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第78話 アークデーモン

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【種名】アークデーモン 【種別】悪魔種

【レベル】82(A)

【スキル】剣術     :レベル4

     純魔法    :レベル6

     火魔法    :レベル5

     闇魔法    :レベル6

     結界魔法   :レベル5

     精神魔法   :レベル4

     死霊魔法   :レベル5

     身体能力強化 :レベル4

     魔力操作   :レベル6

     再生     :レベル3  

     MP回復上昇 :レベル4


「チッ! 化物が」

 咄嗟に鑑定したアークデーモンの能力に思わず愚痴も出る。

 ただ、愚痴っている時間の余裕も無いので、すぐさまウイ達に指示を出す。

「ニーナはハイナーさんの治療。ティアナはニーナの護衛。ウイ、エヴァは俺と一緒にあの悪魔を攻撃する!」

「「「「了解!」」」」

 いつもは各々返事の仕方が違うが、今回は状況の緊迫感からか、全員から簡潔な返事が返って来た。

 そしてそれと同時に一斉に動き始める。

 ニーナとティアナはハイナーさんの下に走り、治療を開始する。

 ウイとエヴァは真銀疾風の弓を引き絞り、矢に魔法を付与する。

 俺は俺で、悪魔の弱点属性である【七元魔法(光)】の魔法を練り上げる。


「撃て!!」

 俺の掛け声でウイとエヴァが攻撃を開始する。

「ライトエレメンタルアロー!」

「ライト・アロー!」

 二本の光の矢が悪魔に向け放たれる。

 俺はそれを目で追いながら、自からも準備していた魔法を放つ。

「ライト・イローションレーザー!」

 二本の光の矢を追うように、一本の極太の光の槍が後を追う。

 

 先行する二本の矢が悪魔に届こうとした瞬間、矢は何かに阻まれその動きを止める。だが、それは俺にとっては想定内だ。奴は【結界魔法】を使える。あれぐらいの攻撃を防ぐのは予想済みだ。

 ――だから――

 続いて俺が放った『ライト・イローションレーザー』が悪魔の張った結界に直撃する。

 悪魔が張った結界に直撃した光の槍は、眩い光を放ちながら少しずつ結界を侵蝕し始める。

 やがて、光の槍の侵蝕に耐え切れなくなった結界は、音も無く崩れ去り消滅する。それとほぼ同時に光の槍もその役目を終えかのように、悪魔に直撃する事無くその場で消滅した。


 ちなみにこの『ライト・イローションレーザー』だが、【結界侵蝕】を得てから、離れた位置からでも結界を破壊出来ないかと、試行錯誤を繰り返して『ライト・レーザー』をベースに創った魔法だ。流石にローブの男が張ったような巨大な結界は破壊できないが、悪魔が張った程度の大きさの結界なら見ての通りだ。



「突撃!!」

 俺の叫び声にウイだけでなくクリンスマンさんやフンメルスさんパーティーが一斉に悪魔に向け突撃を仕掛けようとする。

 しかし、悪魔はその光景を見ながらニヤリと嗤う。

 突撃を仕掛けようとする俺達に向け手をかざすと、一言「ダークフレア」と言葉にする。すると先ほど複数展開していた魔法陣から、次々に漆黒の炎弾が生まれ俺達に向け降り注いで来たのだ。

 咄嗟に俺は全員を囲うように結界を展開する。そこに襲い掛かる漆黒の炎弾。

 次々と襲い来る炎弾は俺が展開した結界の耐久力をガリガリと奪っていく。

 ――このままでは不味いな、どうする? 

 間断無く撃ち込まれる黒炎を凝視しながらどうするか考える。


 しかし、この魔法いつまで続くんだ? 準備時間が長かったからヤバそうだとは思ったが、間断無く攻撃して相手に反撃許さず削りきる魔法って事なのだろうか? だったら何とも嫌らしい魔法だな。

