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第86話 龍神迷宮への挑戦

 体調崩して更新遅れました。(言い訳です)m(_ _)m


 ブックマーク&ポイントありがとう御座います。



 翌朝、早々に早朝訓練を切り上げた俺達は、とある場所に来ていた。

 ここは、ノヴァリスから馬車を使い北へ4時間程移動した地。竜が住まう山々の麓に広がる樹海の中、馬車が一台通れる程度の一本道の先にそれはあった。




「ここが、『龍神迷宮』ですか……」


 そう呟いたウイの視線の先には巨大な石造りの立派な入口が口を開けていた。

『龍神迷宮』。最高神の1柱である龍神が創ったとされる迷宮。最上位の難易度として特級ランクに指定されているこの『龍神迷宮』は、アダマンタイト冒険者が率いたパーティーですら、僅か10階層で退却を余儀なくされたと言われている。それはまさに、ノヴァリス最難関の迷宮であり、人類未踏破の迷宮だった。

 目的は当然パーティーの強化の為だ。現状、今の戦力では、この迷宮を攻略する事は不可能だろうが、低層であればレベル上げや戦闘経験を積むのに、最適なのではないかと俺的には思っている。とはいっても、アダマンタイト冒険者が率いるパーティーですら、10階層を突破できない迷宮なだけに、慎重に慎重を重ねた上で挑まなければ、命を失う事にもなるだろう。


「ギルドで聞いた外観通りだから間違い無いだろう」


 この迷宮に来る前にギルドに聞いた迷宮の外観と一致している。第一、一本道を迷う訳がない。それに、この迷宮からはまさに最高難易度の迷宮に相応しい強烈な魔素が放たれている。我ながらとんでもない所に来てしまった感が否めない。


「レオン様、いよいよですね」

「どんな魔物が出るか、楽しみ」

「流石にわたしは少し不安ですが……」

「ニーナ、レオンハルト様が居るから大丈夫ですわ」


 ニーナ以外は中々に自信があるようだ。もしかしたら俺以上に自信があるんじゃないだろうか? どこからその自信が溢れて来るかが不思議だ。俺でもかなり不安なのに……

 まあ、みんなが無事に成長出来るように頑張るしかないか……


「じゃあ、入るぞ」


 みんなに一言掛けて、俺はノヴァリス最難関の迷宮、『龍神迷宮』への一歩を踏み出した。






「随分広いなぁ」

「今までの迷宮の広さから行くと、三倍くらいは有りそうですね」


『龍神迷宮』に入った俺達を、最初に驚かせたのは廊下の広さだった。幅も高さも今までに入った事がある『人魔迷宮』や『坑道迷宮』の三倍以上はあるだろう。何故、こんなに広いのか? まあ、何となくだが想像がつく。ようは、これだけの広さや高さが必要な魔物が生息しているという事だろう。デカさはそれだけでも強力な武器になる。何とも厄介な事だ。


「一応【マップ】で索敵をしているが、どんな魔物がいるか分からないから、警戒だけはしっかりしておいてくれ」

「「「「了解です」」」」「キュー」


 現在の隊列は前衛に俺とティアナ、中衛にニーナとエヴァ、そしてアルス、殿にはウイとルルという並びになっている。まあ、【マップ】で見ている以上、後方から襲われるという事はまず無いとは思うが、念の為、ウイには殿を務めてもらっている。

 ちなみにアドルフは執事なだけに屋敷にてお留守番である。

 という事で定番のメンバーで今回この『龍神迷宮』に挑むのだが、それに伴ってルルとアルスの装備が追加されたので紹介しておこう。

 では先ずはルルからだ。


【名称】ブルートリニティカラー

【ランク】伝説級(レジェンド)

【付与】闘の神才 魔の神才 魔蔵


【名称】雷神装の足輪

【ランク】伝説級(レジェンド)

【付与】雷神装


【名称】未来視の足輪

【ランク】伝説級(レジェンド)

【付与】近未来視


【名称】天翔の足輪

【ランク】伝説級(レジェンド)

【付与】天駆飛翔


【名称】越技の足輪

【ランク】伝説級(レジェンド)

【付与】限界突破


 ブルートリニティカラーは首輪の事だ。後は四肢にそれぞれ指輪より少し大き目の足輪を付けてみた。本当はもう一つ【光鱗衣】のスキルを付与した装飾品をどこかに着けたかったが、これ以上装飾品を着けるとルルの動きが阻害されそうなので止めておいた。いい方法が浮かべばいずれ創るかも。

 続いてアルスだ。


【名称】クアトロサドル

【ランク】伝説級(レジェンド)

【付与】闘の神才 魔の神才 耐の神才 魔蔵


【名称】ブルートリニティシャフロン

【ランク】伝説級(レジェンド)

【付与】光鱗衣 雷神装 金剛武威 


【名称】ブルートリ二ティクリネット

【ランク】伝説級(レジェンド)

【付与】限界突破 天駆飛翔 状態異常無効化


 サドルは鞍、シャフロンは面甲、クリネットは首用防具だ。かなり厳つい感じになってしまったが、これはこれで騎士の馬って感じでかなりカッコイイ。更にフル装備にしてもいいかなと思ったりもしたが、それは今度時間が有る時でいいだろう。乗るのは後衛のメンバーだけだしな。




