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第63話 蟻の巣ダンジョン

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「聞いていた話の通り、地下室は迷路になっていますね」

 ウイが言う通り、この地下室は今、迷路状になっている。これは元から迷路状になっていたのではなく、迷宮化した事により広さが十数倍に膨れ上がった上に、迷路が造られたという事だ。迷宮化する前の地下室は、中央に大きなホールがある以外は小さな部屋が4つあるだけだったらしい。


 そんな迷宮化した地下室に俺達は踏み入れた。

 迷路状になっているとはいえ、ソルジャーアントのような巨大蟻が徘徊する迷宮だけあって廊下の幅はかなり広めだ。見た感じ、前衛が2人並んで戦っても特に邪魔にならない程度の広さがあるように見える。高さも充分にあり、アルスの上にニーナとエヴァが騎乗していても、頭が天井に当たる事は無いようだ。

 現在の陣形としてはウイとティアナが前衛、俺とルルが中衛、そして後衛にはアルスに乗ったニーナとエヴァ、といった布陣だ。

 本来迷宮探索において、殿には奇襲に備えて戦士職かシーフ職の者を置くことが常識だが、俺には【マップ】&【探知術】が有るから奇襲をされる心配がない。その為俺達は効率を重視して、この布陣となっている。



「そろそろ前からくるぞ」

俺の【マップ】の中には敵性反応である赤い点が数え切れない程表示されている。その赤い点の一群が、今、侵入者を排除すべくこちらに向けて迫ってきていた。

 いよいよ、蟻の駆除の始まりだ。



 やがて体長1mほどの巨大な蟻が群れをなして、廊下をカタカタと嫌な音を立てながら近づいてくる。その様はまるで黒く染まる夜の海のようだ。

「うわ、気持ち悪い」

 最前線でソルジャーアントたちを迎え撃つべく剣を構えるティアナから心の声が漏れる。しかし、それも仕方の無い事だ。黒光りする外殻、ワサワサと蠢く6本の足、周りを探るようにウニョウニョと動く触覚、そんなソルジャーアントが1体ではなく少なくとも目の前に20体はおり、それぞれが思い思いに動いている。確かにあれは気持ちが悪い。

「ティア! 蟻ごときで何を弱気な事を。しっかりしなさい!」

 ウイはどうやら平気なようだ。俺もティアナと同じで気持ち悪い派だがこれは秘密にしておこう。



「ここはわたくし達にお任せ下さい。ニーナ、いきますわよ」

「はい、エヴァお姉様」

 言うが早いか、アルスの馬上でソルジャーアントどもに向け魔法の準備を始めるニーナとエヴァ。

「ウインド・カッター」

「エクスプロージョン・アロー」


 ニーナが放った風の刃は先頭を走る複数のソルジャーアントの堅い外殻を斬り裂き、体液をぶちまけさせる。そこにエヴァが放つ赤い矢が1体のソルジャーアントに突き刺さると同時に爆発を引き起こし、一瞬にして周辺にいた10体近いソルジャーアントの命を奪った。

 さすがと言うべきか、レベル12(D)、危険度Eランク程度のソルジャーアントでは、ニーナやエヴァにとって試し打ちの相手くらいにしかならないようだ。


「では、ティア。私達も行きますよ」

「了解だよ~」

 そう言って一気にソルジャーアントに向け、ウイとティアナは襲い掛かる。

 堅い鎧のような外殻に守られているはずのソルジャーアントは、まるで柔らかく熟した果物のように斬り裂かれていく。まさにレベルが違う。はっきり言って、この程度なら俺達の経験値にもならない。

 


 そうやってソルジャーアントを殲滅しながら地下室を進むと、ようやく毛色の違う蟻型の魔物が現れた。

 ソルジャーアントよりも1.5程の大きさを持ち、血のような赤黒い色をした巨蟻。今まで倒してきたソルジャーアントとは明らかに格の違いを感じる。――ただ、俺達にとって危険かと言われればそうでもないが……

 念の為鑑定しておく。


【種名】インペリアルガードアント   【種別】魔蟻族

【レベル】43(B)

【スキル】咬みつき   :LV4

     蟻酸     :LV4

     筋力強化   :LV4

     耐久力強化  :LV3

     統率     :LV3


 うん、今までの相手から比べるとまあまあ強い感じはするが、昔戦ったゴブリンジェネラルのアント版みたいな感じだな。だが、それほど苦戦をした記憶もないし、当時よりかなりレベルも上がり、更には仲間も増えている。

