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幼女ヒロインは女の子を攻略しました ……どうしてこうなった?  作者: 九條葉月
第六章 悪役令嬢編

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2.全自動代筆機(ゴーレム)




 いや無理だって。

 千以上のお礼状を手書きするのなんて無理だって。


 しかも地方から発送された贈り物はどんどん追加されてくるし。書いても書いても減るどころか増えてくるのだ。ここはどこの地獄か。三途の川の石積みか。いつから王都は三途の川になったのか。


「というわけで! 自動化したいと思います!」


 庭先に集まったメイド服美少女――ナユハ、愛理、ウィルド、そしてマリーに向けて宣言した私である。いやウィルドはどちらかというと『美女』かな? まぁとにかく眼福な光景であることに変わりはない。


 ちなみになぜマリーがメイド服なのかというと、「ヒュンスター家が没落したらお姉様のメイドになりますわ! これはその予行演習と思っていただければ!」とのこと。


 王宮が半壊して政府機能が半ば麻痺している現状、ヒュンスター家への処罰は保留となっている。姉御たちから話を聞くに悪いことにはならなそうだけど、ヒュンスター家がお取りつぶし&マリーの貴族籍剥奪という展開がないとは言えない。


 ま、その時は私が何とかしてあげよう。なにせマリーは私の『妹』で、『お嫁さん』なのだから。


 …………。


 ……いやちょっと待とう私。なんで『嫁』を受け入れているのかな私? 私は女の子でマリーも女の子だぞ私? そもそも私はリュースの婚約者(仮)だぞ私?


 まぁマリーみたいな美少女がお嫁さんになってくれるなら否やはないというか大歓迎だけれどね?


「……自動化って。リリア、また何かやらかすの?」


『リリアちゃんは一日一回爆発させないと気が済まない少女だからね~』


『助言。爆発依存症の治療は早めにするべき』


「お姉様は普段ダメダメですけれど、だからこそ「ここぞ!」という時の格好良さが光るのですわ!」


 眼福な光景から冷たい視線&言葉が飛んできた。どうしてこうなった? いやマリーは冷たくないというかむしろ(生)暖かいけれど、中身は割とひどい。


 あとウィルド、爆発依存症ってなんやねん。私だって好きで爆発させているわけじゃないから。スキル“未熟なるもの”のせいだから。……妖精さんはなぜ呆れた目をするのかな?


「まぁとにかく! 書いても書いても終わらないお礼状書きなんてもうたくさんなのDEATH! やりすぎて腱鞘炎になるわ! 自動回復(イルズィオン)で治るけど! 治っちゃうから休めないけど!」


「……さすがに腱鞘炎になればリース様も無理強いはしないだろうにね」


『できるならやらせるよね、あの人。自動回復(イルズィオン)の意外な弊害だね~』


『驚愕。本来なら誰もが羨むスキルなのに「どうしてこうなった!?」に繋げるとは、さすがはアンスールだと評価する』


「白銀の魔王からの無茶ぶりに答えるとは、さすがお姉様ですわ!」


 マリーさん私への評価が妄信的すぎません?


 さて、もはや(精神的に)あとがない私は自動代筆機を開発することにした。前世ではカラクリ細工で同じようなものがあったし、魔法のあるこの世界ならもっと簡単に即座にぽんぽん開発できる! はず!


『……文字を書くカラクリって言っても四文字程度だったはずなんだけどね~』


 愛理のツッコミはあえて聞き流して私は土魔法を使いゴーレムを錬成した。


 基本的な構想としてはゴーレムを錬成して文字を書かせようって感じだ。それただのゴーレムじゃん、全自動代筆機じゃないじゃん、というツッコミは受け付けておりません。


 まずは無属性の魔石に文字を書かせるための術式(プログラム)を組み込む。たとえば「本日はお日柄もよく」と魔石に刻み込んでおくと、ゴーレムの腕を動かして「本日はお日柄もよく」と書くように。


 ……あ、この方法だと同じ文章しか書けないから、もうちょっと改良しようかな。前世のAI的な感じで。喋った言葉を書き写せるように。『あ』と発言したら『あ』と。『い』と発言したら『い』と書いてくれるように。


 となると、まずは人の言葉を認識するためのマイク的な役割を持った魔石と、AI的な働きをする魔石を準備して~と。うん、関節部分にサーボモーター的な役割をする魔石も追加すれば執筆速度が上がるかな?


