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第8話 エルセン・シティの冒険者ギルド

 中継都市エルセン・シティ:大陸最大の版図持つウインザー王国の中西部に位置し、大陸西部にある小国群へと繋がる行路の重要中継都市の一つ。主な特産物などは無く、交易を中心とした人口は6万人を超える中型都市である。


 これが森を出てからエルセン・シティまでの移動中に【ロラ】に聞いたエルセン・シティについての情報だ。


 さすがはウインザー王国で交易の要衝になる都市だ。少し見ている間にもかなり多くの人が城門を出入りしている。

久々の大都市だ、気合を入れて入ろう。


『10万人を超えなければ大都市と認定されません。エルセン・シティは中型都市です』

 【ロラ】さんから訂正が入りました。

いや、そこ突っ込まなくても、これは気分の問題だし、まぁいいか。


では、気を取り直して城門に向かう。


 石造りの立派な街壁が人口6万人を超える街を守っている。


 街壁には2つの城門が作られており、その中の大きい門に馬車や荷車の列と徒歩と馬だけの人の列が2列並んでいる。俺は徒歩の列に並んだ。

 ちなみのもう一つの門は貴族専用の入口だ。


 並ぶこと10分ほどで俺の番になった。

  

「身分証の提示をお願いします」


 20代半ばくらいの青年門兵が身分証の提示を求めてくる。

 今まで大きい街は通って来なかったので初めての経験だ。少しドキドキする。


「すみません。田舎から出てきたばかりで身分証になる物がないのですが」


「でしたら犯罪歴が無いか確認した上、仮身分証を発行いたします。

仮身分証を発行には身元保証金として銀貨10枚が必要となります。

 仮身分証の有効期間は10日間になりますのでそれまでに正規の身分証を発行してもらうか。街から出立していただく事になります。もちろん追加で銀貨10枚支払って頂ければ更に10日間滞在日数を伸ばすことが出来ます。

 また正規の身分証が発行出来ましたら、一度屯所に来ていただき仮身分証と共に正規の身分証を提示下さい。問題が無ければ身元保証金をご返金致します」


「分かりました。仮身分証をお願いします」


「了解しました。では、こちらの水晶に手を乗せてください」


 そう言うと門兵の青年は直径20cmくらいの水晶の玉を出してくる。

 頷き水晶に手を置くと水晶が淡く光り出す。

 おお、魔法のアイテムなのか?


「レオンハルトさんですね。犯罪歴もありませんので問題ありません。では保証金の銀貨10枚をお願いします」

 

 名前もあの水晶でわかるみたいだ。


「了解です」と返事をし、銀貨10枚を渡す。


「ありがとうございます。ではこちらが仮身分証になります」

 

 と、小さなカードを渡される。内容を確認すると、名前、年齢、職業そして最後に6月1日より10日間有効と書かれていた。


「ようこそエルセン・シティへ」

 

 そう言うと門兵の青年は笑顔で送り出してくれた。俺も「ありがとう」と答え街に入っていった。


 しかし門兵ってもっと高圧的な態度をとる事が普通なのに、ここの門兵さんはすごく丁寧な感じがしてよかったな。やっぱり交易都市だけに外部からくる人に対して丁寧に対応しているのかもしれないな。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 さてと、身分証明書は冒険者の登録カードでもいいのかな?


『特に問題ありません。冒険者ギルドにて登録が行えます』


 よし、問題ないなら早速冒険者ギルドを探そう。

 宛もなく探しても見つからないだろうから、近くを巡回(多分)している衛兵に冒険者ギルドの場所を聞いて向かうことにした。


 衛兵に場所を聞き、冒険者ギルドに向かう中、街並に目を向ける。石造りの家や煉瓦造りの家が立ち並びさすがは強国ウインザー王国の中継都市といった感じではないだろうか。


 街の城門に近い為か、かなりの人が往来している。

 ほとんどは人族(たぶん。見た目だけで判断しているから人族に似た種族だと判断できん)のようで、それ以外は獣人族のようだ。だいたい割合的には人族80%、獣人20%と言ったところか。


 城門から歩いて10分くらいの所に冒険者ギルドはあった。

 石造りのかなり大きな2階建ての建物だ。

 入口の扉の上には冒険者ギルドの看板が掲げてある。


 少し緊張しながら冒険者ギルドの扉を開けて中に入る。


 中は建物同様かなり広い造りになっていた。

 正面はカウンターになっており20代くらい美人受付嬢が3人、等間隔に並んでいる。今は特にカウンターに並ぶ者はいないようだ。

 入口から右手の奥の方にはテーブル席が複数並んで酒場スペースのようになっており、まだ早い時間だが仕事終わりなのか休みなのかそこそこの数の冒険者が酒や食事をとっている。

