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第72話 坑道迷宮(4)

 ブックマーク&ポイントありがとう御座います。

 翌朝早朝より、『坑道迷宮』攻略に向け挑んでいる。

 勿論今回は、新装備の使用感の確認も合わせて行う事になっている。

 そういった意味では、ここ『坑道迷宮』35階層以降の魔物は良い試し斬りの相手と言えよう。




【種名】ウーツゴーレム 【種別】鉱物生物

【レベル】39(C+)

【スキル】筋力強化   :レベル 3

     耐久力強化  :レベル 4

     剛力     :レベル 3

     鉄壁     :レベル 3

     硬化     :レベル 4



 主な標的になるのが今、目の前に居るこのウーツゴーレム。そして、それに類する、鉱物生物だ。

 昨日ウーツゴーレムと戦った時、アイアン系のゴーレム達と違い、一撃で倒す事は出来なかった。それはウイやティアナにも言える。

 勿論、29階層の階層守護者との戦闘経験から、たとえ硬度の高い鉱物生物でも問題無くダメージを与えられるようにはなっていた。とはいえ、迷宮探索で常に全力で戦う訳にも行かず、8割程度の力で戦っている為、やや時間が掛かってしまっていたのだ。


 では、新調した武器の具合を確かめてみよう。



 目の前に居るウーツゴーレムは全部で6体。取り敢えず、一人一殺。残る1体は早い者勝ちという事で参るとしよう。




 結果からいうと、真銀恐るべし。


 まず、ウイとエヴァが使った真銀疾風の弓だが、使った矢はウーツ魔鋼の矢だったが、それでも充分過ぎるほどの威力だった。

 矢に付与したのが貫通力強化だけでなく、打撃力強化も付与していた為なのか、一撃でウーツゴーレムの頭部が吹っ飛んでしまった。しかも2人とも、魔力での強化を僅かしかしていない。

 自分で創ったものだが、恐ろしい武器を創ってしまったかもしれない。

 ましてや、エヴァの真銀疾風の弓を射た後の表情。俺は、危険人物に危険な武器を与えてしまったのではと思ってしまう。



 次に、ニーナの真銀天恵の杖を使った様子だ。

 ニーナが良く使う『ホーリー・ランス』の魔法だが、明らかに威力が上がっている。一撃でウーツゴーレムに風穴を空けている。

 更には、魔法が完成するまでの早さだ。今まで使用していたエルダートレントの杖でもかなり魔力伝導率の良い杖だったはずだが、そのエルダートレントの杖のおよそ半分の時間で魔法が完成している。しかも、魔法効率もいいようで魔法一発当たりの消費MPが相当減っているようだ。勿論【付与魔法】でMP消費削減+4があるのも大きいだろう。

 総評として、火力、継戦能力共に飛躍的に向上したようだ。



 続いて、ティアナの真銀迅雷の竜斬剣だが、予想通りというか、凄まじい攻撃力を持っているみたいだ。

 僅かに魔力を込めただけで、あの硬いウーツゴーレムを身体の中心線で文字通り一刀両断してしまった。魔石まで斬ってしまったのではないかと、少し心配になってしまったくらいだ。

 ティアナもその結果に大いに満足のようで、ウーツゴーレムを斬った後、真銀迅雷の竜斬剣をみて笑顔になり頻りに頷いていた。



 そして最後に俺の真銀疾風の大剣だが、これが実にいい。

 僅かに魔力を込めるだけでウーツゴーレムがスパスパ斬れる。いや、俺の場合、態々魔力を込めなくても、体から勝手に真銀疾風の大剣に伝わる魔力だけで、ウーツゴーレムくらいなら充分両断可能だ。それだけ真銀の魔力伝導率がいいのだろう。

 更にはこの剣には風魔法が付与されている。今回の戦闘では使っていないが、風魔法を発動させたらどうなるか興味が尽きない。勿論、属性魔法を付与した他の武器にも言えるだろうが。それはこの迷宮探索中に試せばいい。戦闘機会は幾らでもあるのだから。


 ちなみに最後に残ったウーツゴーレムの一体を倒したのは、新装備が関係無いルルでした。というか、最近ルルの火力が異常に上がっている気がする。

 そう言えばルルやアルスも魔法を使うのだから、魔法補助ように真銀で専用装備を創ってあげても良いかもしれないな。今回の完成品の能力を見ていると、ルル達の戦力アップに充分繋がりそうだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 更に深層に進みながら、新装備の性能を確認していく。


