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第35話 人魔迷宮

 ブックマーク&ポイントありがとう御座います。

「ここが、迷宮の入口みたいだね」

 翌日の10時過ぎに、俺達は『人魔迷宮』の入口に到着した。



 しかし眠い、迷宮の入口まで来たのに、シャキッとしない。

 まぁ、昨晩は色々有ったしね……。


 そう、色々有ったのだよ。

 王都への旅の途中、宿屋に泊まる時は、いつもダブルの部屋を取り、ウイと同じベッドで寝ていた。しかし今回はティアナが新たに加わった為、3人部屋を取り、それぞれ別のベッドで寝る予定だった。

 だがしかし、寝る段階になって、ウイが何事も無かったように、俺のベッドに潜り込んで来た。更にそれを見ていたティアナも「ずるい! ボクも!!」とベッドに潜り込んできた。

 シングルベッドに3人、狭い。しかも美少女2人と……。

 その後は……、ご想像にお任せ致します。



 翌朝、怠い身体に鞭打って、ギルドに赴きティアナの冒険者登録を行い、『人魔迷宮』の情報を得て来た。

 ちなみにゴブリンロードの件で、何か言われるかと思ったが、ギルドマスター宛に行っていない為か、特に何も言われなかった。ただ、俺のギルドランクを見た瞬間、エルフの受付嬢さんが固まってしまったのは、仕方のない事だろう。


 そんな感じで、ようやく『人魔迷宮』の入口に到着したのだ。



『人魔迷宮』、王都北北東に位置する4級ランク迷宮だ。主にコボルトやオーガと言った、人型の魔物が多く生息している為、人魔迷宮と言われるようになった。人型の魔物が多い為、冒険者だけでなく、ウインザー王国の騎士たちの訓練場としても使われており、利用者数の多い迷宮だ。



「さてと、ギルドの受付嬢さんの話だと、この迷宮、最近魔物の数が少し増えてきているらしい。誤差の範囲らしいけど、一応慣れるまでは慎重に行こう」

「はいです」

「は~い」

 いつも通りの2人の返事を受け、早速迷宮に侵入した。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「これが迷宮か」

 初めて迷宮に入ったが、迷宮の廊下は思った以上に広い。

 ざっと見た感じ、横幅は10m近く、高さも5mは優に有るだろう。

 廊下自体も、巨大な石のブロックを丁寧に積み重ねた造りで、どうやって造られたのか、全く想像が出来ない。

「まさに、神の所業だな」

「本当にすごいですね」

「でも、ご主人様なら造れそうだよね」

 ティアナが俺に期待の眼差しを向けてくる。

「いやいや、さすがに無理だから」

 とは言ったものの、スキルで何とかなりそうな気もする。面倒だからやらないけど。



 しかし平和だ。というのも全く魔物が出てこない。

 さっきから冒険者パーティーには、何組かすれ違ったりもしたが、肝心の魔物が出てこない。

 魔物が増えたって言ったの誰だよ。

 迷宮に入ってから30分、【マップ】にも【探知術】にも殆ど反応なし。迷宮の外れに数匹魔物がいるくらいだ。


「魔物、全然出てこないね」

 ティアナも、最初のうち緊張していたようだったが、今ではのほほんとしている。

「この迷宮は、利用者が多い事でも有名ですから、おそらくこの辺りの魔物は、既に狩りつくされているのでしょう」

「俺も同感かな。確か5層までは、出てくる魔物は変わらないはずだから、先ずは下に移動して、魔物が比較的いる階層を目指そう」

「はいです」

「は~い」

 そんな訳で一層目はそのままスルーして2層に降りる事にした。



 ん~、迷宮の各階層の地図を購入したけど、いらなかったな。

 初めて迷宮に入ったので知らなかったが、【マップ】は、どうやら迷宮の地図をそのまま表示出来るようだ。しかも、攻略部分と未攻略部分がしっかり色分けまでされている。

 これなら初めて行く迷宮も、迷わずに移動出来そうだ。


 それに、最近気が付いたのだが【マーカー】機能は場所だけでなく、人や魔物、アイテムにまで設定出来るようだ。当然ウイとティアナにも【マーカー】を設定してある。これでもし、2人とはぐれたとしてもすぐに合流出来る。ホントに便利機能です。



 2階層に降りてしばらく移動すると、ようやく2体の人型の犬の魔物、ハイコボルトを発見した。

 レベルは18、素質ランクはD、俺とウイにとっては相手にもならないザコだ。ただティアナでは正直、難しいかな。せめてティアナのレベルが12、3くらいなら問題ないとは思うが。


