第84話 スキル付与術
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先ず創る装備品だが、武器、防具は【付与魔法】で強化してく方針だからなるべく避けたい。そうなるとやはり今まで使っていなかった装飾品の類を創って付与するのが良いだろう。
候補としては指輪、腕輪、足輪、髪飾り、首飾り、耳飾りといったところか。一つにつきいくつスキルが付与できるか試してみないと分からないが、纏められるならなるべく纏めたいな。
でだ、素材だが、一番の候補は真銀だ。神鋼も考えたが、量が多いわけでもない為、なるべく今後に残しておきたい。という訳で、今回は真銀で装飾品関係を創っていこうと思う。
最初に創ったのは指輪だ。取り敢えず試しに創った為、意匠的に何も凝っておらず、ただのリングでしかない指輪だ。
【名称】真銀の指輪+2
【ランク】希少品
【付与】空き 空き
指輪になると、小さい為か付与できる枠は2つのようだ。他の武具が5枠有った事を考えると少々残念ではある。まあ、剣や鎧と比べても仕方ないんだが……
では、【スキル付与術】を使ってみよう。付与するのは【無限収納】。試しに創るには一番効果が分かり易いスキルだ。
という事で早速【スキル付与術】を使う。スキルの発動と同時に真銀の指輪が淡く輝き出す。すると突如頭の中に今、付与可能なスキルの一覧が浮かんで来た。
「なるほど、こうやって選択するのか……」
俺は選択肢の中から【無限収納】を選択する。すると、体の中で新たなスキルが創られていくのを感じる。そう、スキル創造をする時のあの感覚だ。そして新たなスキルが完成すると、その完成したスキルは体から抜け出し、真銀の指輪の中に吸い込まれて行った。
「これで、完成なのかな……」
光が収まった真銀の指輪を眺めながらつぶやく。
【名称】無限倉の指輪
【ランク】伝説級
【付与】無限収納
鑑定したら伝説級になっていた。
まあ、無限に収納出来る魔道具と考えれば、妥当なランクかもな……
しかし、付与枠が2つ有ったはずだが、スキルを一つ付与しただけで枠が埋まってしまった。という事はスキルを付与する場合2枠使ってしまうという事か……
『いえ、正確には2枠ではなく1.5枠を使用します』
……なるほど、じゃあ、3枠有れば2つスキルが付与出来るのか。
『その通りです』
んー、指輪では流石に3枠は無理だろな…… 腕輪ならいけるだろうか? まあそれは後でいいか、先ずはこの無限倉の指輪がちゃんと使えるか試してみないとな。
という事で試しに【神倉】から剣を一本取り出して『無限倉の指輪』の方に収納してみる。すると剣は【神倉】に収納した時のようにその場でスーっと消えて無くなった。
続いて収納した剣を出してみる。使い方は簡単、出したい物をイメージするだけだ。勿論それ以外にも、何が収納されているか確認してから出す事も出来る。その場合は頭の中に何が入っているかイメージとして表示される仕様だ。実際やってみると先ほど収納された剣がイメージ通り右手に出現する。
使い勝手としては【神倉】とあまり変わらないか…… スキル付与なだけに、魔道具を使うというよりも、スキルを使った感じに近いのかな?
「ウイ、ちょっとこの指輪を使ってみてくれ」
「今、創られた指輪ですね」
「ああ、その指輪は『無限倉の指輪』と言って、【神倉】の機能限定版のスキルが付与してある。俺以外でもアイテムの収納が出来るか試してみてくれ」
そう言って『無限倉の指輪』と先ほど出し入れした剣を渡す。
「分かりました。やってみます」
ウイは早速左手の薬指に指輪をはめる。……恐らく他意は無いだろう。
「使い方としては、指輪に剣が入って行くイメージでいいはずだ」
「はい、では……」
ウイがそう答えると、すぐに剣は姿を消した。
「出来た…… 見たいです」
「じゃあ、次は出してみてくれ」
「はい」
これまた返事をしてすぐに剣が現れる。
「何か不思議な感じがします。レオン様が普段【神倉】を使う時はこのような感じなのでしょうか?」
「概ねそんな感じかな。っで、どう? 使って見て違和感みたいなモノは無い?」
「はい、大丈夫だと思います。何というかすごく感覚的に使えていいと思います」
「うん、なら問題無いか…… 後はデザインをもう少し凝ったものにすれば完成だな。じゃあ、一度指輪を外して」
「……はい」
何故か残念そうに指輪を外すウイ。
「また、すぐにちゃんとしたのを創るからちょっと待っていてくれ」
「はい、ありがとうございます」
「え~、ウイちゃんだけいいな~」
「ティアナの分も創るから安心しろ。当然ニーナやエヴァの分もな」
「ご主人様、ありがとう~。大好き」
「ありがとうございます。主様」
「流石レオンハルト様。これで好きなだけ矢を持てますわ」
確かに弓を使うウイやエヴァにはうってつけの魔道具だな。
