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これは俺が勇者になるための物語  作者: 七瀬 桜雲
第二章 ジェムニ神国
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第二十九話 『ひよっこ勇者は頑張りたい』

 武器も、力も、称号も、何もかもが付け焼刃だ。

 それでも臆病を隠せ、勇気を真似ろ。


「――挑んでやるっ!」


 仮面を被って格好いい物語の勇者を真似れば、きっと俺でも戦える。

 この六文字はいつだって弱い自分を奮い立たせるための号砲だった。

 




§§§





 屋根瓦のステージで向かい合って十メートル。

 薄っすら東から朝を浴びて白い髪を僅かに燃やす敵は、俺から視線を外そうとしない。ギシギシと歯を軋ませて、目の前の光景と自分の常識との剥離に苦しんでいる。


「『勇者』は『魔王』と同じで後天的には手に入らない特別な称号だぁ! ただの人間が、それもてめえみたいな弱っちいのが『勇者』に化けるなんざありえねぇ!」


 これが彼の主張だった。

 ステラがこの場にいれば色々とご高説願うところなのだが、そうでない以上は不敵に笑って誤魔化そう。頭に女性の声が鳴り響いたのだと懇切丁寧に教えても怪訝な表情をされてどうせ終いだ。


「気持ち悪ぃ笑みだな、まるで仮面でも被ってるみてぇだぁ」


「――っ」


「ちっ、チョー面倒くせーなぁっ」


 称号について俺が何も説明しようとしないと分かると、彼は常識との齟齬を埋めるのを呆気なく諦めた。代わりにその場で徐に屈むと、拾ったのは爆発で瓦の隙間に飛んでいったレンガの大きな欠片だった。


「これで死ぬのを勧めるぜ、『砲撃』」


「え、いきな」


 声は屋根や煙突で生じた衝撃によって掻き消された。

 レンガを片手でガシッと砕き、一瞬の内に放たれた先制攻撃。

 

 簡単な話、レベル差がありすぎたのだ。

 称号『認識外の存在』の効果によって通りの人々は俺のレベルを正しくは認識できないが、その所作の一つをとっても戦闘ど素人だと分かるだろう。例え『砲撃』が初歩スキルでも、機関銃のように放たれた破片の数々を俺が躱せるはずがない。


 こうして勇者と魔王の一騎打ちが実に呆気ない幕引きで――。


「ああ?」


 終わるなら俺はここへ来ない。

 そうだろ、ザキ?


「危ないだろーがっ。人に向かって石投げるとかどんな教育受けてんだよ。常識疑うわっ! ほんっとうに常識疑うわっ!」


「はっ、言ったろ。俺の得意科目は人殺しだって」


「そんな科目ねーよっ!」


 開戦の合図すら無しに攻撃を仕掛けてきたギニーへの怒りと焦りが俺の舌を素早く回転させる。上手く躱せるはずだと確信していたのだが、やはり突然の攻撃に対応できるかまでは未検証で、俺の心臓は今なおドクドクと激しく鳴りっぱなしだ。


 『遅延視』――物の動きをスローモーションで捉えることができる能力。

 『第三の目』――モノクロだが自分の周囲を俯瞰できる能力。


 練習で試して分かったことだが、この二つのスキルは実に相性が良い。別の視点からスローモーションでレンガの破片の弾道を見ることができたお陰で、少し体を捻るだけで破片は全て背後へ過ぎていった。


「……『遅延視』たぁ、珍しいもん持ってるじゃねーかぁ。で、そんな陳家なスキルで俺を倒せるとか付け上がってんじゃねーだろうなぁ?」


「エロは世界を救うんだぜ。ひょっとして知らない?」


「そんなべらぼうな常識ねーよっ」


 確かに『遅延視』をエロスキルとして使おうと考えたのはごく一部の馬鹿たちだけなので、今回の常識合戦は一勝一敗の引き分けである。レンガの機関銃を躱しただけで俺が威張ってギニーが顔を顰める中、やはり心臓だけはドクドクと音を立て続けた。





