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第39話 氾濫について

 ブックマーク&ポイントありがとう御座います。

今回は説明回です。次回から主人公達が活躍します。(予定)


38話一部変更のお知らせ。

 集合場所をギルド前からギルド修練場に

 集合するのはパーティーリーダーのみにしました。

 現在の時刻は4時、5分前。

 ギルドの修練場には200名程の冒険者が集まっている。

 


 時刻が4時なり、受付嬢さんが1人出てきて冒険者に声を掛ける。

「皆様、急な呼びかけにお集まりいただき、ありがとうございます。これよりギルドマスターより、ご説明させていただきます」

 と一言呼びかける。

 今まで、ざわついていた修練場内だったが、一気に静まりかえり。ギルドマスターの登場を待つ体勢へと変わる。


 会場が静まりかえると、今朝話したばかりのあのギルドマスターが壇上に上がる。

 相変わらず飄々とした感じでとてもギルドマスターには見えない。

「おい、あれが元アダマンタイト冒険者のハリー・クラムさんか! 初めてみた! やっぱ、カッコいいな!!」

 ギルドマスターが登場すると、あちらこちらで今のようなざわめきが起きている。

 

「え? 元アダマンタイト冒険者? あのギルドマスターが?」

 信じられん! 確かに只者ではない雰囲気を持った人だとは思っていたけど……。


 うん、鑑定してみよう。


 【名前】 ハリー・クラム  【年齢】 78歳

 【種族】 人族      

 【職種】 冒険者ギルド・ウインザー本部ギルドマスター

 【レベル】88(B)


 すごい……! というか年齢、見た目よりかなりいってるな。

 そういえば、魔力の高い人は、老化が遅くなるんだった。

 という事は、このギルドマスター、相当魔力が高いんだろう。


 しかしレベルも高いし、今でも絶対俺より強いと思う。

 他の街のギルドマスターもやっぱり強いのかな?

 そんな事を考えていると、ギルドマスターが説明を始めた。


 

「ウインザーのギルドマスターをしているハリー・クラムです。今から人魔迷宮の現状を簡単に説明します。

 最近、迷宮内の魔物数が増えている事は皆さん知っていると思いますが、昨日よりその数が激増しているようです。特に深層になるとその傾向が強く表れ、尚且つ、今まで人魔迷宮で出現した事が無い、変異種や上位種も確認されています。

 状況的に氾濫の予兆の可能性が高く、早急に手を打つ必要が出てきました。そこで、現在、アダマンタイト冒険者1名とオリハルコン冒険者14名の合同パーティーによる緊急調査を本日正午より行っております」


 アダマンタイト冒険者と言葉が出た瞬間、会場がどよめく。そして続いてオリハルコン冒険者が14名と出た瞬間。「オリハルコン冒険者をほぼ半分も投入しているのか」など驚きの声が上がっている。

そして会場がどよめく中、ギルドマスターは話を進める。


「そこで冒険者の皆さんには、調査が完了し原因が取り除かれるまで、出来得る限り王都に留まってもらいたいと思っています。

 もちろん強制ではありませんが、王都の民の為にも留まっていただける事を切に願います。

 また、氾濫が起きた場合、緊急討伐依頼が発令されます。その際は皆さんのお力を私たちにお貸下さい。

 説明は以上になります。何か質問のある人はいませんか?」


 何人かの冒険者の手が上がる。その中の一人をギルドマスターが指名した。

「調査が完了し原因が取り除かれるまでとあったが、具体的にはどれくらいの期間を予想しているんだ?」

 まあ、当然の疑問だね。

「はい、その点に関しては、正直不明と言うしかありませんね。ただ、王都の最高戦力を投入していますから、1週間以内には何かしら結論が出ると思います」

 王都の最高戦力か、どれくらい強いんだろう?

「他には?」

 ギルドマスターが再び声を掛けると、また何人かの冒険者が手を上げる。

「じゃあ、そこの人」とギルドマスターが新たに人を指名する。


「変異種や上位種が現れたと言っていたが、どの程度の魔物が確認されたんだ」

 人魔迷宮は4級ランク迷宮にあたる。

 通常4級ランク迷宮に出現する魔物は、ギルド指定の危険度でD~Cまでのランクの魔物しか出てこない(階層守護者以外)。それが変異種や上位種が出現しているとなるとやっぱり気になるのだろう。


