サファイアの誘惑 5
※あくまでファンタジーです。
その日私は夢を見た。
牢獄で、ローエンが隣にマリア様を連れて私を嘲笑いに来る夢だった。
「…国を傾けた王族の我儘姫よりも、領地・財産・人脈・美貌の全てを兼ね備えたマリア嬢のほうが妻に相応しい。…そうは思いませんか、殿下」
「なんてみすぼらしいのでしょう!これが姫?笑わせますね」
返事もできない。私は、マリア様がローエンの腕にそっと寄り添うのをただ見ていた。
…のどが、乾いた。私は家畜が飲むような、桶に張られた水を覗き込む。
まるで骸骨のような、恐ろしい女が水面から私を見ていた。
思わず悲鳴を上げて後ずさる。ローエンとマリア様はそれを見て笑った。それを見て私は気がつく。
水面に写ったのは私だ。私が骸骨のように見すぼらしく、恐ろしい容姿をしているのだ。
こんな私をローエンが助けてくれるわけがない。ローエンがマリア様と天秤にかけて選んでくれるわけがない。ローエンは我儘な私のことが嫌いなのに、改心すらできなかった私なんて…
「っ!ひ、っ、はあっ!はあっ!」
思わず飛び起きて、蝋燭の火が揺れているのを確認した。現実はこっちだ。やっと眠れたのに、最悪の夢を見た。呼吸よりも吐き気が強い。涙が止まらない。屑篭に思い切り吐いて、ひとしきり泣いた。
「リビー様。薬草茶です」
「あり、がと…う」
心配そうに側に控えてくれていたエリザが、水を持ってきてくれたので口をゆすぐ。それから、いつものお茶を出してくれた。味には、随分慣れた。これを飲むと本当に、リラックスできる。少しばかり心が解れる。
「一度睡眠薬を試してみますか?眠れないのはもうお辛いでしょう」
「眠れないのではなくて、眠りたくないの…」
見たくないものばかり。でも、過呼吸が起こっていない。大丈夫。
また横になって、窓の外の夜空を眺めた。
「エリザ、もう休んで。私の不眠に付き合わなくていいのよ」
「昨日はぐっすり眠りましたから大丈夫です」
私よりエリザのほうが、心配だ。目の下にくっきりとしたクマを作っているエリザのために、眠らなきゃならない。私が眠らなければエリザも眠れない。エリザを安心させてあげたいのに。
明け方、ルース様はお仕事があるので一旦領地に帰った。マリア様も一旦、こっそり王都に帰った。丁度良いのでエリザには昼寝をさせた。一度眠るとエリザは夕方まで起きなかった。その間にまた医者に会った。
「夢を見ました」
私は正直に言った。
「婚約者が、私を見に牢獄までやってきて、私を要らないと言う夢です」
「それは何故?」
「私には何もないから」
領地も、財産も、人脈も、美貌も。何一つとしてマリア様に勝るものがなかったから。牢獄に繋がれた罪人より、誉れ高い貴族を選ぶのは当然のこと。
思い出すとまた動悸がし始めた。胃がムカムカして、落ち着かない。
「牢獄にいることが恐ろしかったのですか」
「………………いいえ」
すとんと、何かが自分の中で組み合わさるような音がした。私の恐怖は、牢獄ではないような気がした。でも牢獄が恐怖の引き金であることは、間違いないと思う。
「家族が死ぬことは?」
「…父と母以外はどうだって良かったわ。家族だとも、思っていなかったもの。1人残されるのは、寂しいと思ったけれど」
大体全員の名前すら覚えていなかったもの。父親と母親と、あとは数人の兄妹だけ。私も死ぬのに、誰かの心配なんてしていられなかった。ただひたすらに寂しかっただけ。死が間近に迫るのを感じていた、それだけ。
「夢の中で自分が死ぬことは恐ろしいことでしたか」
「………分からないわ」
分からない、けれどそれは違うと思った。死ぬことが怖いのは、当然だ。だけど私は、牢獄にいた頃は寧ろ死を受け入れていた。処刑は望んでいなかったけれど、早く死にたかった。死なねばならないと思っていた。だけど何のために?思い出せない…
「私は、私が醜い姿でいるのを見ていられなかった、のかも」
「醜くなるのが恐ろしいのですか」
それは、恐ろしい。自分が自分でなくなるようで…
「何故醜いことが恐ろしいのですか」
「女なら誰だって恐ろしく思うものだと思いますが」
「一般論ではなく、貴女がどう思うかです」
あの牢獄から連れ出されて、窶れて顔が変わっていても、あの頃は気にならなかった。否、気になっていたけれど、それ以上に自分に余裕がなかった。死にたくて仕方なかった。死なねばならないという強迫観念が。あれは民に報いるためだと、私はそう思った。だけど、それすら本当なのか怪しいのでは、ないだろうか。
何故美しくないことを怖がる?