 不機嫌な声とは対照的な魔王の冷静な態度に脚が震えて泣いている。

 これじゃ駄目だ、本物の勇者ならきっと臆さない――。





 回避技術はこの通りで、攻撃は食らったらゲームオーバー。

 あの恐ろしく殺傷力の高そうな剣の前では、特に俺の柔さを考慮する必要もなかった。ノコギリのように鋭い鉛色の刃先が少しでも触れれば、骨や内臓ごと抉られかねない。


「前提条件はそれで良いとして、問題は攻撃面だが……」


 ここで皆さんには紹介しよう。

 実は俺、とんでもない秘策を二つも持っているんですよ。


 え? 秘策を使いこなせるだけの頭がお前にあるかって?

 何てこと言うんだ……!


「一度目も、二度目もてめえは逃げた」


「ん?」


 いきなり『砲撃』で小手調べしてきたかと思えば、今度はその場で腕を組んでじっくりとシンキングタイムか。見た目や言葉遣いに反して、敵の考察には嫌なほど冷静な奴である。


「てめえは保身のために取引にも応じられるリアリストだぁ。そんな貧相な刀じゃ魔王は切れないと想像できるはずなのに、何でてめえは挑むんだろうなぁ?」


「貧相な刀とは失敬な。これは山姥の婆さん曰く、あの伝説の――」


「てめえは無謀を無謀で無くす秘策を用意してきた、違うかぁ?」


 ギク、速攻で秘策があるとバレました。

 混乱する俺の前でギニーがにやりとどす黒い笑みを浮かべる。

 俺は、自分が今嘘っぽく口笛を吹いていることに気づいていません。


「一つ、二つ、三つ、それとも四つ……なるほど秘策は二つかぁ」


 ギクギク、秘策が幾つあるのかまでバレました。

 彼が指を二本立てた時だけ嫌そうに表情を歪めたことに気づいていません。


「てめえがどういう経緯でその称号を手にしたのかは知らねーが、勇者になったからにはユニークスキルが新たに解禁されてるはずだぁ。それが秘策かぁ?」


 ギクギクギク、秘策の一つがバレました。

 ええ、目が泳いでいます。バシャバシャと盛大に。


 何とか無表情に徹する俺をギニーは鼻で笑った。

 その表情は今までにも増して不機嫌そうだ。


「秘策があるなら早く使え。俺はつまらねえ勝負に興味はねーんだよ。よえーなら精々逃げて俺を楽しませろっ。つえーなら正々堂々挑んで俺を跪かせてみろっ。中途半端じゃすぐに死ぬぜっ――『妖撃』っ!」


「何かやばそうなの来たーっ!」


 叫びとともに屋根瓦を蹴飛ばしてギニーが動く。

 今度は小手調べではない、本気で俺の命を刈り取るために。


 今更になって実感した。

 彼は今まで俺が向き合った白犀やゾンビとは違うのだ。

 瓦を引き裂きながら迫るギザギザの剣は、彼の詠唱とともに真っ黒な螺旋の輝きを放って周囲の色を呑み込んだ。明らかな殺意と狂気が、知恵という名の軌道を得て血を狙う。


「おらよっ!」


「――っ」


 瓦を激しく削りながら斜め上空に振り払われた一撃が重く、鋭く、大気を抉る。

 ギニーの鬼気迫る雰囲気に驚いて躓いていなければ確実に首が飛んでいた。


「ふざけんなよ、ったく」


 あんなのまともに食らったら体が真っ二つじゃないか。

 狭い屋根の上を『遅延視』や『第三の目』を駆使しながら、それは逃げ回る兎のように駆け回った。そんな俺を仕留めようとギニーは獅子の如く、自慢の剣で空を切りながら狂気の笑みで迫り来る。