 これなら問題なく倒せるだろう。後は数だが、見える範囲に3体、それ以外は【マップ】で確認すると他に5体いるようだ。


【マップ】上で1体だけ未だに不明の魔物がいるが、その1体の元にインペリアルガードアントが5体揃っている事からも、その1体が今回のメインターゲットなのだろう。

 まあ、取り敢えず、先ずは目の前のインペリアルガードアントを含む一軍の殲滅を行おう。


「じゃあ、ルル行ってみるか?」

 地下室に来てからまだ何もしていないルルに声を掛けると、ルルは「キューン」と甘えたように一鳴きすると、俺の肩から頭の上に移動をして蟻の群れを睨みつける。そして――

「キュアー!」

 攻撃時の時に上げる甲高い鳴き声を上げると、ルルの周囲だけでなく俺の周りにも黒雷が纏わりつく、何故か俺に纏わりつく黒雷に触っても不思議と感電したりしない。

 そしてルルが2度目の「キュアー!」の鳴き声を聞いた次の瞬間、

 ――ドッゴーン――

 凄まじい雷鳴と共の一瞬でインペリアルガードアントとソルジャーアントの群れは消炭となって全滅してしまった。


 インペリアルガードアントはルルにとって格上のはずの魔物なのだが、【黒雷】が強力過ぎて、どっちが格上か分からくなりそうだ。

 まだ幼体だが、おそらく同レベル帯の魔物でルルが倒せない魔物はいないんじゃないだろうか? ただ、攻撃力は高いが、耐久力は非常に脆い。ルルの戦い方は殺るか殺られるかだから、強力な攻撃方法をもった魔物には細心の注意が必要だろう。



 さてと、最終的にはここにいる蟻どもの全滅が目標だが、先ずはメインターゲットの魔物の討伐を始めよう。

 いくらこの地下室が迷宮化して十数倍広くなっているとはいえ、所詮は元地下室。階層も分かれていないし本当の迷宮に比べれば話にならないくらい狭い。


 俺達は、【マップ】の反応を頼りに、おそらくメインターゲットであろう『不明』反応がある場所に向かう。途中現れるソルジャーアントどもを出会う先から競うように殲滅していく。ちなみにメンバーで今回一番討伐数が多かったのはエヴァで二番がルルだった。やはり遠距離攻撃+広範囲攻撃は、迷宮で群れをなす魔物相手にはとても相性がいいみたいだ。



 それから蟻どもを殲滅しながら移動する事約10分。廊下の先にはホールのように広い部屋が見えてくる。

【マップ】で反応を確認する限り『不明』の反応はこの部屋に存在する。そして、その『不明』を護るようにインペリアルガードアントやソルジャーアントの反応が周りを囲んでいる。その数総勢100体前後。

 正直、あの大量の蟻を見るのは気が進まない。今まで10や20でも充分気持ちが悪い見た目だったのにそれが100体となると、その気持ち悪さが想像絶するだろう。まあ、戦う上で戦力的には問題無いだろうが……



「じゃあ、エヴァ、ルル、先制攻撃で出来るだけソルジャーアントを殲滅してくれ」

「了解ですわ」

「キューン」

 エヴァとルルは返事をすると早速魔法の準備に取り掛かる。

「ルル、準備は良くて?」

「キュアー」

 魔法の準備が整ったエヴァがルルに確認を取るとルルも勿論とばかりに鳴く。

「では行きますわよ。エクスプロージョン・アロー!」

「キュアー!」

 1人と1匹の声が重なり赤い矢と黒い雷撃が群れなす蟻達に襲い掛かった。


 ――ドッゴーン!!


 激しい爆破音が開戦を告げる。

 周辺を一気に巻き込む爆発と無差別に襲い来る黒い雷撃で、部屋にいる多くのソルジャーアントは一瞬で消炭になったように見えた。……が、しかし、【マップ】の反応を見る限り、実際倒せたソルジャーアントは20体程度。『エクスプロージョン・アロー』と『黒雷』が直撃した個体だけのようだ。


 なんだ? ここにいる個体は通常のソルジャーアントと違うのか? 俺は鑑定を行う為、そして奴らのボスを確認する為、部屋の中に駆け込んだ。


 そして……

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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