何故処刑台に立たされることを怖がるのに、死にたがる?民のために死ぬのに、どうして見られるのが怖い?
「わ、たしは、」
口の中がカラカラに渇く。
何か真実の淵に手が届いた、ような気がした。私の恐怖の源は。
「醜いことが、恐ろしい。死にたくなるほど、恐ろしかった…だけど、その理由は…?間違いなく、あの瞬間は…、牢獄の中で死にたかった。どうしても死ぬつもり、だった。だって、生きていても」
「生きていても?」
「生きていても、もうどれほど探しても、」
生きながらえても。世界中どこを探しても。私の隣には、もう。
「…この世のどこにも、」
そう、あの時の私は。涙が頬を伝って顎から床に落ちていく。気持ちが、牢獄の中に戻る。あの頃に感じていた絶望は、死ではない。私の絶望は。
「ローエンはもうこの世にはいないと、思っていたもの…」
ローエンはとっくに死んでいるものだと、思っていた。それにローエンに心底嫌われている、私が嫌で仕方なかった。
だったら早く死んで、ローエンに釣り合う心優しい人に生まれ変わって、また恋をしようと。何もかもうまくやり直したかった。
民に報いるためだなんて、なんて、なんて傲慢な。私は私のために死にたかったのに。民のことを考えているふりをして、ローエンに良い子になったと思われたかった、だけなのに。なんて卑しいの、なんて醜いの。
私の価値は顔だけ。
国にいた頃からそれは自分でも理解していた。他の姉妹たちより可愛いから父には目をかけられ、上の姉よりずっと良い生活をした。父に忘れ去られれば、姫なのに下女に混じって生きていくしかない。姫として出席しなければならない舞踏会には、他の姉妹が着古して捨てたドレスをゴミ捨て場から漁って着るしかない。私にはそんな生活は、耐えられない。だから、わたしは、自分の顔の価値を重々理解していた。ローエンにも、私の顔は財産だと、不仲だった姫の時にすら言われたことがある。
醜くなれば、私には一切の価値がなくなる。価値がなくなれば、ローエンは私を選んでくれない。私が日々精一杯可愛く生きるのは、ローエンがそこにいたから。ローエンが選んでくれると思ったから。ローエンだけが私の生きる意味だったから。
「貴女の恐怖は、何ですか」
「ローエンに、選ばれない、こと」
牢獄は、ローエンに二度と会えない絶望と、国ごと私を捨て去ったローエンへの、二重の苦しみの象徴だった。牢獄で苦しんでいるのではない。ローエンがいないことに苦しんでいたのだ。ローエンがマリア様を妻のように扱っていると知って、今までで一番恐れていたことが現実に起きたのだと、私は衝撃を受けた。逃れようのない苦痛を。価値のない私など、愛してくれないローエンを。
ローエンが守ってくれることに反発するのは、守られれば余計に自分に自信が持てなくなるから。私はマリア様のように全てを持っていないし、ルース様のように1人で生きるだけの力も持っていない。私には、何もない。何不自由のない健康な体ですら。
価値のない私など足手まといだとローエンに捨てられることが、何よりも怖い。ローエンに要らないと言われるのが怖い。
何よりも、どんな苦痛よりも。
「すっきりした顔をしていますね」
夜になって帰ってきたマリア様にそう言われた。私は薬草茶を啜りながら、小さく頷く。
「マリア様、ここに連れてきてくれてありがとう。おかげでやっと、自分と向き合えました」
「何よりです」
マリア様は太陽のように眩しい笑顔を向けてくれた。
「向き合えたからといって、身体が良くなるわけではないそうなんですけどね」
「私は良くなると思っていますよ」