 迷宮に入って5分と過ぎないうちに、【マップ】に魔物の反応が現れる。数は3体、表示は不明となっているので戦った事が無い魔物だろう。このまま歩いて行けば、約10分後には接触する事になりそうだ。


「このまま行くと10分後に3体の魔物と接触する。どんな魔物が出るか分からないが、最高難易度の迷宮だ。最大限注意してくれ」

「「「「了解です」」」」


 今回は、以前の魔人戦で鑑定が出来なかった事を考慮し、出来るだけ魔物を鑑定しないで戦っていく事を決めていた。当然その事はみんなにも事前に伝えてある。だからか、みんないつもよりも集中しているように見える。まあ、普段戦っている魔物よりも強力な上に相手の情報が分からないのだから慎重になるのは当然だろう。とはいっても、本当にヤバイ相手と判断したら躊躇いなく鑑定する事にはしているのだが。

 そうこうしているうちに魔物との距離は無くなり、目の前の角を曲がればすぐそこに魔物が居るという場所までたどり着いた。

【千里眼】を使い早速どんな魔物なのか確認すると、そこには体長3mを超す豚のような頭を持った黒い人型の魔物が立っていた。

 ――オーク? いや、オークにしてはデカすぎる。となると、オークの上位種だろうか? 明らかにいままで倒してきたオークとは気配が違う。


『タイプとしてはオークの上位種でしょうか?』


 同じく【千里眼】を使っていたウイが念話で話し掛けて来る。


『おそらくそうだろ。ただ、只の上位種じゃ無いと思う。実際大きさ的にはオーク・ジェネラル程度のようだけど、肌の色も違えば、発する気配もまた別物だ。恐らく、実力的にはオーク・ロードクラスじゃないかな……』

『そんなのが3体ですか……まあ、問題ないでしょう』

『いきなりの強敵。流石『龍神迷宮』だね。腕が鳴るよ』


 ウイは至って冷静、ティアナはやる気満々のようだ。


『大丈夫でしょうか?』

『わたくし達なら問題無いわよ』


 不安そうにするニーナにエヴァが勇気づけるように声を掛ける。


『エヴァが言うように恐らく問題無いだろう。ただ、相手の実力は未知数なだけに油断は禁物だ。集中して行くぞ』

『『『『了解です』』』』




「『ホーリー・レイ』」

「『ブラスト・エッジ』」


 先制攻撃はニーナとエヴァによる【千里眼】を使った死角からの魔法攻撃、完全な奇襲攻撃だ。

 光の奔流と無数の風の刃が黒い巨体のオークを襲う。が、流石にこれだけで倒せるような魔物じゃない。

 だがそれでも、突然の襲撃に動揺を見せる3体の黒オーク。そこに俺、ウイ、ティアナが一気に追撃に掛かる。

 唐突な攻撃に動揺を見せていた黒オーク達だったが、俺が攻撃を仕掛けた1体は直撃をくらったものの、ウイとティアナが攻撃を仕掛けた黒オーク達はその攻撃にしっかり対応してみせた。

 そのまま、ウイとティアナは黒オークと接近戦を繰り広げ始める。俺はというと、俺の初撃で胸に大きな傷を負った黒オークと対峙していた。


 流石は『龍神迷宮』の魔物だ。今の一撃をまともに受けて、死ぬどころか未だ牙を剥き戦う意思を見せている。俺の攻撃だけでなく、ニーナやエヴァの魔法攻撃も不意打ちでまともに受けてもいるのに、全く恐ろしいほどのタフさだ。

 周りの状況を見てみると、ウイはスピードを活かし、黒オークを押しているようだが、ティアナはほぼ互角の戦いと言った感じのようだ。更に、後方からはニーナ、エヴァ、ルルがウイとティアナが戦う黒オークに向け、隙を突き魔法攻撃を仕掛けている。どうやら【近未来視】を使って相手の動きを予測し、ウイ達に当たらないように攻撃を掛けているようだ。中々器用な事をしているな……

 そんな事を考えていると、俺の相手をしていた黒オークが先に攻撃を仕掛けて来た。

 手に持つ武器は巨大な戦斧。力任せに振り下ろされた戦斧は、想像を超える速度で俺の頭部へと迫りくる。

 金属同士が激突する甲高い音を響かせ、振り下ろされた戦斧は動きを止める。俺が剣で受け止めたのだ。

 しかし流石と言うか、この黒オークとんでもないパワーをしてやがる。

 オークの一撃のあまりの衝撃に思わず顔をしかめる。今はまだ特にスキルで能力強化は行っていないとはいえ、攻撃を受け止めるのに一瞬本気にさせられたのだ。それを思うとこの黒オークとまともにパワー勝負を演じているティアナに少々感心させられる。

