閑話 とある男の物語(???視点)
俺が15の時のこと。
実家の領地がドラゴンに襲われた。
蒼い蒼い鱗をした、いわゆるブルードラゴンだ。
凍えるブレスはあらゆるものを凍り付かせた。俺の実家を、両親を、兄弟の時間を止めた。
寒かった。
死にたくなかった。
身体が震えた。
――殺してやりたかった。
家族の仇を討ちたかった。
使用人たちの仇を討ちたかった。
領民たちの仇を討ちたかった。
厳しくも優しかった両親。喧嘩することも多かったがそれでも仲の良かった兄と弟。魔力のほとんどなかった俺を優しく見守ってくれた使用人たち。貴族と平民という身分を越えた交流をしてきた街の皆……。
みんな、みんな、死んでしまった。
みんな、みんな、殺されてしまった。
ドラゴンに。
蒼いドラゴンに。
殺された。
殺してやりたかった。
その首を落として晒してやりたかった。
でも、俺には何の力もなくて……。
「――悔しいですか?」
ドラゴンを倒したのは、一人の少女だった。
「――悔しいのなら、強くなりましょう」
蒼いドラゴンよりもなお蒼い、蒼い髪。
人のものとは信じられぬ魔力総量。
「――強く。強く。ドラゴンを倒せるほどに、強く」
わずか10歳で勇者ガルドに見いだされ、勇者パーティの一員となった天才。女だてらに騎士となった異端児。
マリア・ヒュンスター。
のちにヒュンスター侯爵となる少女との、それが出会いだった。
強くなろうと思った。
強くなって、誰かを守れるような存在になろうと思った。
強く。
強く。
彼女のように。
皆を守れる存在に――
――騎士に。
騎士になろうと誓った。
騎士になって、皆を守ろうと誓った。
そしていつか、あの蒼い髪の少女に……。
切りのいいところで区切ったら短すぎたので、また明日(12日)投稿します。