「私…良くなれば、それが一番だと、思っているのですけれど」
「…子供のことですね?」
良くなって、子供を持てる身体になったらどうなる?今でも子供っぽい私に、子供を育てられるだろうか。立派な母親になれるだろうか。王家の血を残しても、良いだろうか。
「子供を持つことは、素晴らしいことですよ。どんな宝石やドレスよりずっと大切なものができるのです。何よりも愛しい存在が。子供の成長を眺めているのがどれほど楽しいか」
「何よりも愛しい存在…」
ローエンよりも?私にはとてもそうは思えない。だけど私が産めないと、ローエンには…
「今日は眠れそうですか」
「はい」
私がここ一週間と少し、ずっと眠っていないのを、マリア様は知っている。マリア様と仲良しのエリザがすぐに話してしまう。
「明日に備えて、ゆっくり休んでくださいね」
「そうします。マリア様、私はこれで」
「おやすみなさい、リビー様」
マリア様が笑顔で私を見送る。私は自分の部屋に入って、久しぶりに襲ってきた心地よい眠気と戦うことを、早々に諦めた。エリザに掛け布団をかけられている間に、私は眠ってしまった。
その日はここにきて初めてぐっすり眠れた。
夢を見た。だけど起きれば忘れてしまうような些細なものだった。
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「マリアと喧嘩したと聞きましたが」
「…貴方の妹が僕の妻を拉致したので」
城の執務室で終わらない書類仕事をしていると、いつもの訓練を終えた汗だくのアルフォンス・ローレライ将軍がやってきた。水浴びでもしてから来れば良いのに。僕は部下に濡らしたタオルを将軍に渡すように指示をして、仕事に戻った。将軍はタオルで身体を拭き始める。だから他所でやってくれ、他所で。上着を脱いで、鍛え上げられた肉体を惜しげもなく披露する将軍にちらりと視線を送ると、将軍は僕の細い身体と自分のを見比べて言った。
「君も鍛えたらどうですか」
「…僕は文官ですが」
「外交していると危ない場面が多々あるでしょう」
「…そのために貴方がいるのでしょう」
僕は、結局5年前からずっと外交官を任じられていた。僕の専門は戦争状態に陥った時の交渉役。僕が忙しくなるのは戦前、戦中、戦後の情勢が落ち着くまで、の期間だ。ついこの前にラガソールという大きな国と戦争の末に和平条約を結んだ。まさに情勢が落ち着くまでの今の期間は目が回るほど忙しい。調整することは多いし、話さねばならない人は山のようにいる。
でもこの仕事はリビエラには秘密だ。リビエラには、祖国とのパイプ役としての外交官だと言っている。僕が危ないことをしていると、リビエラには教えたくない。リビエラに余計な心配をかけたくはない。
「…そもそも鍛えているような暇がないので、無理です」
「30過ぎたら体の肉が落ちなくなりますよ」
「…僕は元々少食だから、気にしてもらわなくても大丈夫ですよ」
マリア嬢に似ている顔を見るとイライラする。僕は乱暴に資料をファイルに綴じた。
「そういえば君のところ、後継問題はどうなったんです?」
「ネタ元は陛下ですか?…僕はまだ20代なのに後継を考える必要があります?」
「僕なんか爵位すら継いでないのに後継の心配をされていますよ」
だから何だっていうんだ。僕はイライラと指で机を叩いた。
「後継を作らないのではなく、できないなら、別の誰かがその穴を埋めようとおせっかいをするのはよくあることでしょう」
「…だから?」
「リビエラさんの目の前で、ミッシェルさんが君の妻に名乗りを上げると宣言しちゃったから、リビエラさんがパニックになったらしいです」