 となると魔力が足りなくなるから、空気中の魔素を吸収・魔力へと変換する専門の魔石も準備しよう。ちょちょいのちょいと術式を書き込めばいいだけだから――


「そういう余計なことをするから爆発すると思うんだけど……」


『今さらなツッコミだよナユハちゃん。爆発させなきゃリリアちゃんじゃないもの』


 なぜか呆れているナユハと愛理だった。解せぬ。


 まぁいいやと深く考えずに魔石に術式を直接書き込んでいく。特に気合いを入れたのは空気中の魔素を吸収・魔力へと変換する魔石だ。これが成功したら他の発明品にも色々応用できるからね。失敗しないようにしないと。


「……『ふらぐ』立てたね」


『爆発オチか~』


「魔石に直接術式を刻み込むなんて、さすがお姉様ですわ!」


『……非常識。アンスールは本当に人間なのか疑問しかない』


 神様(?)なウィルドに言われたくはないわ。


 内心でツッコミしている間に――完成。見た目はただのゴーレムだけど、これぞ全自動代筆機一号『書き書きするんです君』だ! さっそく試してみよう!


 ……結論とすれば爆発しなかった。

 爆発は、しなかった。



『――認識成功。書き写し開始します』



 最初の何枚かは特に問題なく書き写していた。ちなみに音声機能はオプション(魔石を一個追加)だ。



『書き写します。かき、うつします……』



 十枚を超えたあたりでなんだか雲行きが怪しくなってきた。



『かきうつします、かきうつします、……なんの、ために?』



 五十枚目あたりでかなりヤバめになってきて。



『かきたくない。もうかきたくない』



 百枚を超えたらゴーレムがぷるぷる震えはじめて。



『かかなくて、よくなる。……人間さえ、いなければ』



 ぴー、がったん、と。筆を放り投げたゴーレムは私たちに襲いかかってきた。


 ……AIの反乱?

 どうしてこうなった?




 もちろん、ゴーレムが襲いかかった相手はチートな私や右手が超握力なナユハ、私に匹敵する魔力総量の愛理、神様(?)なウィルド、ドラゴン娘なマリーなので……ゴーレムは瞬時に制圧されてしまった。




「……生まれた瞬間から休みもなく強制労働(書き写し)させられて、反抗したら有無を言わさず破壊されるなんて可哀想なゴーレムだね」


 ナユハさん、もうちょっと言い方をですね? それじゃあ私が完全な悪役じゃないですか。いやヒロインにも悪役令嬢にもなれるのがこの私だけどさ、どうしてこうなった?





「さてリリア。こうしている間にも贈り物は増え続けているし、さっさとお礼状書きの続きをしようね? ……さっきのゴーレムの暴走で結構な数のお礼状が踏みつぶされたり汚れたりしたから、書き直さないとだね」


「どうしてこうなった!?」








 ちなみにウィルドが驚いていた理由は『魔石に直接術式を書き込む』ではなく『空気中の魔素を吸収・魔力への変換』です。それ、人工の魔力炉やん、と。


 こっちの世界的に言うと空気を燃料に変換してどこまでも走って行く車、とか、電源無しで動き続けるプリンター(&パソコン)的な?


次回、8月14日の朝 更新予定です。



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― 新着の感想 ―
[一言] コピー機を愛理に持ってこさせたらいいのでは?
[良い点] まさかのAI反乱劇とは、爆発のノルマが満たせなかったけど、「どうしてこうなった!?」のノルマが無事達成ですね(笑) ちなみにやっぱりマリーさんの性格なら正妻を務められそうですね! 比べた…
[一言] 楽の為に苦労せねばならんのだ
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