プロローグ すたんぴーど
むかし むかし そのまた むかし
星の降る村は危機に瀕していました。
迫り来るは、大地を覆うほどに増殖した魔物の群れ。
それらを率いているのは、この世界に初めて発生した“魔王”
幾千、幾万……数えることすら不可能な数の魔物と、それらを率いるに足る実力を備えた魔王。その光景を見て誰かが『世界の終わり』だとつぶやいて……。生まれたばかりの小さな小さな村では、抵抗することすらできずに飲み込まれることが“運命”でした。
しかし、この村には“彼女”がいました。
ユーナ・アベイル。
後に初代勇者と称えられる英雄。
二千年後も語り継がれる神話。
今はまだ、初めて恋を知ったばかりの乙女。
彼女の瞳は怒りに燃えていました。
あかいあかい、血を啜ったかのような赤色の瞳で、迫り来る『世界の終わり』を睨め付けていました。
「――汝ら罪あり」
残された石文にいわく。
彼女は、たった一睨みで『世界の終わり』を殲滅したといいます。一匹の例外もなく殺し尽くしたといいます。
しかし。
けれども。
建国神話にも、子供向けの物語にも。ユーナ・アベイルの“一睨み”は記載されていません。
それはそうでしょう。
たった一度睨んだだけで。大地を覆い隠すほどの魔物の群れを殺し尽くすことなど。きっと神様にだって不可能なのですから。
神話にいわく。
初代勇者ユーナ・アベイルは初代魔王を討ち取りました。
物語にいわく。
ユーナ・アベイルと魔王は七日七夜に渡る一騎打ちを演じ、ユーナの力を称えた魔王は二度と悪事を働かないと誓いました。
何が本当であるのか。彼女本人が語ることはありません。
ただ、意味深に目を細めるだけで……。
本日夕方頃また投稿します。




