連戦は無理だ。
「シルバ! 一旦下がるぞ! アリサ、周囲の索敵を頼む! サハギンの行動パターンが変化する可能性がある! 一気に後退だ!」
——念には念を。
馬に騎乗し、大きく距離を取り、慎重にサハギンたちの動向を監視する。
だが、奴らは変わらず湖へと戻っていくだけ。
再度遊歩道に足を踏み入れてもここに出現してくるサハギンは四体。
……ならば、やれる。
時間はかかるが、マジックポーションを大量に用意すれば、こいつらを根絶やしにできる。
そして、その先に待つオイルリグまで——!




