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第82話 報告と報酬

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 冒険者ギルド内は、普段よりも剣呑な雰囲気を漂わせていた。

 まあ、魔人から襲撃があるかもしれないと思えば当然か……

 そんな中、クリンスマンさんと共にギルドマスターが居る執務室に向かった。




「我々が到着した時には、既にコトール村にはレッサーデーモンが徘徊しており……」


 執務室に到着すると、早々にクリンスマンさんがマルディーニさん、要はノヴァリスのギルドマスターに状況説明を開始した。

 既に、通信用魔道具で事の顛末を説明してあったのだが、確認の意味も込めてより詳細な状況説明を、クリンスマンさんが報告していく。

 しかし、クリンスマンさんは説明が上手いな…… その説明完璧過ぎるでしょ。全く補足する箇所が無い。これって、俺此処に居る必要、全く無いのではないだろうか?

 なんか、正直暇だな……

 これなら、ウイ達と一緒に家に戻って魔人が使っていた【上位悪魔召喚】を色々検証していたかったな。

 ここに来てしまった以上今更無理だけど……

 家に戻ったら早速、【上位悪魔召喚】を取得して検証をしてみよう。どうせなら、新たなゴーレムでも創ってそれに受肉させてみるのもいいだろう。上手く行けばオリハルコンランク冒険者並みの強さを持ったゴーレムが創れるかもしれないからな。

 他にもウイ達みんなの戦力アップも考えないといけないかな。


 今回の魔人との戦いで、ウイ達は正直何も出来なかった。相手が強すぎたと言えばそれまでだが、今後いつまた、あの魔人マルバのような強敵が現れるか分からない。実際、魔人マルバは生きているのだし、復讐に燃える魔人マルバが、報復にやって来たとしてもなんの不思議もないのだから…… そんな強敵が現れた時、今のままの実力ならば、彼女達の命がまた危険に晒される事になる。当然俺の命も危険という訳だ。

 そうならない為にも、ウイ達の強化は最優先事項になるだろう。

 レベルアップはもちろんだが、スキルの強化も何かいい方法が無いか、考えないといけないな。もちろん自分のスキルの強化も含めてだ。

 丁度この暇な時間を利用して、何か良いスキルが創れないか【ロラ】と相談しながら考えてみるか。







 ……なるほど、そんなスキルも取れるのか。


『はい、可能です』


 んー、そうすると他にも強化系のスキルを考えて創った方が良いか…… うん、それが良いだろう。多少制限は有るがそのスキルさえ有れば、みんなの強化にかなり役立つ訳だし、その為にも新たな強化系のスキルを考えるのは必須事項になるだろう。

 いやぁ、ちょっと楽しくなってきたな。

 じゃあ、次はその強化系スキルでも考えて――


「レオンハルト君! レオンハルト君!!」


 折角思考が乗って来たのに、誰かが俺の事を呼んでいる。

 視線を声の主に移すと、そこにはギルドマスターであるマルディーニさんが。

 ……って、そう言えばギルドマスターの所に説明にきていたんだった。


「すみません、少し考え事をしていました」

「そうか…… 何か気になる事でもあるのか?」

「いえ、大丈夫です。それよりなんでしたでしょうか?」

「うむ、では話を続けるが、君から見て、今後魔人はどう動いてくると思う?」


 また、微妙な質問だな……

 正直、そんな事を聞かれても分からない。

 まあ、あの魔人は恐らく死んでいないのだから、俺に報復してくる可能性は高いだろう。だが、それが魔人全体の動きにどう影響するかなんて全く分からない。ただ、あの魔人は、自分でそれなりの地位に就いていたと言っていた。それなら、何かしら魔人達の行動指針に影響があるかもしれない。


「正直何とも言えませんが、あの魔人が【転移魔法】で逃げた事は間違い無いので、報復してくる可能性は充分あると思います。また、あの魔人…… 確か名前をマルバと名乗っていましたが、魔人の中でもそれなりの地位に就いていると言っていました。そうなると彼自身だけでなく、魔人として報復してくる可能性も考えておいた方がいいかもしれません」

「それは、魔人が複数襲撃してくる可能性があるという事か……」

「はい、あくまで可能性が有るだけですが……」

「うむ…… 当然、だろうな…… 奴のダメージの程は?」

「そうですね…… かなりのダメージは負っているはずです。四肢欠損もありましたし、通常であれば3~4ヵ月はまともに動く事も出来ないはずです。ただ、魔人どもの回復術如何では数日のうちに回復する可能性もあるかと」


 実際、魔人どもの回復術の技術力は分からないが、俺なら1日あれば充分回復出来るダメージだったと思う。当然四肢欠損も回復してくる可能性が高いだろう。


「魔人は人程【回復魔法】が得意では無いはずだ。それほどのダメージならば、少なくとも1ヵ月はその魔人本人が出てくる事は無いだろう。ただ、当然、他の魔人が報復に来る事も考えておかんといかんがな…… レオンハルト君。君はしばらくノヴァリスに居るのだろう?」