「ミッシェル・ローズヒルズが?」
マリア嬢の、元妹だ。城で偶に会えば少しくらい会話するくらいの仲。とはいえ、僕が出会う時の彼女といえば、陛下に取り入ろうとして失敗して追い返されている後ろ姿。もしくはマリア嬢と大喧嘩しているところ。しょぼくれて今にも泣き出しそうな姿ばかりで、なんとなくリビエラを見ているようで放っておけなくて、少々アドバイスする程度。それがそういう風に誤解させたなら、圧倒的に僕が悪い。
「…ミッシェル嬢のことは今後一切無視しますので、問題解決」
「極端すぎます。僕もミッシェルさんのことは放っておけないから仕方ないとは思うんですけどね。問題はミッシェルさんじゃなくて、君ですよ」
「…はあ」
ミッシェル嬢は、放っておくと今にも塔のてっぺんから身を投げそうな程にやつれてきている。マリア嬢との確執とか、自分のこととか…さすがに可哀想すぎて、みんな放っておけない。…が、問題はそこではないらしい。
「君が社交界にリビエラさんを連れて行かないから可笑しなことが起きているんですよ」
「……………………………社交界にリビエラを連れて行け、と言いたいわけですか?」
将軍は頷いた。僕はじっと将軍を見つめる。
「…亡国の、公式には処刑済みの王女を、この国の王城に伴えと?」
「はい」
「…リビエラだと世間に知られると、彼女の身が危ないのに?」
「なにが危ないんですか」
将軍は首を傾げた。
「例えばリビーさんが王族に返り咲きたいと思っているならレジスタンスに加担して大変なことになるかもしれませんが、リビーさんにその意思は?」
「ありません」
僕が知る限りでは。
「…貴族の中には自分の待遇をリビーの所為だと恨む輩がいる可能性も捨てきれません」
「そんな輩はアリシア様が切り捨てます」
「…女王だって完璧ではないから、隙をついて狙って来ることもある」
ナタリーのような脅威が、リビエラを襲うかもしれない。だから油断なんてできない。
「…僕はこれ以上リビエラを傷付けたくないんだ。…家にいれば安心できる」
「リビエラさんが外に出たいと思えば、君のその守りは破綻します。現に、マリアの屋敷に行ったことでリビエラさんは文字通り目が覚めたのでしょう」
「僕から言わせれば、マリア嬢は勝手にリビエラに『リビエラが傷つくような』『不必要な情報』を与えて甚振ったに過ぎない」
僕が頼みもしないのに、リビエラに要らぬ苦痛を強いただけ。迷惑千万。それに今度はリビエラを僕に何の断りもなく連れ去った。僕が怒るのは当然のことなのに、将軍に説教されるのは間違っている。
「…マリア嬢は他人に自分と同じ基準の幸せを求める。…僕とリビエラは、貴方やマリア嬢とはまた違った人間で、異なった価値観を持つのです。…貴方たちの思う幸せは僕にとってはそうではないかもしれないということを、いい加減理解して頂きたいところ」
「君の幸せが果たしてリビーさんの幸せと合致するのかが問題なのです」
「……合致していない?」
僕が聞き返すと、将軍はまた頷いた。
「話を聞く限り、王女だった時は社交的な方だったのでしょう?頻繁に夜会や舞踏会に参加されていたとか」
「…はい」
「だったら今の屋敷に閉じ込められる生活は窮屈に感じても仕方のないことだと思いますが?」
「…………はい」
それは、たしかにそうかもしれない。だけどリビエラが生きていくためには少なからず犠牲を払わねばならない。リビエラを隠して生きることが一番安全な策だと、僕は思うのだが。