 自分の攻撃を片手で受け止められたからなのか、黒オークの眼は見開かれ驚きの表情を見せている、ように見える。――豚顔なだけに少々分かり難いが……

 俺はその一瞬の隙を見逃さず反撃に転じ、黒オークの突き出された両腕を一気に切断した。そして何が起こったか分からず、呆然とする黒オークに返す刀でそのまま首を刎ねた。

 恐らく斬られた黒オークは何が起こったのか分からなかっただろう。斬られる直前の表情のまま斬られた頭部は転がり、体はその場で糸が切れた操り人形のように倒れた。

 そんな倒れた黒オークを一瞥すると、俺はウイ達の状況を確認する。

 



 ウイがすれ違いざまに黒オークの脇腹を斬りつける。傷口から大量の血が噴き出したが黒オークは全く気にする様子も無く再びウイと対峙する。そして、それとほぼ同時に今まで噴き出していた血は完全に止まり、僅かに刀傷が残るだけとなった。

 戦い自体はウイが圧倒しているようだ。圧倒的なスピードで攻撃を仕掛けて来るウイに黒オークは全く対応出来ていない。だがしかし、黒オークの耐久力、回復力も凄まじく、ウイから受けた傷をすぐに回復してしまう。

 思ったよりも苦戦しているな。回復力が高いから浅い傷ではダメージにならない、かといって耐久力も高い為、致命傷になるようなダメージも与えられないといったところか……

 攻めあぐねていたウイは、右手に持っていた女王蟻の細剣を無限倉の指輪に収納すると代わりに真銀疾風の剣を取り出す。女王蟻の細剣の攻撃力不足を補う為に先日創ったウイの攻撃力強化用の剣だ。剣自体の重さや大きさが大きくなる分、ウイのスピードは若干低下するが、その分攻撃力が上がる。今回の黒オークなら、多少スピードが落ちても問題無いと判断したのだろう。

 そしてその判断は正解だったようだ。


「セイヤー!!」


 気合と共に振り下ろされた剣は黒オークの肩口を深く斬り裂く。今まで悲鳴一つ上げる事の無かった黒オークはここで初めて痛みの為か悲鳴を上げたたらを踏む。

 そこに狙いすましたかのように光の槍と黒い雷槍が黒オークの上半身を襲う。ニーナとルルによる魔法攻撃だ。その魔法攻撃に、再び黒オークは絶叫を上げ、頭を抱えもがき苦しみ始める。

 ここを好機と見たウイは、スキルで身体強化を行い、剣には魔力を込め黒オークの脳天に向け振り下ろした。




 ウイとは反対にティアナはかなり押されているみたいだ。

 既にスキルを使い身体強化を行った状態で戦っているのだが、それでもパワーの差で黒オークに押されつつある。それでも何とか均衡が保てているのは、若干だがティアナのスピードが黒オークを上回っていたのと【近未来視】により先読みで、常に先手を取って戦えていた事、そして後衛のサポートによるものが大きかったようだ。

 今も黒オークによる巨大な戦槌がティアナを襲っている。その戦槌による凄まじい衝撃をティアナは盾でいなし反撃のチャンスを窺っている。

 とはいえ、中々反撃に移れない。正直ジリ貧になりつつある。

 そろそろ助けに入ろうかと思っていると、ティアナが黒オークの攻撃に合わせ盾を打ち込み、攻撃を弾き飛ばし黒オークの体勢を大きく崩させた。所謂シールドバッシュというやつだ。ただ、その黒オークの攻撃も凄まじく、その衝撃によりティアナも大きく体勢を崩してしまう。

 ――援護に回るか? 

 そう思った時、後方より鋭く空気を切り裂く音が聞こえ、一本の矢が黒オークの眼に直撃する。エヴァによる矢の一撃だ。【近未来視】で黒オークが大きな隙が出来るのを予見し、仕掛けた攻撃なのだろう。

 何が起こったのか全く分からず突然の痛みに顔を覆う黒オーク。素早く状況を理解したティアナはその隙を逃す事無く反撃に出た。

 

「これで決める!!」


 魔力で赤いオーラを放つ真銀迅雷の竜斬剣を振り上げ、そのまま一気に黒オークの体を斜めに斬り裂いたのだ。





「戦った感じ、この黒オーク、レベル55~60くらいの実力って感じか? ウイ達は戦ってみてどう見る?」

「はい、確かにかなり強力ではありますが、倒せない相手では無いと感じました」

「ボクも同じかな。一応何とかなるって感じ。ただ、まだ一人ではちょっと難しいと思う」

「わたしとしては、正直まだ何とも……ただ、全くダメと言う訳では無いと思います」

「わたくしもそうね。何とかなりそうな感じはするわ。ただ、相手がタフだからもう少し火力を上げる必要はあると思うけど」


 概ね問題は無さそうだな。ただ、まだ『龍神迷宮』も入口だし安心できる段階でもないだろう。数も今回は3体だったから問題無かったが、これが倍以上になれば対処は難しくなってくるだろうし……


「そうか、取り敢えず問題があるようなら無理をせず、すぐに言ってくれ。まだ無理する段階でもないし慎重に行こう」

「「「「了解です」」」」


 こうして俺達の、最高難易度迷宮である『龍神迷宮』への挑戦がいよいよ幕を開けたのだった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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