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東征11  救い

お久しぶりでございます。


生きてます!!後書きに今後のこと、詳しく載せました。よろしくお願いします。

村に残してきた真獣人達の姿に、レグルスは驚きを隠せない。


「お前達……なぜ、ここに」


その問いに答えたのは、若き狼顔の男であった。


「勿論、長と共ににあるために」


「馬鹿なっ!お前達が動けば、あの豚王は我らが幼子を……」


「落ち着いてください、長」


狼顔の戦士はそう言って、レグルスの肩に静かに手を置いた。そして、そっと己が後ろの方に目配せをする。


静かに二つに分かれる真獣人の集団。その中心に、1人の男に抱えられた真獣人の幼子の姿があった。


「ま…まさか」


「はい、そのまさか……です」


そう言うと狼顔の男はにっこりと笑った。


「あの子は救われたんです。この人族の軍勢に……」



アレスがゼッカ達に命じていた、最重要指令。

それはドルマゲスに握られているレグルスの弱味を掴み、それを救出する事であった。


その指示を受け、『龍の目』はすぐ様行動を開始する。


ドルマゲスの居城はいずれも魔獣達が跋扈し、徘徊している。同時に、警備に対して整った体制はない。

その様な城から、人質を救出することなど、隠密行動において大陸一であろう、『龍の目』にとっては朝飯前の事なのだ。


ドルマゲスの城に潜入、後にすぐにその場所を調べ、そして人質の救出を成功させたのである。


「そんな……こんなことが……」


「長よ……もうあなたが苦しむ事は無いのです。我々は……救われたのです……」


涙ぐむ狼顔の男。


レグルスは真獣人の幼児(おさなご)に目を向ける。目は虚であるが、命に別状は無さそうだ。


「間に合ってよかったよ」


ふと、自分の後ろのほうから声を聞こえる。


そちらの方に顔を向けると、さっきまで命のやり取りをしていた相手が、足を投げ出して地面に腰を下ろしながら、穏やかな笑みを見せている。


「……あの男たちはお前の知り合いか?」


「あれは、僕の配下の者たち……いわば防諜部隊さ」


そういうと、その男はゆっくりと立ち上がった。だが全身ボロボロだ。少しふらつくのが遠めでも分かった。

慌てて彼の部下らしき男たちが肩を支える。


「さぁ、真獣人の長よ。とりあえずまずはこの戦いを終わらそう。だから……まず初めに魔物に向けてはなっているその『闘気』を解いてもらっていいかな?」



レグルスが魔獣を統率するために使っていた闘気を解くと、途端に魔獣たちはバラバラな動きをするようになった。


「やはりこうなると所詮は獣の群れだね」


アレスはシュウの肩を借りながら、その様子を小高い丘で眺めていた。


「で、どうするのだ。いくら統率を解いたからと言っても数は減らないぞ」


その問いにアレスは笑って答えた。


「統率がなくなれば魔獣など怖くもなんともないさ。どうとでも対処のしようがある」


そういうとアレスは魔獣の群れの方に視線を向ける。


「さて……最後の花火を打ち上げようか。まずは奴らを混乱させよう」


「……御屋形様、くれぐれも無理をなさらぬよう」


シュウは少し心配そうな表情を見せる。


「心配はありがたいんだけどね……まぁ、これをやらないと今回の戦は終わらないしね。ちょっとだけ無理はするよ……主人としては部下を心配させるなんて失格だよなぁ……」


そういうとアレスは静かに魔法の詠唱を始めた。


(いったい何が始まるのだ!?)


黙ってその様子を他の真獣人とながめるレグルス。


アレスは目を閉じながら詠唱を続けている。


(今回はコントロールが難しいからね……慎重にやらないと街の方影響があるからなぁ)


そう心の中でつぶやくとアレスはカッと目を見開き、そして無属性における究極魔法を放った。


「いけっ!流星爆撃メテオストライク


彼の言葉とともに、雲一つない空が途端に暗くなり、その後……





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ





異様な音とともに、隕石が雨あられのように降り始めたのである。


最初はだれもいない戦場の後方に隕石が落ち始める。


それを合図に、アレスの軍勢は一路、城門の中に避難していく。

無駄のない統率された動きにレグルスは目を見張る。


反対に魔獣の群れはその轟音を聞き、狂乱し始めた。


次第に隕石は魔獣たちの方向にも向かい始める。そしてその頭上に、一つ、また一つと隕石が降り注いでいったのである。




「ギシャァァァァァアアアア!!!」




魔獣たちは大混乱に陥った。



しばらくの間隕石は降り続いていく。その様子はまさに地獄絵図。魔獣たちは潰され、そして吹き飛ばされて息も絶え絶えになっている。逃げ惑う魔獣が仲間の魔獣を踏み潰す。空を飛ぶ魔獣は隕石を避けるために飛び回りぶつかり合って地面に落ちる。

混乱が混乱を呼び、お互いが助かるために同士討ちを始めた魔獣も現れた。そう……戦場は混乱の極致を迎えたのである。




だが、苦しい状況なのは魔獣たちだけではない。


「ぐっ!!」


「御屋形様っ」


「大丈夫だ、もう少し続ける……」


アレスの方もまた、今まで見たことがないぐらいの青い顔をし、息も絶え絶えの状態になっている。


流星爆撃メテオストライクは本来長時間使うものではない。


古文書に記された「対戦略魔法」


それ故にその消費魔力はすさまじく、場合によっては術者の命をも奪いかねないものなのである。


シュウは己が主のその姿を見ながら、同じぐらい青い顔をしてその様子を眺めていた。


(くそっ、ここにシグルド殿がいてくれたら……)