「はい、拠点もここに設けましたし、しばらくはノヴァリスにいるつもりです。ただ、ここには己を高める目的で居る為、迷宮に籠っている事が多くなると思いますが」

 

 特にこれからは自分達の強化が最優先課題になってくる。実際今の俺の実力では魔人マルバと戦っても10回中1回勝てれば良い所だろう。だからもっと強くなって、確実に勝てるようにならないと…… その為には出来るだけ迷宮に籠って、戦闘経験を積みレベルを上げたい。


「迷宮か…… まあ、ノヴァリスに居るのだし当然の事か…… 君のような能力の高い冒険者には、魔人の件が落ち着くまで、なるべく街に居てもらいたいんだが……」


 もっともな話だな。ただ、今のままでは魔人マルバと再戦した際、勝てる気が殆どしない。アレに勝つ為にも街でじっとしている訳にはいかなんだよな。


「そうだ! しばらくの間、迷宮に潜る際、簡易的な通信用魔道具を持っていてもらえないだろうか?」

「通信用魔道具…… ですか?」


 今回の遠征で、クリンスマンさんが通信用魔道具を何度か使っているのを見たが、迷宮で偶に見る小型の宝箱くらいの大きさがあったと思う。あんなのを持って迷宮に潜れと…… まあ、【神倉】があるから持ち運べない事はないが、それじゃあ、呼ばれても気が付かんだろうし…… あっ、【ロラ】に鳴ったら教えて貰えるように頼んでおけば……、ってそんな事が可能なんだろうか?


『可能です』


 うん、取り敢えず大丈夫のようだな……


「そうだ、今回の遠征に使ったような大きなものではなく、小さな魔石程度の大きさで、音を鳴らすしか機能がない受信専用の通信用魔道具だ。それを君に持っていてもらい、魔人より襲撃が有れば音で君に知らせる事になる。後は、【転移魔法】でノヴァリスに帰ってきてもらい、対応をお願いしたいと思っている」

「はあ……」


 なんか体良く利用されている気がする。やはり断るべきか。


「勿論報酬は弾ませてもらう。そうだな…… 例え魔人の襲撃が無かったとしても、通信用魔道具を持っていてもらう間は毎月金貨10枚払う。更に魔人の襲撃が有った際は、基本報酬として白金貨5枚、更に状況により追加で報酬を払う」


 かなりの厚遇のような気がする。正直お金には全く困っていないが、多くて困るという事は無いだろう。それに、あの魔人が襲撃を掛けて来るとしたら、当然俺が狙いだろうし、そう思うと自分狙いの襲撃で、それを撃退したら報酬が貰えるなんて、ある意味マッチポンプで報酬を貰うとも言える。

 多少面倒事が増えるかもしれないが、まあ、問題は無いだろう。


「分かりました。お受けします」

「おお、そうか、受けてくれるか。助かる。すぐに魔道具の方は用意するので、その間、今回の調査依頼兼魔人及びアークデーモン討伐の報酬の話をしよう」


 そう言うと、部下を呼び寄せ通信用魔道具を持ってくるよう指示を出し、改めて俺に向き直り話を続ける。


「先ず、調査依頼の報酬だが、これはオリハルコンランク冒険者には金貨15枚、ミスリルランク以下の冒険者には金貨10枚となっている。君の所は5名参加で合計金貨55枚だ。続いてアークデーモンの討伐の件だが、君には報酬として白金貨2枚、他の者には一律金貨25枚とさせてもらう。そして最後に魔人撃退の報酬だが、これに関しては君一人にだけ報酬が支払われる。金額は白金貨5枚だ。本来なら白金貨10枚でもいいと私は思うのだが、財布である領主がうるさくてな…… いやいや、まあ、ようは討伐までは至っていないという事で、申し訳ないがこの金額にさせてもらった。

 つまり今回君たちに支払われる報酬は、白金貨8枚と金貨55枚、合計855万コルドになるのだが、あと追加で、君の働きに金貨45枚の追加報酬を払わせて貰う。これで合計白金貨9枚900万コルドだ。こちらは既に用意出来ているから、今渡そう」

 

 そう言ってマルディーニさんは机の引き出しから革袋を取り出し、そのまま俺の所まで持ってきて「確認してくれ」と言って渡して来た。

 袋に中には確かに白金貨が9枚入っている。これだけでも一財産である。今回の依頼だけで平民の生涯収入並みの稼ぎである。まあ、魔人やアークデーモンがそれだけの相手だという事なんだろうが。

 その後、女性職員が簡易通信用魔道具を持ってくると使用上の注意を聞き、今後について俺、マルディーニさん、クリンスマンさんの3人で少し取り決めをして、家に戻る事になった。


 これでようやく、スキルの強化やゴーレムの強化が出来る。そんな事を思いながら俺は帰宅の途についたのであった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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