そうこうしているうちに手早くデザインを考えて出来上がったのが、プルメリアの花とマイレをモチーフにした可愛らしいデザインの指輪だ。全く同じ物だと面白味が無いので、それぞれメンバーのイメージカラーに合わせて、真銀の白銀色に、ウイ用は蒼、ティアナ用は赤、ニーナ用は白、エヴァ用は翠と、うっすら色付けをしておいた。後に創る装飾品にも同じように色付けする予定だ。ちなみに当然俺の分は無い。必要無いからな。
早速4人に指輪を渡すと何故か全員左手の薬指にはめ、うっとりとその指輪を見つめている。うん、まあいいか……
では次にいこう。
次に創る事にしたのは腕輪型の魔道具だ。だが、此処で問題になるのが全員腕に防具を着けているという事だ。防具と腕輪が干渉するという事は無いと思うが、同じ個所に装備が重なる事で動きに違和感が出るかもしれない。それは出来るだけ避けたいと思う。そうなってくると答えは自然と決まって来る。
それは二の腕だ。現状、みんなが装備している防具の中で二の腕に密着するような防具は誰も着けてない。若干ティアナの装備が二の腕をカバーしているが、それは密着しているのでは無く覆っているような感じなので二の腕に腕輪を着けるのは問題無いだろう。
でだ、早速創って見たんだが、惜しい。実に惜しい。
【名称】真銀の腕輪+4
【ランク】特殊級
【付与】空き 空き 空き 空き
何が惜しいって、付与枠が4つだという事だ。スキル1つ付与するのに1.5枠の空きが必要なため3つ付与するには4.5枠必要になる。3枠使って2つだけ付与してもいいのだが、まるっと1枠余らせるのも勿体ない。我ながら貧乏性だな…… 余った枠には【付与魔法】で何か強化するか……
『純度の高い魔石を装備品に組み込む事によって、付与枠を増やす事も可能です』
初耳だ。それって普通に装備品に組み込めばいいのか?
『それでも良いと思います。また、これは試してみないと分からない事ですが【匠創魔法】を使って魔石の純度を高める事も可能ではないかと推測します』
なるほど、確かに【匠創魔法】なら結構なんでもありだから、そういった事も出来るかもしれないな。
思い立ったら吉日、早速試すべし。
【神倉】から大量に余っているコボルトの魔石を10個程取り出す。
ウイ達も何が始まるのか興味津々で俺の手元を見つめている。なんか初めてやる事なので、そんなに見つめられると少々緊張する。
さてと、出した魔石の中から適当に2個を選び【匠創魔法】を掛ける。何をするかというと【匠創魔法】なら純度を高めるだけでなく合成も出来るんじゃないかという事でその実験だ。
早速実験を始める。
2つの魔石は俺の魔力に反応するように光り始めると、お互いが引き寄せ合うように近づいて行き1つの光となった。やがて光が収まるとそこには黒味がかった琥珀色の魔石が現れた。ちなみに大きさは殆ど変わっていない。
【匠創魔法】を使う前は、やや黄色がかった黒い魔石だったはず、結構色が変わったな。純度が上がったって事なんだろうか?
試しに更に2つの魔石を合成して見ると、純度が更に上がったのか、より澄んだ琥珀色へと魔石の色は変化した。
これは中々いいな。早速真銀の腕輪に組み込んでみるか。
で、組み込んで見たが変化無し。流石にコボルト4体如きの魔石で付与枠を増やすのは無理か。
じゃあ、もう少し強力な魔石を合わせたらどうだ? 【神倉】の中からコボルトメイジの魔石を1つ取り出し早速合成。ちなみに1個しか合成しなかったのは違う種類の魔物を合成して大丈夫か分からなかったので念の為だ。結論から言うと特に問題無く成功した。色はより澄んできたようだ。まあ、まだ本当の琥珀と比べると濁った色合いをしているのだが。
ちょっとここで、ゴブリンの魔石も混ぜてみる事にした。ゴブリンの魔石はコボルト系の魔物の魔石と違いやや緑がかった黒色をしている。色が混ざるのか? というのも興味深いし、性能的にも良くなるのか悪くなるのかも見ておきたい。
早速試したのだが、結果から言えば合成した瞬間魔石は砕け散ってしまった。ようは失敗だ。
何が原因か? 普通に考えればゴブリンとコボルトの魔石を合成したからだろう。後、考えられるのはコボルトの魔石の合成限界値を超えたかだが…… それは考え難いか……
早速検証という事でゴブリンとコボルトの魔石を1つずつ取り出し合成を開始。結果、魔石は合成出来ず砕け散った。念の為、ゴブリンとホブゴブリンの魔石を合成してみたが、こちらは見事成功。濁ったエメラルドのような緑色の魔石が出来上がった。その後何度か検証を繰り返してみたが結果は同じだった。
つまり、同種であればランクは関係無く合成出来るが、異種間では失敗するという事だ。
実験はこれまでにして、実際どうするか? 正直コボルトの魔石では1枠分になるのに何個必要になるか分からないんだよな。最低でも両腕4人分、8個はいる訳だ。正直コボルトとゴブリンの魔石だけでは無理だろうな。高ランクで結構数が有るのはウーツゴーレムの魔石とトロールの魔石か……