 新たに確認したのは属性魔法を付与した効果だ。

 現在付与している属性魔法は、多くの武器に付与している風魔法とティアナの真銀迅雷の竜斬剣に付与した雷魔法だ。



 まず、俺の真銀疾風の大剣に付与した風魔法を発動させてみると、剣自体がやや緑色に光り、風を佩びたようなる。

 そして肝心な効果は、まず剣速が上がる。体感的に1割以上速くなっている気がする。更に剣の間合いが伸びている。こちらは3割近く伸びているように感じる。勿論、直接剣で攻撃するより攻撃力は落ちるようだが、耐久力の低い魔物なら充分倒せるだけの攻撃力はありそうだ。



 続いてウイやエヴァが使う真銀疾風の弓の効果だが、これも基本は矢の速度が上がるようだ。そして、直撃しなくても矢の通った周辺を斬り裂く効果があるみたいだ。だがウーツゴーレム系が相手ではいまいち威力が分からない。はっきり言えるのはウーツゴーレム系相手では効果は余り無いという事だ。改めて今後検証した方がいいだろう。

 ちなみに迷宮内だと分かり難いが、射程距離も伸びている気がする。これもまた後日検証が必要だろう。



 次がティアナの真銀迅雷の竜斬剣に付与した雷魔法の効果だが、こちらは一言で言えば追加ダメージと麻痺だ。

 まあ、予想通りと言いますか、相手を感電させる追加効果が表れるみたいだ。またその効果は直撃しなくても効果があるようで、掠っただけでも充分効果があるようだ。それだけでなく、相手の剣や盾に触れるだけでも効果がある極悪仕様だ。

 見た目は刀身が薄っすらと黄色く光り、雷が走り帯電しているのが分かる。中々カッコイイ。俺も一つ創って予備に持っておこう。


 ちなみにニーナとエヴァが装備している真銀疾風の短剣の効果は、基本俺が持つ真銀疾風の大剣と同じと思って良いようだ。




 ここまで色々検証して思ったのが、真銀は素晴らしいということだ。こうなってくるとウイが装備している女王蟻の細剣と女王蟻の短剣が、少し能力が不足のように思えてしまう。

 ただ、確かに攻撃力は真銀製の武器と比べると女王蟻製は劣るが、軽量で手数では圧倒的に女王蟻製の方が優秀だ。実際女王蟻製の方がウイの戦闘スタイルに合っているように思える。

 まあ、すぐに答えを出さなくてもいいか。

 そうだ、今度ルル達の装備を創る時にウイの分の真銀製の武器を創ってみればいい、どちらを使うかはウイが判断すればいいのだから。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 

 新装備の性能確認を終え、迷宮探索も順調に進んでいた。

 そして、40階層を過ぎると、僅かだが『坑道迷宮』で嬉しい変化が起き始めた。

 それは、35階層から出てきた魔物にウーツゴーレム・ナイトというのがいるのだが、そのウーツゴーレム・ナイトの中に、40階層以降、極稀にだがミスリル製の剣を持つ者が出現するようになったからだ。ちなみに通常のウーツゴーレム・ナイトよりレベルが少し高めだ。



【種名】ウーツゴーレム・ナイト 【種別】鉱物生物

【レベル】45(B-)

【スキル】剣術     :レベル 3

     筋力強化   :レベル 3

     耐久力強化  :レベル 4

     剛力     :レベル 3

     鉄壁     :レベル 3

     硬化     :レベル 3


 これが、ミスリル製の武器を持っているウーツゴーレム・ナイトを鑑定した結果だ。ミスリル製の武器を持っていないウーツゴーレム・ナイトのレベルが平均42くらいだったから、少しだけ強いようだが正直誤差の範囲に思えてしまう。

 まあ、そんな事よりも、少ないながらも確実にミスリルを手に入れられる方法を見つけられたのは単純に嬉しい。

 階層守護者に再度挑む方法もあるのだが、何故か階層守護者は一度倒した者の前には、3ヵ月以上空けないと出てこない。しかもミスリルゴーレム系が確実出て来るとも限らない。悩ましい事だ。