彼ならきっとアレスを止めていただろう。だが、自分にはまだそれができない……なんと情けないことか。


そう思った瞬間だった。


アレスが膝をついたのは。


ここで流石のシュウも駆け寄り声をかけた。


「御屋形様、もうやめましょう。あとは我々にお任せください」


「……残念だけど……これまでだね……まぁこの魔法の役目は…魔獣の戦意、喪失と混乱な、わけだから……あとは作戦通り、騎兵を、突撃させれば……」


「もう大丈夫です、御屋形様。あとはお休みください!ゼッカよ!!」


「わかっている!あとは任せてくれ!」


シュウの叫びにゼッカも急いで現れる。ゼッカもまた普段にはない焦りの色を顔に浮かべていた。


「ははは……ゼッカが焦る姿って……付き合い長いけど初めて見たような……」


「お戯れはもうおやめください。もうお休みになって大丈夫です」


「まぁあっちに真獣人の方々がいるからね……あんまりのんびりとは休めないんだけどなぁ……」


そう言いながら、アレスはゆっくりと崩れ落ちた。ゼッカはその姿を慌てて受け止める。シュウも同じように駆け寄った。


「大丈夫、呼吸に異常はない。少し眠られただけだ。おぬしはおぬしの役目を果たせ」


心配そうに見ていたシュウにそう声をかけるとゼッカはアレスを抱きかかえた。そしてゆっくりと戦場とは反対方向へ歩き出す。


対してシュウはゼッカの声を聞くや意を決意したように立ち上がり、ゆっくりとレグルスの方に向かう。


「真獣人の主よ」


「お、おう」


一部始終見ていたレグルスは声をかけられて戸惑いながらも返事をした。


「今から俺はあの魔獣を殲滅する。そなたたちはどうする?」


「……我らは……」


今のやり取りを真獣人たちは見ていた。


レグルスと戦いボロボロになりながらも渾身の魔法を使って倒れたアレスの姿を見ていた。


この姿に心を熱くしない獣人の戦士がいようか。いや、否だ。


「我らも行きましょう、長よ」


狼顔の戦士がそう答える。


「彼は……我々の同胞ともがらを救ってくれました。恩を返さずしてどうしましょうか」


「……他の皆はそれでよいのか……?」


レグルスの問いかけにほかの真獣人たちも黙って武器を天にかざし、戦う意思を見せる。


「あいわかった。人族の戦士よ。我ら真獣人もこれよりそなたらに協力しよう。いざ、いかん!!」


オオオオオオオオオオ 


真獣人の咆哮が響き渡る。


それを聞き、シュウは表情を崩さず、口を開いた。


「ならば我に遅れぬようにな!真獣人の戦士よ!」


「ハハハッ!抜かしてくれるわっ!」


その言葉にシュウもレグルスもお互い笑みを見せると脱兎のごとく駆け出した。真獣人の戦士も続く。


大狂乱の戦場にさらなる魔獣の悲鳴が響き渡るのは、このわずか後であった。







困ったときの流星爆撃メテオストライク


さて皆さま、お久しぶりです。生きてます。活動報告で詳しいことは載せましたが……またこの物語を書き進めたいと思います。まずは…東征編を完結せねば……


とりあえず、1年ほど空けていましたので私が話の内容をすっかり忘れておりまして。読み込むところからスタートしていました。

こんなにも間をあけたのに、何千何万とアクセス数があるのがありがたく。遅々としていますがこれからも話を進めていきたいと思います。まずは東征編。終わらせられるよう、頑張ります。


併せて、新作を投下します。

完全新作でこちらは初めの一週間は毎日。その後は週一で投稿します。


タイトルは

「魔王様の作り方 ~暗黒剣士+死霊術師+魔物使い=魔王になって無双することになりました~」

です。


https://book1.adouzi.eu.org/n0931hf/1/


上から入れます。ちなみにこちらは……なんと今日から投稿します(笑)


最初は王道な感じで……だんだん英英物語に似てくるかもしれません……というか似てます。

このお休み期間……英英物語考えているとふわふわと頭の横に出てきた物語。気になって形にしてしまいました。このお話が好きな人は意外と受け入れられるかもしれません。無理に……とは言いません。時間がありましたらかるーく目を通してみてください。




で、もう一つ新作。こっちは完全に趣味です。


「異世界ラーメン道」


https://book1.adouzi.eu.org/n1369hg/


もうこれ……ずっと書きたかったんですよ。実は英英伝より前にプロットを作っていたんです。ラーメン食べる度に考えていたんですよ。こちらは明日から投稿します。


とりあえず、こちらはブクマが300件超えたら新作を書きます。そんな感じで進めていきます。




でもまあここのあとがき読んでくださる皆様は。この英英物語が楽しみにしている方々ですので……。こちらの方をしっかり投稿できるよう、頑張ります!!よろしくお願いします!!



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― 新着の感想 ―
[良い点] おかえりなさい!待ってました 新作も読ませてもらいます!!
[一言] 初期の頃にこの作品に出会いブックマークをつけ評価しました。今回ずいぶんたまったので一気読みしてやはり評価は正しかったと思います。話としては先は長いと思いますが期待していますので、どのくらい時…
[一言] また更新されたのが何よりも嬉しいです。これからも応援してます。
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