「現在確認されている魔物の中でBランクと思われるものが複数体、更にAランク相当のが1体確認されています」

 ギルドマスターが答えると、修練場の冒険者達は一気にざわつく。


 ちなみに通常のゴブリンロードはB-ランクにあたる。俺が倒したゴブリンロードは異常成長種だったので、おそらくBランク相当の実力だろう。

 そしてAランク相当の魔物の実力は、オリハルコン冒険者が複数人で対応できるかどうかという強さを持っている。

 つまり、あのゴブリンロードと同等の魔物が複数体と、それをはるかに上回るAランクの魔物。正直並みの冒険者では足止めにもならない。それほどの脅威だ。

 しかし、4級ランク迷宮でAランクの魔物とは……。


それからも質疑応答が続き、すべてが終わったのは5時を回った頃だった。

 俺は解散になった後すぐにギルドマスターの下に走って行って調査隊に入れてもらえるようお願いにいった。

「ギルドマスター。少しいいですか?」

 俺が声を掛けるとギルドマスターは何かを察したのか、「ここではなんだから奥で話そう」と言って、応接室に移動をした。


「で、用件はなんだい?」

 椅子に座るなりギルドマスターが切り出した。

「俺も、調査隊に参加させて下さい」

 自分で言うのもなんだが、今の俺の実力ならオリハルコン冒険者と比べても遜色ないはずだ。

「それは出来ない」

 しかし、ギルドマスターは即答だ。

「確かに君の実力は認めている。実際ゴブリンロードの異常成長種をほぼ単独撃破したんだ。オリハルコン冒険者と比べても遜色ない実力があるだろう」

「じゃあ、どうして?」

「君の実力の問題じゃないよ。と言うよりも、今回の件で君の実力には期待しているんだ」

「どういう事ですか?」

「ふむ、現在ここ王都にはオリハルコン以上の冒険者は何人いると思う?」

 急に話が変わったな。

「30人くらいでしょうか?」

「おしい! 28人だ。でだ、現在そのうち15名が迷宮に調査に出ている。つまり現在王都に残っているオリハルコン冒険者は13人しかいない。この状態で氾濫が起きた場合、氾濫の規模によっては非常に不味いんだ。だから、君のような実力者は一人でも多く王都に残っていてもらわないと僕が困るんだよ。分かってもらえるかな?」

 そう言われてしまうと従うしかないか。仕方がない今回は諦めよう。しかし……。

「今まで氾濫と言うものを見た事が無いのですが、ここ王都であってもそれほど危険なのですか?」

「規模によってはね」

 マジですか? 王都は冒険者以外にも3万を超す騎士団がいるのに……。氾濫恐るべし。


「ところで君は氾濫の起きる原因を知っているかい?」

 氾濫の原因? 

「魔物が大量に発生して溢れてくる、くらいでしょうか」

「うん。まあ、間違ってはいないけど足らないね」

 そこから氾濫の原因の説明が始まった。



 現在分かっている氾濫の原因は2つ。


 1つ目は、迷宮内の魔素が溜まり過ぎた事により、暴発的に魔物が増えてしまう事。

 これに関しては、迷宮内の魔物をこまめに退治していれば、魔素濃度は低く保たれ防ぐことが出来る。


 2つ目は、母体種の発生。

 これに関しては、正確な理由は分かっていないが、突如母体種と言われる高濃度の魔素を振りまく魔物が出現し、それより氾濫が発生する。


「もし、人魔迷宮で氾濫が起こるとしたら、2つ目の母体種の出現だろうね。普通に考えて冒険者や騎士団が入り浸っている迷宮で、魔素が溜まり過ぎる事は考えられないからね」

 とギルドマスターは説明を終えた後一言付け加えた。


「ちなみに、迷宮内にいる時に氾濫が起こった場合、中にいる人間はどうなりますか?」

 気になったので聞いてみた。

「うん、いい質問だ。では、その質問に答える前に、氾濫が起こった瞬間、魔物はどうやって出現すると思う?」

 え? どうやって? 

「迷宮の出入口から出てくるのではないのですか?」

「本当にそう思う?」

 え? それ以外にあるのか?

「氾濫が起こった場合、少なくとも1万、多い場合だと10万を超える魔物が出現する。その魔物が出入口から一気に出て来れると思う?」

「無理……、ですね」

 確かに想像できない。

「つまり出入口経由では出てこない。では、どうやって出てくるのか。結論から言えば、迷宮周辺に突如現れる。つまり考えられる事は、魔物は迷宮からその周辺に転移して現れる。一気に万単位の魔物がね」

「じゃあ、中にいる人間も……」

「察しがいいね。その通り。中にいる人間も魔物と一緒に周辺に転移させられる。それもランダムに魔物で埋め尽くされた中にね」

 その言葉に息をのむ。

「だから調査は、オリハルコン以上の冒険者に限定しているのさ」

 生き残れる可能性がある者だけという事か。


「ついでだからもう一つ、面白い事を教えて上げよう」

 まだ何かあるのか?

「何でしょう?」

「氾濫に出現する魔物の数ってどう思う?」

「どうと言われても多いとしか……」

「そう、多いんだよ。いや、多すぎるとは思わないかい。迷宮の中に数万もの魔物が、ホントに生息していると思う?」

 そう言われると確かに……。

「じゃあ、なぜそんなに多いのか? 答えは魔素だよ」

「魔素……」

「うん、氾濫が起こると同時に魔物と一緒に魔素も外に放出される。その時その魔素が一気に魔物化する。……と言われている」

「言われている?」

「アハハ、ごめん、ごめん、ホントは分かってないんだよ。今のは一番有力な説かな。まあ、なんにしろ、氾濫が起きたら、よろしくね」

 相変わらず、よく分からない人だ。

「その時は自分なりに頑張ります」

「自分なりか……、まあ、いいか。期待してるよ」


 最後に挨拶を交わし、俺は宿屋に戻った。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 ブックマークや評価ポイントを頂けると、とても嬉しいです。


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