 瓦が悲鳴をあげてまだ眠る空の方角へ飛んでいく。

 黒い魔力が禍々しく斬撃の軌跡を残す。


 普通の建物にしては広い屋根だが、それでも動き回る戦場としては狭すぎる。かといって、正面の通りにはまだ人がいて降りられないし、何よりここを離れられない理由も別にあった。


 このままではじり貧、迎え撃つしかない。


「くそっ、イチかバチか――」


 サクか誰かは知らないが、俺に『勇者』なんて称号を与えたんだ。

 だったらヤマトのようにできるかもしれない。


 屋根瓦の峰に片足を乗せて、持っていた飾りだけの剣に魔力を込める。

 『遅延視』や『第三の目』に使う紫苑の魔力とは違う、澄み渡った水のように爽やかな青い魔力を刀身に込めたなら、体の捻りを駆使して両手で勢いよく、振り上げられた魔王の牙を向かい打て。


「『妖撃』ぃ!」


「『聖撃』っ!」


 青い魔力と、黒い魔力の衝突。

 歴史上何度も繰り返されてきた火花がここにも散る。


「はっはっ、やっぱ持ってたかぁ『聖撃』スキルっ!」


 ギニーは俺の『聖撃』を見るや否や、目の色を変えてギザギザ剣により強い魔力を込めた。位置的には俺の方が有利なはずなのに、刀はまるで水面から襲い来る鮫のように獰猛で腕がギシギシと軋み始める。いや、腕が壊れる前に剣が折れてしまう。


 やったことないけど、受け流すしかない。


「――っ」


 そう判断した俺は重なる剣の動きを注意深く観察しながら、自分の剣の柄を前へ押し出し、自分自身もギニーを中心に反時計回りの方向へ移動した。力を流す方向が変わった途端、ギニーはその勢いのままに峰を越えて反対、通り側の屋根の縁まで押し出される。


「あー、腕が痛いっつーの」


 脚に続いて腕の筋肉痛まで予約してしまった。

 当然今の一瞬の回避も『遅延視』で剣の重心の動きをスローで考えられたからなのだが、通りで固まっている人々からはそうは見えなかったようだ。


 ――あの攻撃を瞬時にいなすとは。


 ――そうとうの手練れのようだな、彼は。


 真実を知ったら落胆されそうだな。

 というか、見物してないで逃げて欲しいんですけど。


 ただ、感心したのは見物客だけではなかった。

 俺は屋根の峰から彼を見下ろし、呆れながら叫んだ。


「で、何でお前までそんな嬉しそうにしてんだよっ!?」


「バリ嬉しーに決まってるだろっ。高級食材でも食える部分がなきゃ意味がねえ。俺はようやくてめえに可食部分を見つけたんだぁ。喜ばねーはずがねえよ」


「俺はウニでもフグでもねーぞ!」


 この男もデイジー様に負けず劣らずの戦闘凶なご様子だ。

 薄っすらと水色がかった白い髪とは対照的に瞳は爛々とした漆黒の輝きを放ち、一度意識してしまうと、どこまでも沈むような恐怖を感じる。


 もしもソフィーの支援魔法を受けていなければと思うとゾッとする。

 俺の筋力だけで彼の重い一撃を耐え切れなかっただろう。

 声に出したらバレるので、密かに心の中であの天使に感謝を――。


「ま、レベル5のてめえが俺の『妖撃』と渡り合えたってことは、何らかの支援魔法を受けてからここに来たんだろうがなぁ。食えねー野郎だぁ」


「……やっぱりお前嫌い」





 もう一度あの重い一撃を受けるのは無理だと腕がジリジリ喚き散らす。

 ちょっとの辛抱だ、勝てたら仮面を脱いで一緒に泣こう――。





 今にして『認識外の存在』が称号で良かったと心から思う。

 ギニーが戦闘開始の引き金を引いてすでに六分、継続して『第三の目』や『遅延視』を使っている以上、魔力の消費は避けられない。その二つが魔力効率が良いとは言え、『認識阻害』に余計な魔力を使わなかったメリットは非常に大きい。