 45階層に鎮座する迷宮守護者は今までの階層守護者よりも強力になっている事が多いらしい。故に再びミスリルの獲得を期待したいところだ。出来ればオリハルコンゴーレムなんかが出て来てくれると嬉しいのだが……





 迷宮探索は至って順調。俺の目の前には45階層に続く階段が現れている。

 ここを降りれば迷宮守護者が居る45階層だ。

 早速俺達は最後の階段を降り始める。聞いた話だと45階層は迷宮守護者の部屋以外は無く、階段を降りるとすぐに大きな扉があり、その先が迷宮守護者の部屋になっているとの事だ。



「おっきい~」

 ティアナの感想も尤もだ。高さ10m幅25mはありそうな巨大な扉が俺達の前に現れたからだ。

「それに、とても美しいですね」

 材質は何なのか? 僅かに蒼く光る扉は一瞬ミスリルのように見えるが、明らかに異質なモノのように感じる。その扉には、いくつもの蒼いバラが描かれており荘厳さを演出している。

 言葉を発したウイだけでなく、他のメンバーもその扉に見とれているようだ。

 かく言う俺も、扉に見とれている一人だ。この扉、持って帰ったらダメかな……、うん、何か嫌な予感がすからやめておこう。


「さあ、此処でじっとしていても仕方ない。中に入るぞ。みんないいか?」

「はいです」

「は~い」

「大丈夫です」

「問題ありませんわ」

 各々の返事を聞き俺は巨大な扉に手を掛けた。

 すると巨大な扉は、俺の手から離れていくように地響きを立て、ゆっくりと開いていく。その巨大さ故になんとも迫力のある光景だ。


 巨大な扉がゆっくりと開ききると、今度は部屋の至る所で光が灯り始め、部屋を明るく照らし出していく。

 部屋はかなりの広さがあるようだ。見た感じミスリルコロッサスと戦った部屋と同等か、ややこの部屋の方が広く感じる。

 さて、どんな守護獣が現れるのやら。出来ればオリハルコンゴーレム系の魔物を希望したいのだが、過度な期待はよそう。



 部屋の中に入ると、突然目の前が光り始める。あまりの眩しさに直視するのは難しい。

 やがて光が収まると、そこには13体の蒼い光を僅かに放つミスリルの騎士が立っていた。明らかに今まで戦ってきたゴーレム達より格上の気配。迷宮守護獣なのだから当然だろうけど。

 そしてその中でも、中心に立つ騎士のゴーレムから感じる気配は他の12体の騎士と比べても別格だ。



【種名】ミスリルゴーレム・インペリアルガード 【種別】鉱物生物

【レベル】53(B)

【スキル】剣術     :レベル 4

     筋力強化   :レベル 3

     耐久力強化  :レベル 4

     剛力     :レベル 3

     鉄壁     :レベル 4

     硬化     :レベル 4



 12体の騎士の鑑定結果だ。

 スキル的にはたいした事は無い。しかしレベルが今までの魔物と比べてかなり高い。更には身体がミスリル製の為、レベル以上に難敵だろう。だが、こちらの武器も強化してある。倒すのに問題無いだろう。


 そして、今回の戦いの本命がこいつだ。12体のミスリルの騎士を従えた王。


【種名】ミスリルゴーレム・ロード 【種別】鉱物生物

【レベル】65(B+)

【スキル】剣術     :レベル 5

     筋力強化   :レベル 4

     耐久力強化  :レベル 5

     瞬発力強化  :レベル 2

     剛力     :レベル 4

     鉄壁     :レベル 5

     硬化     :レベル 4


 レベル、素質ランク共に格が違う。

 身体から纏う気配は強烈で、まさに王者のそれだ。

 そして、気になるのはミスリルゴーレム・ロードの右手に握られている武器。

 黄金に輝く剣。金と比べると色が明るく感じる。光沢はやや少ないか。そんな色合いの剣だ。

 そしてそれを鑑定すると……


【名称】オリハルコンの大剣 

【ランク】特殊級(ユニーク)


 オリハルコンの剣だ。

今回の相手がミスリル系のゴーレムだったから、オリハルコンは諦めていたが、こんな形で手に入るとは思ってもいなかった。って、まだ手に入れてはいないんだが。

 しかしオリハルコンか……、思わず嗤ってしまう。

 


さあ、『坑道迷宮』迷宮守護者戦だ。きっちり倒して、大量のミスリルとオリハルコンの剣を手に入れようではないか。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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