 

 念のため冒険者達を鑑定してみるとレベルは高くても20、ほとんど15前後といった感じで、素質レベルもほぼEランクでDランクは4人しかいなかった。

こいつらオーガ1体で全滅しそうだな。


 さてと、早く登録を済ませてしまおうとカウンターに向かうが、先ほどの酒場スペースから嫌な視線と【探知術】の敵性反応がビシビシ伝わってくる。

 よそ者嫌いか新人イビリってとこか? まぁ、ここの連中程度なら来たら来たで何とでもなるけどな。

 

 取り敢えず3つある受付のうち黒髪美女が待つ一番右の受付に向かう。

 受付嬢は黒髪、碧眼、エキゾチックな雰囲気を醸し出す美女で、素晴らしい笑顔を俺に向けてくる。


「初めての方でしょうか? 本日はどのようなご用件でしょうか?」


 思わず見とれていると先に声を掛けられてしまった。(綺麗なお姉さんが大好きです!!)


「えっと。冒険者の登録をお願いしたいのですが」


「かしこまりました。ではこちらの板に手を置いてください」


 そう言うと受付嬢さんは黒い板を取り出してくる。


 頷いて、手を置くと城門で水晶に触った時のように淡く光りだし何か身体の中を覗かれているような感覚になる。

 しばらくすると受付嬢さんが 「完了しました。もう結構ですよ」 と言ってきたので手をはなすと、彼女は板に浮かぶ内容を見て一瞬驚いた表情をするが、すぐに笑顔にもどり話し始める


「レオンハルトさんですね。15歳とお若いのにレアスキルも含めて多くのスキルをお持ちなのですね」 

「いえいえ、持っているだけなので」

 

 と照れながら答えていると、それを見て楽しそうに笑顔をみせてくれる受付嬢さんは


「ではギルドカードを作成致しますのでしばらくお持ちください」


 と一言いい奥に入って行ってしまった。


 するとさっきまで酒場スペースで飲んだくれていた、如何にも素行の悪そうな冒険者3人が厭らしくニヤニヤと笑いながらこちらに向かってきて声を掛けてくる。


「いよっ! 兄ちゃん、えらくエレーラと楽しそうに話していたじゃね~か」

 しかし如何にもって感じのいちゃもんつけてきたな。

 それよりあの受付嬢さんエレーラさんって言うんだ。


「普通に登録をお願いしていただけですよ」


 一応無難に答えておいたが、まぁ、無理だろうな。案の定、

「へ~! おい、冒険者の先輩として登録が終わったら訓練をつけてやるよ、いいな、忘れるなよ」


 それだけ言うと受付嬢さん改めエレーラさんが戻って来たのを見て去っていった。

 まぁ力試しにもなるし楽しみにしておこう。


「お待たせしました。あの・・大丈夫でしたか?」


 心配そうにこちらを見てくるエレーラさん、どうやら絡まれていたのに気づいたらしい


「大丈夫ですよ、気にしていませんから」 

 と答え、登録処理の続きを促した。


 せっかく絡まれたのだし、あんまり心配されても後で楽しみ難くなるからね。

 

 さて、なにが起こるか楽しみにしておきますか。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




第3回【ロラ】先生に聞いてみよう。(不定期開催)

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このコーナーはアルカディアの情報・疑問を【ロラ】先生にお答えいただくコーナーです。


 謎の男「不定期開催ですが、早くも3回目になる『【ロラ】先生に聞いてみよう』

ですが第3回は素質ランクについて聞いてみようと思います。先生お願いします」

先生『面倒なので一覧で表示するから見て確認してください』

謎の男「……はい、だいたい予想はしていました」


 素質ランクは基本【F】から始まり【SS】まで存在します。ランクが上がるごとにレベルアップ時の能力上昇値が上がっていきます。素質の目安は下記の通りです。


 【F】:無能

 【E】:普通

 【D】:やや優秀

 【C】:秀才

 【B】:天才

 【A】:英雄

 【S】:超越者

 【SS】:超々越者

 

 ※レベルの後部に表示している素質ランクは全ステータスの平均素質ランクです。


 謎の男「こんな感じらしいです。ちなみにレオンの【GS】というのは神域レベルの素質ランクらしく、将来的には神に届く素質の様です。(故に【GS】は素質ランクの枠組みに入れていないらしいです。) 何それ、めっちゃ怖い……。と言う事で今回はここまで、では次回まで。アディオス」

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

ブックマークや評価ポイントを頂けると、とても嬉しいです。

今後とも『ご都合能力の冒険者は自重する気は無いようです』よろしくお願いします。

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