 だが魔力が枯渇すればダメージが浅くても否応なしに戦闘不能だ。

 そろそろこちらからも仕掛けなければ間に合わない。


 ギニーと距離を取れている良い機会だ。

 秘策を一つ、披露といくか。


「次は俺の番だな、ギニー」


 俺の言葉に彼は姿勢を低くして構える。

 ポケットからあるものを取り出して屋根の峰の裏に隠し、猪突猛進の勢いで彼が抉った瓦の残骸をそっと手に取り、まずは投げつけた。


「『砲撃』!」


「ああ?」


 紫苑の光を浴びた破片はスイカの種を飛ばすように次々と。

 ギニーはその弾丸を避けるでも防ぐでもなく、ただ突っ立って受けている。


「おいおい、何の冗談だぁ? せっかく面白くなってきたってのに水差すんじゃねーよ」 


 彼は苛立ちを隠せずに眉を顰めて、ギギギと歯ぎしりした。

 そう、紫苑の光――普通の魔力を込めただけのスキルは『魔王』には通じない。聖属性の魔力を込めれば通じる攻撃を分かってそうしないのは慢心であると、ギニーがそう思うのも無理はないのだ。


 でも、俺の意図するところは別にある!


「『砲撃』っ」


 少し大きな瓦の破片。

 それに続くように、屋根の峰の裏に隠したそれは投げられた。


 ――剣の他に何か使えそうな物を買いたいんですけど。


 ――それならっ、この灯油ボトルは如何かなっ? 気になるあの子が湯船に浸かってる間に着替えをこれで燃やしちまいなっ!!


 ――あんたそればっかりだなっ!


 碌な事しか考えない山姥の婆さんに感謝だな。

 小さな灯油の入ったボトルは、『遅延視』と『砲撃』のマリアージュによって先に放たれた大きな破片の裏に隠れ、ギニーの視界には映らない。そんな的確なコントロール技術を可能にする異世界のスキルはすさまじいものがある。


 だが普通スキルでは俺は満足できない。

 やっぱり異世界といえばこれだろっ。


「いい加減に」


「『ファイアボール』ッ!!」


 苛立ちを露わにするギニーの下へ、今、火魔法は放たれた。

 瓦の裏に隠れて飛んでいいた灯油ボトルに引火し、それは初級魔法の次元を越えて燃え盛る――。


 秘策その一。

 それは勿論、火魔法である。


 墨色の屋根がさらにこんがりと黒焦げになるまで焼けて、通りに面した屋根の一角が業火に包まれる。さすがにこれには身の危険を感じたのか、見物していた人々は慌てだした。遅いんだけどな。


 『ファイアボール』は初級火魔法、適性さえあれば誰でも簡単に作ることができる小さな火球である。マッチの先端に灯るような炎には瞬時にこんな大火事を引き起こす力はないが、灯油があれば話は別だ。魔法の火がしっかり灯油に引火するか、それだけが心配だったんだ。


「ふぅー。こんだけ燃えれば、秘策その二は要らないかな」


 額を拭いながら、糸が切れたように深く溜息。

 魔王と言えど人間、これほどの炎で平然としていられるはずが――。


「――クソ熱ぃなぁ、おい」


「……え?」


 本当に目を疑ったんだ。

 火炎の中から、男は悠々と後頭部を掻きながら現れたのだから。

 服の一部は焼け落ちているものの、体には一切の火傷の跡がない。それどころか、髪の一本すら燃え落ちていない。彼の足取りは非常に軽く、アイコンのライフゲージは目に見えて減っていない。


「ステラにお気に入りの帽子をお釈迦にされたと思ったら、今度はジャケットかよ。……ったく、油で威力上げてるなら先にそう言えっての」


「お、おおお、お前っ、ひ、ひひ、火魔法効かないのかよっ!?」


 焼け焦げたジャケットを眺めながら理不尽な文句を言うギニーに俺は汗が止まらなかった。確かに慢心していたことは認めるが、ほぼノーダメージとも思っていなかったのだ。だから、サウナから出てきたみたいな男の態度に俺は大いに慌てふためいた。


