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第90話 予兆と襲撃者

大変遅くなり申し訳ありません。

体調不良&少々私事で色々問題が重なって起きまして、執筆気力が落ちておりました。

なんとか少し気持ちの立て直しが出来たのでこれからも頑張って更新していく所存です。

これからもよろしくお願いします。

『進化――というよりも異常な急成長に伴う変移予兆のようです』


それが苦しそうにするルルについて【ロラ】が下した診断だった。

 しかし異常な急成長か……

 確かにルルの成長は目覚しい。

 ルルは俺の眷属として常に戦いの中にいた。

 さらに経験値共有の助けもあり、恐ろしい勢いでレベルが上がり、今回の『龍神迷宮』の探索から帰ってきた時には既にレベルは50となっていた。

 まだ生まれて間も無い魔物がである。

 これは確かに異常な急成長と言って差し支えないだろう。

 俺はここである事に気が付いた。


「ウイ、アルス。アルスの様子は?」


 アルスはルルと同じ日に生まれ、同じようにレベルを上げてきた。ルルが変移をし始めたのなら、アルスも進化や変移といった変化を起こしている可能性がある。


「すぐに見てきます」


 そう言うとウイは、慌てて厩舎に向けて飛び出していった。

 まあ、ルルが変移したからといってアルスも同じタイミングでって事は考え過ぎかもしれないけどな。

 取り敢えずルルに関しては命に危険が無いのが分かった訳だが、それよりも……


「さてと、どうするか……」


 丸くなって震えるルルを撫でながら俺は【マップ】を見つめる。

 屋敷の敷地を囲む敵性反応が二十三。


「旦那様。複数の人間が屋敷の敷地を囲むように展開しているようです」


 どうやらアドルフも気が付いたようだ。さすがはグレーターデーモンといったところか。

 あっ、ついに進入してきたな。見た感じ大した奴もいないみたいだし、魔人絡みって訳でも無いか……

 となるといったい誰の差し金か。こんなルルが大変時に、まったくもぉ。


「ちょど今進入を開始したみたいだ。数は二十三、全員生きたまま捕らえろ。出来るな?」

「畏まりました。ただちに」


 傍らで待機していたアドルフは俺の命令を恭しく受けると、忽然と部屋から消えていなくなった。

 しかし、何者なんだ? 見た感じ一番力を持っている者でミスリルランク冒険者クラスだろうか、しかも二人も……

 俺たちからしたら大した実力ではないが盗賊にしては腕が立ち過ぎる。普通から考えて誰かが送り込んだ刺客と考えるのが妥当かな。

 まあ、色々目立っていたから怨みの一つや二つ買っていても仕方ないかな。兎に角、捕まえた奴から聞けば分かるだろう。

 さてと、現状を確認して見るか。


 屋敷に設置してる【マーカー】を利用し現状を視認していく。

 まず最初に目に付いたのは、侵入者と対峙したウーツ鋼製の騎士ゴーレムだ。

 一対一とはいえ侵入者をいとも簡単に組み伏せ捕らえている。動きもキレがあって中々いい動きをしているんじゃないだろうか。実際、侵入者の攻撃は全て躱しているようだし。まあ、あの程度のレベルの相手ならまともに攻撃を受けても傷一つ付かないだろうけどな。


 続いて見たのはアドルフだ。相手はミスリルランク冒険者クラスの片割れ。見た感じ速度重視のタイプのようだ。


「貴様、この屋敷に新しく雇われた執事だな。抵抗せず大人しくしていれば命までは取らん。雇われたばかりの主人に義理立てて死ぬなんてアホらしいだろう? どうせ今日主人は留守なんだろう?」


 ん? 留守? 何を言ってるんだ、あの侵入者。


「何を言われようとも、ここを通すつもりはございません」

「クソ真面目だな。そう言う奴は早死にするぜ」


 そう言うが早いか、二本の短剣を両手に構え猛スピードで侵入者はアドルフに迫る。そして侵入者の凶刃がアドルフに届こうとした瞬間、侵入者の体は空中で一回転し地面に叩きつけられた。

