01.最近のリリアさん
はいこんにちは。最近ミリスから告白(?)されたリリアちゃんです。
悪役令嬢を落とすだなんてさすが私だよね! どうしてこうなった!?
いや落ち着こう私。まだ直接『好きです』とか『愛しています』とか告白されたわけじゃない。ただ今後の人生末永くよろしくお願いしますと挨拶されただけで――ダメだ手遅れだ! 自分を誤魔化しきれない! どうしてこうなった!?
……ふぅ、しかし逆に考えよう私。悪役令嬢を攻略したのだからさすがにもう打ち止めだと。これ以上キャラの濃い人なんて現れないと。
「……リリアだしなぁ」
ナユハさん? そんなすべてを諦めたような声でつぶやくの止めていただけません? 私だから何なのかな? ミリスよりキャラの濃い人もこれからどんどん寄ってくるとでも?
「諦めた方がいいと思うな、私。私はもう諦めたから」
諦めないでくれませんか正妻(?)さーん!?
思わずナユハの肩を掴んでガクガク揺する私だけど、ナユハ様は遠い目をするだけだった。
ど、どうしてこうなった……。
◇
王太子リュース・ヴィ・ヴィートリアちゃん(女の子♪)の婚約者は私ことリリア・レナードと、ドラゴン娘なマリー・ヒュンスターだ。
いつの間にかマリーがリュースの婚約者になっていた。何を言っているか分からないと思うが以下略。
まぁ、実際マリーは私LOVEを隠そうともしていないし、いわゆる一つの偽装婚約らしい。マリーが合法的に(?)私の側にいるためにはリュースの妃になるのが一番手っ取り早いとか。
それを許しちゃうリュースちゃん、心が広すぎである。
で。
最近。
そんなリュースの婚約者候補として『悪役令嬢』ミリスの名前が挙がるようになってきた。らしい。
原因は、ミリスがするようになった白手袋。
ミリスとしては(どうやっても外れなかった)左手薬指の指輪が目立ちすぎるので白手袋をつけはじめたみたい。
日焼け防止とか上品さの証として貴族の奥方が身につけているのは普通なのだけど、子供が付けているのは結構珍しいので悪目立ちする。
そして。目立つからこそ皆気づくのだ。白手袋の下、左手薬指に不自然な膨らみがあることが。
そう、指輪が作る膨らみが。
正確に言えば指輪型の魔導具なのだけど、噂好きの奥様方にしてみればそんなことはどうでもいいわけで。
左手薬指に指輪!
↓
お相手はきっと王太子殿下ね!
↓
隠しているから禁断の恋なのね!
と、いう感じに妄想は膨らんでいき、今となっては、
『王太子殿下は本当はミリスと結婚したかったのに、国のために『聖女』であるリリアと結婚しなければならなかった。しかし殿下の思い人はミリスであり、その証として指輪を贈ったのだ』
的なストーリーが展開されているらしい。
私、当て馬かーい。
私、悪役令嬢じゃーん。
「――聖女を『悪役令嬢』扱いとは、さっすがリュースちゃんだね!」
王宮。リュースとのお茶会で文句の一つも付けてやった私である。
「……私はそろそろ怒ってもいいと思うんだよね」
対するリュースは笑顔。圧倒的な笑顔。笑顔って怖いんだね初めて知った――いや結構怖い笑顔向けられるな私。主に女性から。
「リリアが魅力的な女性であることは承知しているし、お嫁さんがどんどん増えていくのもまぁしょうがないと諦めている。でもね、リリアが嫁を増やすたびに、対外的には私の婚約者が増えていく現状はどうかと思うんだ」
立ち上がったリュースが近づいてきて、壁ドンならぬソファドンされてしまった。リュースは宝塚的な美少女なので本来なら『ドッキーン♪』としてしまう場面なのだけど、いかんせんリュースちゃんの圧が凄すぎである。笑顔の。
「まだ10歳なのに殿下はお盛んですな、とか。お手が早いことで、とか。これなら後継ぎの心配はなさそうですなと噂されるこっちの身にもなってほしいのだよね正直言って」
「あ、あははー……、将来の歴史には『好色王』として名が残ったりして?」
「…………」
「いひゃい、いひゃい。ほっぺた引っ張らないで!」
とうとうリュースからも物理的な制裁をされるようにあってしまった私だった。どうしてこうなった?
『……ふむ、あの失言であれば是非も無し。『残念でもないし当然』というやつよな』
いつからいたのか、呆れたようにため息をつくミヤ様だった。愛理はそろそろ雑な前世言葉を教え回るのを止めていただきたい。
次回、10月24日更新予定です。