「…要するに、貴方は陛下に『リビエラに合わせろ』と言われているのですね?」
将軍は黙ってにっこり笑った。
「…そして陛下に、リビエラに絡む諸問題は陛下自身でどうにでもすると言われているのですね」
将軍の笑顔に冷や汗が追加された。
「…陛下から言っても僕が聞かないから、貴方に言わせたのですね」
「そこまで分かったならもう良くありませんか…」
将軍は引きつった笑顔で言った。
「…もし、リビエラが外に出た方が幸せだと思うなら、僕はそれで構いません」
それでリビエラが幸せだというなら、僕にはそれを拒む権利はない。
「…ですが、もしリビエラが外に出て傷付くというなら、僕はもう二度とリビエラを外に出したりしない」
「人間同士の触れ合いですから、傷付くこともたまにはありますよ」
「…僕はリビエラにそれすら経験させたくないのです」
もう痛みを与えたくない。どんな些細な苦しみも。僕に大人しく守られてくれれば、それが一番なのに。
「内に閉じこもることだけが守る方法ではありませんよ」
「…例えば?」
「外に出て、隣に立ってあげる。それだけです。でもそれが一番大切。僕の妻は自分に自信が持てなくて、臆病なんです。でも僕が隣に立っていれば、それだけで勇気が出て怖いことがなくなるんだと言っていました。リビエラさんが求めているのはそういうことじゃないかと、僕は思います」
そんなことで、あのリビエラを守りきれるとでも…そんな生温い守りで、リビエラを守れるとは到底思えない。
「それから、勇気を振り絞ったら全力で褒めるんです。涙を堪えて立ち向かえば、よく頑張ったね、って言ってあげる。怖くて泣いてしまったら僕が付いているから大丈夫、と囁く。たったこれだけです」
「それは…」
「意志を持つ人間に、閉じこもって動くなというのはそもそも無理な話なのですよ。強制されれば反発したくなるのが人間です。そういうものです。それでも強制できると思うなら、それは傲慢です。リビエラさんを見下して、弱さにつけ込んで支配しているだけ」
「傲慢」
リビエラにも言われた言葉だった。その言葉を反芻すると、胸に痛みが走った。
「…僕は、傲慢、か」
リビエラを見下していたつもりはない。支配していたつもりも。だけど僕の行いを振り返れば、リビエラを弱いと断じて、一切の情報を与えず世間から遮断し、屋敷から一歩も出られないようにリビエラを支配していた。リビエラの体調を考えての行動だったけれど、リビエラにとっては窮屈でしかなかったのだろう。リビエラの選択肢が僕しかいないというのは、確かに心地の良いものだった。安心できた。だけどリビエラは逆に、僕しか選択肢がないのは恐ろしいことだったのではないだろうか。他に逃げ道も、頼れる人もいないのは。マリア嬢に言われて素直に家を出たのは、マリア嬢が僕の他に唯一の選択肢になり得たからなのだろう。
「リビエラが世間に混じって、僕以外の選択肢を選ぶことが…僕は心底恐ろしいと思う」
僕がリビエラを縛り付けるのは、リビエラを守りたいし、リビエラが僕から離れられないようにしたかったからだ。リビエラが離れていくのは、耐えられない。
「それは君の努力次第。とりあえずリビエラさんの不安を取り除ける方法を探せば良いのでは?」
「…不安?」
「まずは後継問題。それさえ解決すれば、君の妻の座を狙う女は激減するでしょう」
将軍はそう言って、微笑った。
「…実は、アテがあります」
あまり考えてはいなかったけれど。リビエラを安心させるためなら、それもまた僕が妥協すべきところだ。
ローエンが石頭すぎてなかなかうまく反省させられなかったのが反省点です。




