第54話 2人の事情と装備&ステータス
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オークション会場を出た俺達は、道具屋や服屋をめぐりニーナとエヴァンジェリーナの生活必需品と着替え買ってから宿屋に戻った。
奴隷を購入したのはこれで3回目になる。今回は以前の轍を踏まないように宿屋に着く前にウイにお願いして2人に俺達のルールを教育してもらう事にした。
2人は俺達のルールを聞きかなり驚いていたようだが、食事の際にまたバタバタするよりは知っておいてもらった方がいいだろう。
そんな感じで、しっかりとうちのルールを知った2人は宿屋の食堂でバタバタする事無く、無事食事を終える事ができた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
と言う事で現在俺達は宿屋の俺の部屋いた。
3人部屋に5人もいる為、少し狭く感じるが今は仕方ない。ちなみにもう一部屋借りており、寝る際はニーナとエヴァンジェリーナはそっちの部屋で寝てもらう事になっている。まあ、新人さん達がいると夜の特訓がやり難いからね。
話は逸れたがみんな揃って何をするのか? まあ、簡単に言えは新人との交流兼装備創造だ。
でだ、早速装備を創り始めているのだが、黙って作業をするのも寂しいので、新人の2人に話を聞くことにした。
そうなると気になるのが、2人が何故奴隷になったのか? デリケートな事なので2人が話したくなければ話さなくていいからと言うと、2人とも特に問題ありませんと答えてくれた。
では、先ずはわたしから――と、ニーナが話し始めた。
「わたしが奴隷になる前、両親と3人で旅をしておりました。両親は聖神教の敬虔な信者で、立ち寄った村々で病気や怪我の治療をしながら聖神教の布教をしてまわる、そんな旅でした」
聖神教とは世界に存在すると言われる6柱の最高神の1柱を崇める宗教だ。ちなみに6柱の最高神とは聖神の他に、精霊神、闘神、魔神、悪魔神、龍神が存在していると言われている。さらに言うと迷宮に置いて最高難度の迷宮を神級迷宮といい、その迷宮を創った者がこの6柱の最高神と言われている。
「わたしたち親子は貧しいながらも充実した生活を送っていたのですが、私が10歳なってしばらくしたある日、偶々立ち寄った村が盗賊に襲われ、父は殺され母と共にわたしは盗賊に捕らわれました」
……全員が話を聞きながら息を飲む。俺も装備を創る手は止まってしまう。
「そこでわたしと母は別々に監禁され、1週間ほど経った時、わたしだけ奴隷商に売られてしまいました。母とはそれ以来……」
盗賊に捕らわれた若い女性の末路――母親の事は想像に難くない、生きていれば良いが――いや、死んでいた方が……
しかし、10歳の子供を奴隷として買い取る。これは明確な奴隷法違反だ。盗賊から奴隷を買いあげている事からも、明らかに悪徳奴隷商に売られたって事だな。……レベロ商会がそんな違法行為をするように見えないけど。
「その後、その奴隷商では、監禁部屋で半年ほど閉じ込められ生活をしていました。そして、とある貴族に売られる事が決まった日、その奴隷商に憲兵による捜査が入り、その後保護された私は奴隷魔法により契約がなされているという事でレベロ商会預かりとなりました。
その後ルパート様のところでご厄介になり、奴隷とはいえ人間らしい生活を送らせていただきました。それにルパート様は、わたしを購入されるお客様を限定し、ひどい扱いをする方には買われないように手を尽くしてくれました。そんなルパート様には感謝してもしきれません」
だからかは分からないがルパートさんと別れる時、ニーナは寂しそうにしていたのか。
「でも、そうするとなんでルパートさんは君を、購入者を選べないオークションなんかに出品したんだろ?」
「それに関しては主様――レオンハルト様が今回のオークションに参加される事になったからです」
――ん?