……迷っていても仕方ない。やってダメなら別の物を考えよう。という訳でウーツゴーレムの魔石を同時に5個合成してみた。すると青みを帯びていた黒い魔石は、まるでサファイアのように美しい輝きを放つ魔石に生まれ変わった。それを早速腕輪に組み込んで見ると、あら不思議、腕輪の鑑定結果はこんな感じに変わった。
【名称】真銀蒼玉の腕輪+5
【ランク】特殊級
【付与】空き 空き 空き 空き 空き
念願の五つ目の付与枠だ。名前も変わっているがこの際それはどうでもいい。5つ目が解放された事に思わずニヤリとしてしまう。
続いて、魔石を一個ずつ減らして試したところ、付与枠を増やすには最低でもウーツゴーレムの魔石が5ついる事が分かった。
更にトロールの魔石で試したところ、こちらも付与枠を増やすには5つの魔石を必要とした。
ちなみにトロールの魔石は赤味がかった黒色をしており、合成後はルビーのような色合いの魔石に変化した。当然、腕輪の方も――
【名称】真銀紅玉の腕輪+5
【ランク】特殊級
【付与】空き 空き 空き 空き 空き
となった訳だ。
取り敢えずこれで土台が出来たわけで、これに早速スキルを付与して行こうと思うが、何を付与するべきか……
んー、やっぱり個別にするか…… 最初は分かりやすいよう同じスキルを付与しようと思ったがどうもしっくり来る組み合わせが出来ない。まあ、全員戦闘スタイルが違うのだし当たり前と言えば当たり前なのだが。ということでそれぞれ組み上げたのがこれだ。
ウイ用腕輪セット
【名称】ブルートリニティバングル
【ランク】伝説級
【付与】武の神才 闘の神才 魔の神才
【名称】レッドトリニティバングル
【ランク】伝説級
【付与】光鱗衣 雷神装 金剛武威
ティアナ用腕輪セット
【名称】ブルートリニティバングル
【ランク】伝説級
【付与】武の神才 闘の神才 耐の神才
【名称】レッドトリニティバングル
【ランク】伝説級
【付与】光鱗衣 雷神装 金剛武威
ニーナ用腕輪セット
【名称】ブルートリニティバングル
【ランク】伝説級
【付与】魔の神才 補の神才 耐の神才
【名称】レッドトリニティバングル
【ランク】伝説級
【付与】光鱗衣 雷神装 再生者
エヴァ用腕輪セット
【名称】ブルートリニティバングル
【ランク】伝説級
【付与】魔の神才 補の神才 耐の神才
【名称】レッドトリニティバングル
【ランク】伝説級
【付与】光鱗衣 雷神装 結界侵食
それぞれ名称はブルー&レッドトリニティバングルとなった。
付与内容は1つずつ微妙な違いではあるが、それぞれ必要なスキルが設定出来たと思う。
それぞれ調子を聞くために着けてもらったのだが、これが思いのほか素敵な仕上がりとなっていた。主に視覚的に。
紅と蒼の宝石とパーソナルカラーに彩られた真銀製の腕輪が、女性陣の柔らかく女性らしい二の腕と相まって、なんとも美しくも艶かしい。ようは見た目的に大人の色香を感じさせ、なんともエロいのだ。そうエロいのだ。もう、今夜は寝かせないよって言いたくなるくらいに……
「違和感もありませんし、スキルも問題無く発動します」
「なんか不思議だね…… この腕輪を着けるだけでスキルが使えるなんて……」
「着け心地もいいですし、これ、凄いです」
「流石はレオンハルト様ですわ。これで私もまだまだ強くなれますわ」
俺の脳内が夜の方にシフト仕掛けた時、ウイ達の腕輪に対する真面目な感想が返ってきた。俺の煩悩は置いといて、概ね良い反応だ。これなら問題無く使いこなしてくれるだろう。
「問題なさそうでよかった。取り敢えずそのまま使って見て、何か問題あったらすぐに言ってくれ。いつでも調整するからな」
「「「「はい」」」」
【スキル付与術】に慣れてきた俺は、そこから一気に他のアクセサリーを全員分創っていった。ここからは、全員同じものを創って渡したのでそれらを一気に紹介していこう。
【名称】千里眼の耳飾り
【ランク】特殊級
【付与】千里眼
【名称】未来視の耳飾り
【ランク】特殊級
【付与】近未来視
【名称】天翔のアンクレット
【ランク】伝説級
【付与】天駆飛翔
【名称】超越者の首飾り
【ランク】伝説級
【付与】限界突破 魔蔵 状態異常無効化
1人1つずつ行き渡るように創って渡した。
先ほど創った指輪と腕輪と合わせて装備させると、なんとも豪華で美しい。着けているのが美女揃いなだけに、どこぞの貴族のご令嬢ではないかと思う程の煌びやかさだ。我ながらよく頑張ったと思う。自分で自分を褒めて上げたい。当然、自分の頑張りに褒美を与えるべきだろう。まったく夜が楽しみである。
こうして初めての【スキル付与術】による装備品作成であったが、我ながら満足にうちに終えることが出来たのであった。
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