「その動揺っぷり……まさかこれが秘策かぁ? おいおい勘弁してくれよ。初級魔法如きで大ダメージ稼げるわけねーだろーがよぉ」


「たった今、俺の『スーパー魔法使いの幕開け計画』が破綻したっ!」


 まさかの秘策のメンツ丸潰れである。

 同時に火魔法は直接的な攻撃には使えなさそうだということも判明した。ギニーの体力を削れるならともかく、これでは狭い足場をさらに狭くするだけである。


 攻撃手段を一つ失った俺は苦しく状況の悪さを噛みしめる。

 そこへ凶悪な笑い声が、今度は俺の番だと告げるのだ。


「いいかぁ? 魔法ってのはこうやって使うんだよっ」


「ま、まさか……それって……」


 ギニーの掌に作り出されたのは火球。

 それも、俺が作ったのがゴルフボールほどの火球だとすると、あいつのはバレーボールほどもある。炎はギニーの凶悪な性質を体現したかの如く真っ黒で、火の勢いは俺の拙い魔法とは雲泥の差だった。


「『ファイアボール』!」


「くそーーっ!」


 お株まで奪われたっ!

 とりあえず、次の秘策をどのタイミングで使うかを考え直さないと、ギニーの防御力の前に白旗を振って跪く展開になってしまう。それだけは是が非でも避けなければならない。


 再び『遅延視』と『第三の目』によるスーパー回避技術で俺は黒い火球を大ジャンプで躱し――。


「――っ」


 躱した途端、一つ目の巨大な火球の影に隠れた一回り小さな火球が俺の着地を狙って飛んできた。俺が『砲撃』の裏に灯油ボトルを仕込んだ攻撃のオマージュである。黒い火球の奥に、獲物がかかった、にやりと笑うギニーの浮かれる表情が見えた。


 『遅延視』は、あくまでスローモーションにするスキル。

 自分の動きが時間の概念を超えることはできない。

 見えていても、躱せない攻撃は躱せないのだ。


 やむを得ない。

 もう一つの秘策も使うか。


 決めた瞬間、俺は速やかに詠唱した。


「――はぁ!?」


 ギニーは目の前の不可解な光景に唖然とする。

 同時に、まだ僅かに残っていた見物客も口々に騒ぎ出した。誰もが『勇者』の称号を引き下げて少年が登場した時よりも大きな衝撃を受け、口を大きく開けたまま銅像のように固まる。


 聖剣――かつて神が作りし、特殊な魔力を帯びた剣。

 込められた魔力は勇者が使う聖属性の魔力よりもずっと純度が高く、聖剣を使った一振りだけは『魔王』にとっても決して無視できない一撃となる。千年、倒すには至らずとも、聖剣は数多の魔王を屠ってきた。その危険性を考慮した魔神陣営による、聖剣狩りの歴史まで実在したという。


「貧相な剣って言ったよな? 訂正してもらおうか」


「て、てめえは……っ!?」


 されど、剣が持ち主を選ぶという特異な性質上、勇者でも聖剣を所持していないものは多い。ましてや、神が生み出したとされるそれを人間が作ることなど、決してできやしな――。


「『聖剣(セイクリッド・)作製(クリエーション)』!」


 できやしない、はずだった。

 火球は、他ならぬ、その聖剣によって薙ぎ払われた。


【火魔法】

 八つの適性の内、火の適性を持っている人が使える魔法で、極めると称号『赤』を獲得できるんだ。火って身近だし、エネルギー体として想像しやすいから色んな種類の魔法が編み出されてるんだって。あ、沙智。その頭の物干し竿でこの洗濯物、乾かしといてね「火魔法を家事で使うな!「物干し竿についてはツッコまないんですねっ!?」」



※加筆・修正しました。

2019年9月19日  加筆・修正

         表記の変更

         ストーリーの補強・修正

        

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