「それは……」
「ルパート様はレオンハルト様なら必ず私を買ってくださると、そう言っておられました」
……あの人、だから俺にニーナを売り込んできたのか。しかし俺にニーナを売りたいならオークションになんかに出さずにティアナを買った時にでも言ってくれればいいのに。――ルパートさんも商人というわけか。同じ人に売るにも出来るだけ高くって感じかな。
「ハハ……、ルパートさんにはやられたな。まあ、いい娘を紹介して貰えたからいいとするか」
俺が呆れた感じでそういうとニーナも少し楽しそうに笑い「ありがとうございます」と返してきた。
そんなニーナの頭を軽く撫でて「これからよろしくな」と一言掛けた。
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「では、続いてわたくし番ですわね」
そう一言いって、今度はエヴァンジェリーナが話し始めた。
「わたくしはエルフの国、リハーブ王国のルッフォ伯爵家の長女として生を受けました」
エヴァンジェリーナは貴族のご令嬢だったようだ。確かに立ち振る舞いに気品のようなものを感じるな。
「そして今から約2年前、ルッフォ伯爵家の本家に当たるカノッサ侯爵家の当主ヴィエリ・カノッサ侯爵が、突然王国に対し謀反を起こし王都に攻め入ったのです」
エルフの国でも人族の国と同じような事をしているんだな。
「謀反は一ヶ月程で鎮圧され、カノッサ侯爵家は取り潰し。またそれに連なる家々の取り潰しにあいました。男子は全員死刑、そして女子は幽閉されるか奴隷として売られるか……。当然、ルッフォ伯爵家も取り潰しにあい。父や兄は死刑。母は幽閉され、ハイエルフとしてまだ若いわたくしは奴隷として売られる事になりました」
……また、この娘も中々壮絶な人生を送ってきたんだな。
「それからは既にご存知の通りミュラー奴隷商会でわたくしは買われ、本日のオークションに出品されました」
なるほど、事情は大体飲み込めた。
「エヴァンジェリーナはそのカノッサ侯爵の事を恨んでいる?」
考え無しに思わず無神経な事を聞いてしまったが、エヴァンジェリーナは――
「……はい――いえ、正直分かりません。――ヴィエリおじさまは温厚で良識を持ち、とても誠実な方でした。そのおじさまが謀反を起こすなんて……正直今でも信じられません。……何か事情があったのではないかと……」
リハーブ王国と言えば3千年を超える歴史を持つ国だ。当然、表に出せない闇を多く抱えているだろう。今回の件ももしかしたら、そう言った類の話なのかもしれない。
貴族として生を受けたエヴァンジェリーナは、そう言った危険と常に背中合わせで生きてきたのだろうな。
「でも、今は深く考えないようにしています。いくら考えても答えの出ない事ですし。それよりもわたくしは、レオンハルト様に購入いただいた事で希望を見出すことが出来ました」
希望? 何で俺が購入した事で希望が出てくるんだ?
「実は、わたくし幼少の頃より冒険者になる事が夢でした。しかし、貴族として生を受けたわたしくしはその夢を諦めざるを得なかったので……ですが、一流の冒険者であられるレオンハルト様にそれもパーティーメンバーとして購入いただけました。不幸中の幸いと言っていいのか分かりませんが、わたくしとしてはこの事で希望を持つことが出来ました」
そうか、そう言ってもらえると俺としても嬉しい。
こうして2人の事情を聞き終えた頃には、俺の作業も終わり2人の装備品を完成させていた。
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早速、完成させた装備品を2人に着けてもらおう。その前に今回創った装備がどんなものか確認だな。
では先ずはニーナの為に創った装備から見てみよう。
【名称】 黒巨鬼の革シャツ+3
【ランク】希少品
【付与】 斬撃耐性+2 打撃耐性+3 刺突耐性+3
【名称】 黒巨鬼の革レギンス+3
【ランク】希少品
【付与】 瞬発力強化+3 斬撃耐性+3 打撃耐性+4
【名称】 エルダートレントの杖+3
【ランク】希少品
【付与】 魔力強化+2 MP消費減少+1 魔力操作強化+3
【名称】 魔鋼糸のローブ+3
【ランク】希少品
【付与】 魔力強化+3 斬撃耐性+3 重量軽減+3
【名称】 黒巨鬼の革ブーツ+3
【ランク】希少品
【付与】 瞬発力強化+3 筋力強化+2 MP回復力上昇+2
ベースは今まで創った装備とほぼ一緒だが、特徴としては、まずエルダートレントの杖だ。これは氾濫の時の報酬で手に入れた素材、レベル47魔物であるエルダートレントの素材で創った杖だ。【付与魔法】で魔力強化、MP消費減少、魔力操作強化の3つを付与しているが、元々素材としてこの3つの能力を持っていた為、同じ能力を付与した事により、その力を高めた仕様になっている。
続いて魔鋼糸のローブだが、これは完全に俺のオリジナル作品だ。というか魔鋼を絹糸のように加工する必要がある為【匠創魔法】じゃないと創れない。おかげで丈夫で、魔力が通って、動きやすい良いローブが出来た。さらに、どうしても金属製である為、重いローブになってしまうがこれも【付与魔法】で重力軽減+3を付与された事で改善が計れており、満足にいく作品になった。
