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自動車運転方法論  作者: 南風吹太郎
第一章 運転の苦手な方のための運転方法論

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6/13

合流にはすべてが詰まっている

『合流下手はすべての下手に通じる』という格言がある。


 私の運転の師匠が作った格言だと思うので、おそらく世間一般的にはしられていないものではあろう。しかし、そのことを頭に入れて今まで運転を続けてきた私の経験から言うと、それはまさにもっともだと言えるものだ。


『合流』には車の運転に必要な要素がすべて詰まっているのである。

「バックなんか合流の時にしないだろ」という声が聞こえてきそうである。しかし、バックの時に必要な『車体感覚』『距離感覚』『鳥瞰視』も、少なくとも私は合流によって磨かれた。私は縦列駐車が大の得意であるが、ファスナー合流が身についていなかった頃は縦列駐車も下手だったのである。


 ゆえに合流のうまい人は運転のうまい人だといって差支えがないように思う。

 ここで言う『運転のうまい人』というのはもちろん、何度も述べているとおり、『交通全体の安全と円滑を実現できる人』という意味である。念のため。


 さて、私はうまい合流のしかたについてここまで述べてきたのであるが、今になって不安に思うことがある。

 私はすべての人にとって実現可能なことを書いてきただろうか?

 私はファスナー合流を身につけてからは、合流の際にギクシャクしたことが一度もない。

 本線を無駄に停めてしまったことも、自分がブレーキを踏んだことも一度もない。

 しかし、私の合流のしかたを教えれば、誰もが私のようなスムーズな合流ができるかといえば、それは疑問である。

 私には鳥瞰視点が身についているし、スムーズに縦列駐車できる車体感覚も身についている。危険予測のパターンが豊富で正確だという自信があるので、他車の動きに対して余裕をもった反応をすることもできる。

 しかしこれらが誰にでも身についているかといえば、もちろんそうではない。

 最近、加速車線のどん突きで停まってしまう方をなぜかよく見る。私のエッセイを読み、参考にしてくれてらっしゃるのかな、などと思ってしまう。しかし、ゲームの上手な者がいくら理屈を説明しても慣れていない人に真似できないように、理屈がわかっていても同じように出来ないことはあるものだ。


 私はむしろ、教えられて迷惑になるようなことを教えているのだろうか?


 たとえ間違っていても、その人がやりやすいようにやるのがもしかすると一番なのか?


 それは違うと断言したい。


 つい最近、高速道路で大規模な渋滞があった。

 事故だか故障だかで片側二車線の一車線が潰れており、いつもなら30分もかからず通過できるところに2時間半ほど費やされた。


 たかが、二車線が一車線になっていたぐらいで、2時間も多くかかったのである。


 その理由は交通量が多い時間帯だったということもあるが、何より私が見ていて思ったのは、走っている車の実に99.999%が『合流下手』だったのである。


・車線をひとつ意味のないものとして使ってしまう

・先頭から1台ずつ入らず、空きを見つけたら盗むように直角にねじ込む

・本線の車が車間距離を詰め、合流車をブロックし、結果として入れないわけに行かなくなり、ブレーキを踏んで大幅に減速する


 とにかく合流部分がカオスなため、そりゃー渋滞も無駄に悪化するわけだ。


 合流のうまい人は運転のうまい人である。それは交通全体の安全と円滑を実現する。そういう人が少しでも増えて、合流下手な人がせめて60%ぐらいになってくれたら、この間の渋滞はせいぜい30分遅れぐらいで抜けられていたと信じる。


『我先に』ではなく、正しい合流を先頭からしている人を見て『割り込みだ』とか勘違いすることもなく、けっしてブロックも直角に突き刺さることもせず、正しい合流のできる人が少しでも増えれば、この間の渋滞のようなことにはならないと信じるのである。


 もちろん合流上手になるために必須のスキルというものはあり、それは一朝一夕で身につくものではない。

 しかし、このポイントだけ押さえておけば、いつかは合流がうまくなれる──逆にいえばこのポイントを押さえていない人は永遠に合流下手なままだというようなものは、ある。


1・合流のための車線をちゃんと使うこと

2・ペースを本線と合わせるためにアクセルを踏むこと

3・ミラーをちゃんと複数回見ること

4・前の車と車間距離を取り、スピード維持のためならちゃんと詰めることもするということ(このへんは吸収車の話のあたりで書いたはずだ)

5・合流を受ける側は合流車を入れるスペースを空けておくこと

6・先頭から1台ずつ合流すること

7・本線が長い時間止まっているのでない限り、『必ず』走りながら合流すること(止まった状態から合流するというのはあり得ない)


 すべて出来ていない人が90%以上だと思っていつも見ている。特に加速車線をまったく使わない人、止まった状態から合流してしまう人は多すぎる。

 ちゃんと加速車線を使っているのに合流できない人の場合、見ていると2が出来ていない人がほとんどである。合流車線では加速しかしてはいけない。本線より速くなりすぎないよう調整はもちろん必要であるが、『本線を抜いてしまうのは失礼だから』とでも思うのか、本線が止まったら自分も止まってしまうような人とか、あるいは速い本線の流れを見ながらまったく加速しない人などを日頃よく見る。


 教習所で少なくとも『加速車線ではしっかり加速する』とかは習ったはずである。

 現場に出てしばらくすると自分のやりやすい方法でかたまってしまうのか、とにかく交通全体に悪影響を与えるような運転をする車がほとんどである。

 ついでに言うと、合流車のために本線の車がブレーキなど踏んではいけない。車間距離を予め取っておけば、そのまま走っていれば相手はそのまま入って来られるはずである。

 そのための車間距離と理解できない合流下手なオッサン(あるある)がそこに雪崩のように押し寄せて詰め詰めにしてしまった場合も、そのまま走ればいいのである。オッサンが悪いのであって、あなたが悪いわけではないのだから。


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