 ……仕方ない。

「クリンスマンさん、フンメルスさん、ちょっと行ってこの攻撃を止めてきます。悪魔の攻撃が止んだら反撃をお願いします。ウイ達も後を頼む」

「「「「了解」」」」

「ちょっとまて、いったいなに――」

 ウイ達の短い返事の後、クリンスマンさんが何かを言おうとしていたが、俺はそれを最後まで聞かず、転移してその場を離れる。

 転移先は悪魔の後方。転移と同時に両手に魔法を展開、すぐさま2方向(・・・)に向け魔法を放つ。

「ライト・レーザー!!」

 両手から放たれる2本の光の槍。

 放たれたうちの1本の光の槍は、結界の攻撃に意識を集中していた悪魔の無防備な背中に直撃する。

 もう1本の光の槍は、ニヤニヤとしながら戦いの様子を見るローブの男を襲う。が、しかし、直撃するかと思った瞬間、光の槍は弾け霧散してしまった。

「チッ!!」

 隙あらばと思いローブの男も攻撃したが、当然のように結界に阻まれる。

 一つ舌打ちをしつつ、動く様子の無いローブの男を無視して、悪魔に意識を集中する。

 今の攻撃で悪魔は結界への攻撃を止め、俺を睨みつけている。どうやら不意打ちを喰らい少々お怒りモードのようだ。

 流石に、気持ち良く攻撃しているのを、不意打ちで邪魔されたら腹も立つわな。気持ちは良く分かるよ。

 ただ、俺も少々イラッと来ている。何しろ、悪魔の弱点属性である光属性の魔法をまともに喰らわしたのに、大したダメージが無いのが気に入らない。


「ライト・エッジ」

 光属性の魔力を剣に付与すると、それを構え悪魔を見据える。

 悪魔の周りにはまだ複数の魔法陣が展開されている。まだ、いつでも先ほどの魔法が撃てるのだろう。今の状態のままだと、まだ結界を解くのは早そうだ。

 一つ深呼吸をすると、全身に【光鱗衣】を展開する。そして【七元魔法(風)】の飛行魔法『ウインド・ウイング』を使い悪魔に向け一気に急加速する。

 悪魔との距離は一瞬で無くなり、勢いそのままに剣を振り下ろす。

 悪魔は何処からともなく漆黒の刃の剣を取り出し俺の攻撃を受け止める。

 金属がぶつかり合う不快な音と激しい火花をまき散らしなら二つの剣が重なりあう。

 俺の一撃を見事受けきった悪魔だったが、その表情に余裕は無い。

 俺はそこから手数を増やし一気に悪魔を攻めたてる。悪魔も何とかその連撃を凌いでいるが、剣での実力差は明確で反撃する余裕は無いようだ。


 ――このまま一気に押し切れるか!?

 悪魔の隙を無理矢理作り出すべく更に手数を増やす。

 やがて、俺の攻撃に対応できなくなり始めた悪魔は、大きなミスを犯し体勢を崩し剣を取り落とす。

 ――いける!!

 俺はそのミスを見逃さず悪魔の頭部に向け渾身の一撃を放つ。

 しかし悪魔は何処からともなく新たに漆黒の刃の剣を取り出し、俺の攻撃を吹き飛ばされながらも何とか受けきった。

「――クソが」

 一つ小さく悪態をつくと、直ぐに追撃に掛かる。

 だが次の瞬間、突如紅く光る悪魔の周りの魔法陣。そしてそれとほぼ同時に放たれる無数の漆黒の炎弾。高速で撃ち出されたそれらは、俺に近づくにつれ重なり、やがて一つの彗星となり俺に襲い掛かって来た。


 結界の展開が間に合わないと判断した俺は咄嗟に防御姿勢を取る。その数瞬後に襲い掛かる衝撃。そのまま俺は全身を黒炎に焼かれながら弾き飛ばされ、ローブの男が張った外周の結界に背中を強かに打ち付ける。

