表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼女ヒロインは女の子を攻略しました ……どうしてこうなった?  作者: 九條葉月
第五章 聖女と○○○○編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

122/229

第五章 エピローグ  王太子になった日。(リュース視点)

 リュースが立太子したときのお話。(第55部分 閑話 国王リージェンス参照)




 どんな経緯かは覚えていない。


 立太子の時を迎え、妃陛下(母上)に連れられて貴族たちへの挨拶回りをしていた最中。どういうわけか私の周りからは人がいなくなり、妃陛下もどこかへ行ってしまった。


(つかれた……)


 もう帰りたいとワガママを言いたいところだが、すでに“王太子”となった私にそんな自由があるはずもなく。私は疲労と息苦しさから逃れるために窓を開け、バルコニーへと移動した。


 偶然か。

 必然か。

 あるいは、運命か。


 バルコニーには先客がいた。


 私と同い年くらいの少女。


 貴重なる銀糸の髪は月光を受けて妖艶に輝き。身に纏ったドレスは一目見ただけで金貨を積み上げなければ購入できない最高級品であると察せられ。だというのに私の目は銀髪でもドレスでもなく――彼女の目元へと引き付けられていた。


 瞳を隠すように巻かれた、包帯。

 あのように目を覆われては視界などないはずだ。視認などできないはずだ。


 だのに。

 少女は確かにこちらを向き。私をしかと視界に納めた(・・・・・・)


「…………」


 少女の瞳は見えないけれど。それでも、少女は物珍しそうな目で私を見つめてきた。見つめられていると理解できた。


 大魔術師としての将来を約束された銀髪。

 両目を覆い隠す包帯。


 ともすれば恐怖を感じてしまってもおかしくはないのに。私はなぜか怖がるどころか穏やかな心持ちになってしまい。


「こんにちは。こんなところでなにをしているのですか?」


 自分でも驚くほど優しい口調で声を掛けていた。

 瞳は見えないまでも、少女が驚いたことは分かった。


「……ちょっと夜風にあたっていたのです。からだを貸していたら疲れてしまいましたので」


「? あぁ、すこし顔色がわるいですね。だいじょうぶですか?」


「えぇ、平気です。おじいさまが馬車をよびに行きましたので」


「そうですか。安心しました。では馬車がくるまですこしお話しましょうか」


「……わたしが恐くないのですか?」


「? べつに恐くないですよ?」


 私がそう答えると、少女はおもむろに目元を折った包帯へと手を伸ばし――解いた。


 少女の瞳が露わになる。


 血を啜ったかのような赤い色。

 月光よりなお明るい、金色。


 その時の私にはその色がどんな意味を持つのか知らされていなかった。


 ただ、綺麗だと思った。

 人が有するとは信じられないほど。

 あまりにも綺麗で、現実とは思えない美しさ。


 だからだろうか。

 私はまるで夢を見ているような気持ちになった。




 ――今にして思えば。

 だからこそ。私はこの出会いを『夢』だと思っていたのかもしれない。再会したあとも、このときの出来事をすぐに思い出せなかったのかもしれない。




 ずけずけと少女の瞳から視線を外さぬ私を見て。少女は、小さく小さく吹き出した。


「あなたは、とても優しい人ですね」


「そうでしょうか?」


「そうですよ。……あなたのような人がいるのなら、わたしはもう少し期待してもいいのかもしれませんね」


「?」


「この世界(くに)は視たくないものにあふれていますから」


「見たくないもの、ですか?」


「えぇ。とても、とても醜いものにあふれているのです」


 少女のが何を言いたいのか。このときの私には理解できなかった。

 ただ、眉間に皺を寄せる少女を見て。

 泣きそうな目をしている彼女を前にして。


 私は、何かをしてあげたいと強く思った。


 だからこそ。



「この国が醜いものにあふれているのなら――」



 ――私が何とかする。



 そう誓った。

 いずれは父上の後を継ぎ。国王となって。この国を、もっといい国にしようと思った。この少女が笑っていられる国にしようと決意した。


 あぁ、そうだ。


 私は、きっと。


 はじめて。

 義務感でも、使命感でもなく。

 王族だからとか、唯一生き残った『息子(むすめ)』だからとか、そんなことも関係なく。


 純粋に。

 真っ直ぐに。


 自分の意志で、王になると誓ったのだ。


 だからこれは私が選んだ道。


 誰に否定されようが。誰と別れることになろうが。

 その先に、少女の笑っていられる国があるのなら。


 私は、

 この国の王に――




「――なれますよ」




 少女が、笑った。


「優しいあなたは国王になって、とても優しい国を作りますよ」


 まるで未来を見通したように少女は断言した。穏やかに微笑みながら。柔らかな銀色の髪を夜風に揺らしながら。


 その美しさに、呼吸が止まった。

 胸の鼓動がはじめて乱れた。


 あぁ。


 きっと。



 ――あれが、私の初恋だったのだろう。











 璃々愛

「実は子供の頃に出会っていました、なんてありがちな展開だよね~」


 オーちゃん

「だから何でお前は色々と台無しにするかねぇ……」




まだ伏線の回収や事件の後始末も終わっていませんが、キリがいいのでこれで五章を終わりにします。


六章は今回の後始末をしつつ、悪役令嬢ミリスメインのお話になるはずです。


次回、6月20日更新予定です。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まあ実際悲劇を喜劇に変えてやろうっていうおもしろ女とか普通に興味対象ではある
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