「取りあえず今回は俺とウイで戦う、ティアナは見学な」

「う~、分かった」

 少し不満のようだが、取りあえず了解してくれた。

「まぁ、すぐに戦わせてあげるから、先ずは俺やウイの戦いを見て今後の参考にしてくれ」

「は~い」


 さてと、ハイコボルトは俺達の事を警戒してなのか、中々襲って来ない。

 こちらとしては待つ理由が無いので、早速経験値になってもらうべく、戦闘を開始する。


「ウイ!」

「はいです!」

 俺の掛け声と共に走り出す俺とウイ。

 15mほどあった距離は一瞬で無くなり、次の瞬間2体のハイコボルトの首は無くなった。


「す……、すごい、すごいです! 2人とも今の何なんですか?」

 俺達の戦いを見てティアナがかなり興奮している。

「いや、普通に戦っていただけだけど」

「え~、今の普通じゃないですよ。早すぎますよ」

 そうか? まぁ、並みの冒険者と比べると早いとは思うけど、トップレベルの冒険者なら俺らよりも、早い奴はいくらでもいると思うけど。

「ティアにも、これぐらい出来るように、なってもらわないと困ります」

「……、ウイちゃん、それマジですか?」

 冷や汗を流しながら固まるティアナ。

「心配しなくても大丈夫ですよ。レオン様と一緒にいれば、すぐにこれぐらいは、出来る様になりますから」

 俺の事を一度見て、ティアナは一つ頷くと、

「うん。ご主人様、ウイちゃん、ボク頑張る」

 可愛らしく胸の前で両手を握る。

「無理はしないように」

「は~い」

 俺が声を掛けると、ティアナはいつも通り元気に返事を返してくれた。



 さてと、ティアナのレベルだけど、今の戦闘で13まで一気に上がったみたいだ。戦闘に参加していなくても、眷属でいるだけで経験値を共有出来るのは反則だな。

 まぁ、これで次からティアナも、戦闘に参加させても問題なさそうだ。

「次はティアナにも、戦闘に参加してもらうから、そのつもりでいてね」

「うん、分かった」

 ちょっと緊張気味かな?

「危ないと思ったら、俺やウイがすぐに助けに入るから、安心して」

「うん」

 よし、大丈夫かな。では、次の標的を探そう。



 しばらく移動すると再びハイコボルトを発見。数は3体、丁度いいかな。

「さっきと同じハイコボルトが3体、すぐ近くにいる。それぞれ1体ずつ仕留めるぞ。ティアナ、行けるか?」

「うん、大丈夫」

「よし、もし何か有ったら、俺やウイが何とかするから安心して頑張れ」

「は~い」

 うん、いつも通りの返事だ、少しはリラックス出来ているようだな。


「よし行くぞ」

「はいです」

「はい」

 ハイコボルトとの遭遇ポイントに移動し、ターゲットを視認すると早速3人同時に攻撃に移る。

 俺とウイは相変わらずハイコボルトを瞬殺。すぐにティアナの戦況を確認する。


 ティアナは、ハイコボルトを正面に対峙している。

最初に仕掛けたのはハイコボルトだ。持っていたツルハシを振り上げティアナ襲いかかる。

 ティアナは落ち着いて、その攻撃を盾で受け止める。

 次は自分の番とばかりに、剣を振り上げハイコボルトに斬りかかる。

 剣とツルハシが激しくぶつかりあい、力で優るティアナが打ち勝ちツルハシを弾き飛ばす。そして止めにハイコボルトの頭に剣を振り下ろした。



「ティアナ、大丈夫?」

「うん、大丈夫! なんか前よりも、パワーもスピードも上がっているみたい。絶好調って感じ」

 そう言えばティアナには、ステータスの事、何も説明していなかったな。

 能力も上がっているし、宿屋に戻ったら一度その辺も、説明した方が良さそうかな。



 それからしばらく2階層で、ハイコボルトを始め、コボルトメイジ[レベル18(D)]やコボルトアーチャー[レベル15(D)]、コボルトウォーリア[レベル16(D)]を倒しながら進み、3階層に降りる階段に着いた頃には、ティアナのレベルも18まで上がっていた。


「ティアナも、だいぶ戦闘に慣れて来たみたいだし、もう一つ下の階に降りてみるか」

「はい、大丈夫だと思います」

「うん、ボクも平気だよ。なんだかどんどん力が漲って来るみたいなんだよね。今ならいくらでも戦えそうだよ」

 急激にレベルアップしているから、そう感じるんだろうな。

「分かった。ただティアナ、ここは迷宮だ。何が起こるか分からないんだから油断は禁物だよ。実際ティアナは俺やウイから見たら、まだまだなんだから」

「う~、それを言われると反論出来ない。分かった。気を付けます」

「うん、いい返事だ。じゃあ、2人とも気を引き締めて行こう」

「はいです」

「は~い」


 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「何なんだ、これ?」

 3階層に降りた俺は思わず声を漏らす。

「この匂いは……」

 どうやらウイも気が付いたようだ。

「2人ともどうかしたの?」

 ティアナが不安そうに俺達に聞いてくる。

「このフロア、すごい数の魔物がいる。殆ど2階層で戦ったコボルト種ばかりだけど、かなりの数だ」

「ギルドで言っていた事は、この事だったのですね。やはり……、危険でしょうか?」

「……」

 ウイの言葉にティアナが息をのむ。

「数は多いけど、強さは大した事ないから、特に危険という事は無いかな。実際、このフロアの魔物ならティアナでも、同時に5体くらいまでなら問題なく対応出来ると思う。ただ少しでも危険と判断したら、【転移魔法】で撤退するから、2人ともあまり俺から離れないようにしてくれ」

「はいです」

「はい」

 2人の返事はやや緊張感の有るものだったが、恐怖を感じているものでは無い感じだ。これなら特に問題ないだろう。ただ油断は出来ない。少しでも危険と判断したらすぐに逃げよう。

 そう自分に言い聞かせ、3階層に踏みだした。

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