 そのままアドルフは素早く侵入者を拘束。恐ろしく見事な手際だ。

 今の投げからも、アドルフの体術の技術の高さが伺えるな。


「クソッ! こんな強い執事がいるなんて聞いていないぞ!!」


 何か喚いているが侵入者はアドルフに引きずられて、屋敷に連行されていった。

 他の場所も色々見ているが概ね同じ感じで、次々と侵入者を拘束して行ってるみたいだ。

 後はもう一人のミスリルランク冒険者クラスの侵入者だけかな。

 そう思って場所を探ると既に戦闘中であった。相手はなんとアルスを見に行ったはずのウイだ。


「貴様が何でここにいる。『龍神迷宮』に行っているんじゃなかったのか?」


 ウイと対峙しながら、悪態を吐くように侵入者は叫んでいる。

 隠密行動中だろうにあんな大声で叫んでもいいのだろうか? まあ、既に見つかっているんだし関係無いか。

 それよりこいつら、俺たちが『龍神迷宮』に行っていたと思っていたのか。まあ確かに今回は行きは馬車で行ったが、帰りは【転移魔法】で帰ってきたから気が付かなかったって事か。しかも何時もよりもはるかに早い時間の帰還だったしな。

 俺たちが【転移魔法】を使えるかどうか知っていたか知らないが、どちらにしろこんな時間にいるとは思っていなかったのだろう。

 しかし俺としてもこんなまだ日が高いうちに、襲撃があるとは予想外だったけどな。

 さてとウイの方は大丈夫だろうか? 迷宮探索の疲れもまだ全然抜けて無いだろうし。

 と思ったが、ウイのスピードに圧倒された侵入者は何も出来ずにあっさりと組み伏せられてしまった。

 なんかウイのスピード、迷宮にいた時よりも早くなったように見えたけどな気のせいだろうか?

 兎に角これで全員捕縛完了したみたいだ。

 取り敢えず、彼らの話を聞いてみるとしよう。


「ルル、すぐ済むから待っててくれない。ニーナ、エヴァ。ルルを少し見ててくれ。何かあったら報告を頼む。ティアナは一緒に来てくれ」

「了解〜」

「畏まりました」

「了解したわ」


 という事で三人の返事を確認した俺は、囚われの身となった侵入者に話しを聞くべく部屋を移動した。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「で、カーターの依頼でうちに襲撃に来たというわけか」

「その通りです。旦那」


 黒幕はこの家の元オーナー、不動産屋のカーターという事らしい。あの髭面オヤジめ、性懲りもなく……

 しかもやろうとしていたのは、俺たちがいないうちに金目の物を強奪し、最後に屋敷に火を放つつもりだったらしい。屋敷には永続魔法で魔法に対する耐性が付与されているはずだが、どうやって燃やすつもりだったんだろうか?


「しかしなんで今更? お前何聞いているか?」


 アドルフが捕らえた男に問うてみる。ちなみにこの男が今回の襲撃隊のリーダーらしい。


「はい、旦那に家を売った後、カーター商会に査察が入りまして、その際なんと言いますか色々バレたみたいでして、店主であるカーターさんがお縄になる、という流れになった訳です。ただ、カーターさん、その際憲兵から逃げるのに成功しましてね。現在身を隠しているのですが、自分に降りかかった不幸は旦那の所為だって怒り出して……現在に至ります。はい」

「完全に逆恨みじゃないですか」

「そうだよ、そうだよ」

 そう言ったのはウイとティアナだ。

 ちなみにウイが見に言ったアルスの状態は普通で特に進化の兆しは無かったという事だ。少し残念、同時進化とはいかなかったようだ。


「それがまるっきり逆恨みとも言えないのですよ」

「どういう事だ?」

「旦那がこの家を買った所為で、査察官であるレベロに裏取引の証拠を掴まれたとカーターさんは言ってましたよ」


 あー、ルパートさんの弟さんだったな。確か名前はドワイトさんだったかな。


「そのレベロさんだけど一回家に来ただけだぞ」

「その一回で、この家申請額と実際の査定額とに、相当の差があった事を確認したようでして……」


 あの一回で隠蔽魔法で隠された、耐久性強化と不朽の永続魔法を見抜いたのか。さすがルパートさんの弟、かなり優秀なんだな。


「まあ、どちらにしろ、自業自得ってヤツだな」

「レオン様、どう致しましょう?」


 ウイがそう言うとここにいる全員の視線が俺に集まった。


「そうだな……やられたらたら、やり返さないとなぁ」


 それにドワイトさんに貸しが作れたら後々いい事あるかも知れないしな。

 こうして今夜の予定が決定した。


久しぶりに続きを書いたので、なんか作風が少し変わってしまった気が……

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