 背中に受ける激しい衝撃に思わず顔をしかめるが、全身に纏った【光鱗衣】の為か、思ったよりもダメージは少ない。

 全身を覆う黒炎を魔力で吹き飛ばすと、すぐさま悪魔の動向に目を向ける。

 悪魔の両手には黒いモヤのように魔力が収束していっている。どうやら追い打ちを掛ける気のようだ。

 だが、俺から笑みがこぼれる。今まで悪魔の周りに展開されていた魔法陣が消えていたから。


 そんな俺の思いを知ってか知らずか、どうやら悪魔は魔法の準備が出来たようで俺に向け嫌らしく嗤う。そして俺に向け漆黒の魔力弾を放ってきた。

 良く嗤う悪魔だ。

 俺はそんな事を思いながら迫る漆黒の魔力弾に向け剣を振るう。

 その瞬間僅かな耳鳴りのような音を残し、魔力弾は真っ二つ斬り裂かれ俺の両脇を通り過ぎ、真後ろにある外周の結界に直撃し爆発した。

 俺はそれを横目に見ながら、ウイ達の周りに張っていた結界を解除する。

 すると、結界が解除されると同時に、複数の魔法や矢が悪魔に向け放たれ、更にそれを追うように複数の人影が悪魔に襲い掛かった。

 流石は経験豊富な冒険者が揃っている。既に反撃の準備は万全だったようだ。これなら倒せないまでも、かなり時間を稼いでくれるだろう。なら俺も次の段階に移ろう。


 おっと、その前に――

召喚(サモン)・ルル」

 俺は黒雷狐のルルを呼び出すと、ハイナーさんの護衛に回るように指示を出す。

 どうやらハイナーさんの治療は既に終わっているようで、ウイが呼び出したアルスの背中の上で意識の無いまま乗せられていた。その護衛にルルを向かわせたのだ。

 ルルも一つ「キューン」と返事を返すとそのままニーナ達後衛陣の下に走り出す。

 たぶん問題無いと思うが念には念をだ。


 では早速トドメの準備といこうか。

 俺は、みんなが創ってくれた時間を有効利用し、真銀疾風の大剣に時間の許す限り魔力を込めていく。今回は特に光属性の魔力のみに特化させ、真銀疾風の大剣に魔力を込める。

 流石はミスリル、いや、この場合真銀か。凄まじいまでの魔力の許容力を持っている。魔鋼製の武器が砕ける魔力量の10倍以上の魔力(MP)を既に込めたが、全く問題無いようだ。それどころかまだまだ剣に魔力(MP)が吸い込まれていく。

 数値で言えば既に1万に届く勢いの魔力(MP)を込めている。感覚的にだが、これは、2万を超える魔力(MP)を込めても大丈夫なのではないだろうか。まあ、時間はかなり掛かるだろうが……

 充分に魔力(MP)を込めた剣を手にし、俺は改めて悪魔に視線を移す。

 冒険者と悪魔の戦いは一進一退。いや、やや悪魔が優勢か……

 冒険者側も数的優位を上手く利用し何とか戦えているが、それでも悪魔には余裕が有るように見える。

 まあ、レベルも素質ランクもかなりの開きがあるわけだから当然なのだが(ウイ達の素質ランクは別として)、それを考えるとみんな良く戦えていると思う。だが、全員に疲労と焦りの表情が出始めている。どうやらそろそろ限界が近づいて来ているようだ。

 俺は急ぎ悪魔の後方に短距離転移を行う。

 それを察したのか、悪魔は内なる魔力を爆発させるように放射線状に魔力を撃ち出す。

 魔力の急激な高まりを感じた冒険者達は、咄嗟に防御姿勢をとったが、俺以外全員、魔力波の直撃を喰らい吹き飛ばされていった。

 だが俺はその程度の攻撃では怯まない。確かにかなり強烈な魔力波である事は間違い無いが、今までの悪魔の攻撃からすると重みが無い。恐らく咄嗟に出した逃げの一手。

 今までの攻撃に耐えた俺にとって、そんな攻撃が効くわけがない。

 悪魔の後方に転移していた俺は、剣を振り上げると必殺の間合いへと踏み込む。

 悪魔はそれを察し、攻撃を防ごうと剣を構えようとするが、時、既に遅し。俺は満身の力を剣に込め、必殺の一撃を振り下ろした。


 振り下ろされた真銀疾風の大剣は、僅かな抵抗も無く振り抜かれた。凄まじいまでに魔力を内包した真銀疾風の大剣は、その魔力故に悪魔の鍛え抜かれた身体を何の手応えも無く斬り裂いたのだ。

「ギャラァァグロロオオオォォォ」

 言葉では表せないような断末魔の叫び声を上げ、真っ二つに斬り裂かれた悪魔。

 その身体は濃密な魔素が吹き出し、少しずつ崩壊していく。

 


『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』


 悪魔の身体が完全に崩壊すると、レベルアップのメッセージが3度流れる。

 その瞬間、ようやくアークデーモンを倒せた事を確信した。

 あのサイクロプス以上のレベルだった為、正直、倒せるか不安だったが、思ったよりも楽に倒す事が出来た。俺もあの時より少しは成長出来ていたんだろうか……

 少々ステータスでゴリ押しだった気もするけど……

 まあ今回はそれでいいか、今はそれより――

 俺はローブの男に視線を移す。

 それに釣られるようにウイ達を始め、クリンスマンさん達の視線もローブの男に集中した。



 空に浮かぶローブの男は、その視線にも全く表情を変える事無く、ニヤニヤと俺達を見下ろしていた。

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