続いてエヴァンジェリーナの為に創った装備だが。
【名称】 黒巨鬼の革シャツ+3
【ランク】希少品
【付与】 斬撃耐性+3 打撃耐性+2 刺突耐性+3
【名称】 黒巨鬼の革レギンス+3
【ランク】希少品
【付与】 瞬発力強化+4 斬撃耐性+3 打撃耐性+3
【名称】 エルダートレントの弓+3
【ランク】希少品
【付与】 魔力強化+2 MP消費減少+1 刺突強化+3
【名称】 黒巨鬼の革鎧(女性用)+3
【ランク】希少品
【付与】 魔力強化+4 斬撃耐性+3 重量軽減+1
【名称】 黒巨鬼の革ブーツ+2
【ランク】希少品
【付与】 瞬発力強化+3 筋力強化+2
【名称】 黒巨鬼の籠手+3
【ランク】希少品
【付与】 筋力強化+3 魔力強化+2 斬撃耐性+3
こちらもみんなと変わらず黒巨鬼シリーズが中心だ。その中で特徴としては、武器としてニーナと同じエルダートレントの素材を使った弓を使用してもらう。エルダートレントの素材は先にも出たように魔法と非常に相性がいい。つまり、魔法と弓術のスキルを併せ持つエヴァンジェリーナにとっては理想的な武器と言える……はずだ。実際は使ってみてからじゃないと何とも言えないかな。まあ、全くダメって事も無いだろう。
一応2人の装備はこんな感じで創ったが、正直新人2人を含め全員以前と代わり映えがしない。
まあ、魔鋼や黒巨鬼系の素材より良い素材の持ち合わせが無いので仕方ない。これからは素材を自分で調達するだけでなく、どこかで購入する事も本格的に考えた方がいいかもしれない。
さて、出来た装備品を2人に装備してもらった感じだか。
「すごいです。これほどの装備品を新人奴隷のわたしに賜っていただいてもよろしかったのでしょうか?」
とは、ニーナだ。エヴァンジェリーナは。
「なんて美しい弓なのでしょう……。これならどんな魔物も……ウフフ」
うっとりとエルダートレントの弓を見つめている。――少し危ない反応を見せているが、概ね気に入っていただけたようだ。
これなら2人とも頑張ってくれるだろう。
――さて、2人が装備品を確認している間に2人のステータスを確認しておこう。ちなみに既に【創造神の加護(下位)】は設定済みだ。
では先ずニーナだな。
【名前】ニーナ 【年齢】17歳
【種族】天人族 【職種】奴隷(所有:レオンハルト)
【レベル】12(B-)→(S-)
【HP】77/77 →166/166
【聖気】207/207 →212/440
【筋力】70(D) →141(B)
【耐久】106(C) →176(A)
【俊敏】106(C) →176(A)
【器用】107(C) →177(A)
【知力】212(S) →282(GS)
【霊力】177(A) →248(SS)
【幸運】176(A) →247(SS)
【加護】創造神の加護(下位)
【装備】エルダートレントの杖+3
魔鋼糸のローブ+3 黒巨鬼の革ブーツ+3
黒巨鬼の革シャツ+3 黒巨鬼の革レギンス+3
天人族って魔力のステータスが霊力になるのか。後は、前に【ロラ】が言っていた通りMPが聖気になっている。それ以外は他の種族と同じようだ。
能力としては見るからに魔法特化の能力に見えるが、【創造神の加護(下位)】で近接戦闘もこなせる素質ランクになっている。これならレベルが上がれば十二分に活躍してくれるだろう。ただまだレベルが低く能力的には危険な場所には連れていけない。まずは確実にレベルを上げる事から始めよう。
続いてエヴァンジェリーナのステータスだ。
【名前】エヴァンジェリーナ 【年齢】82歳
【種族】ハイエルフ 【職種】奴隷(所有:レオンハルト)
【レベル】31(B-)→(S-)
【HP】228/228 → 532/532
【MP】662/662 → 701/1346
【筋力】288(C) →480(A)
【耐久】192(D) →384(B)
【俊敏】391(B) →582(S)
【器用】488(A) →681(SS)
【知力】480(A) →672(SS)
【魔力】485(A) →677(SS)
【幸運】280(C) →472(A)
【加護】創造神の加護(下位)
【装備】エルダートレントの弓+3
黒巨鬼の革鎧(女性用)+3
黒巨鬼の籠手+3 黒巨鬼の革ブーツ+2
黒巨鬼の革シャツ+3 黒巨鬼の革レギンス+3
流石と言って良い能力だ。元々レベルが高かったのもあるが【創造神の加護(下位)】により、既に魔法職として即戦力と言って差し支えない能力だ。
戦闘経験はどれほどあるか分からないが、レベルがある程度高いとこからも全く戦闘経験がないという事も無いだろう。実際本人も冒険者になりたかったみたいだし、その辺も関係しているのかも。
兎に角ニーナと違い即戦力として計算できる事は非常に助かる。ニーナのレベル上げの際に同じ後衛にエヴァンジェリーナがいるだけでかなり安心できるからな。
これで明日からの準備も万端になったな。取り敢えず明日は2人の冒険者登録をしにギルドに行ってそれから2人の実力確認兼レベル上げでもするとするか。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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