第34話 準備
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レベロ商会を後にした俺達は、宿屋に戻り食事をする事にした。
「ご主人様は少し変わっておられますね。ボク……、じゃなくて私達みたいな奴隷と同じ席について食事をとろうとするなど聞いた事ございません」
食堂にて俺が席に座るとティアナが昔のウイと同じように後ろに立とうとしたので、一緒に食事をするように伝えた後のティアナの第一声である。
ウイもそのティアナの言葉に深く頷いている。
「そうかな? 俺的には普通の事なんだけど。あっ、後ティアナ、ボクの方が言いやすいなら、わざわざ私って言わなくていいよ。それに話し方も気にしないで話し易いように話しせてくれればいいから。ウイもね」
「はいです」
「ホントですか? ご主人様ありがとうございます。なんか丁寧な話し方って苦手なんだよね」
ウイはいつも通りあまり変わらなさそうだが、ティアナはいい感じに少しくだけた話し方になったかな。
「ティア、いくらレオン様が良いとおっしゃっても、レオン様に恥をかかせぬよう人前では節度を持って下さいね」
「分かってるよウイちゃん。ボクだって人前ではちゃんとするよ」
「ここも一応、人前なのですが……」
「う~、ウイちゃんはお堅いな」
そんな二人のやり取りを微笑ましくみていると
「でも、やっぱりご主人様って変わっていますよね。奴隷と一緒に食事をするだけじゃなく、話し方も気にしなくていいなんて、普通あり得ないですよ」
この娘、意外にこだわるね。
ふとウイを見ると同感らしく大きく頷いている。
「まぁ、いいか。変だ変だと言われるのも嫌だし一応説明するよ。と言っても別に大した理由はないんだけど」
と前置きをして。
「子供の頃、住んでいた村にあった温泉宿で働かせてもらっていた事が有るんだけど、そこの主人が奴隷を奴隷としてでなく、まるで家族のように奴隷と接しているのをみて、普通にそういうものなんだって思うようになっただけだよ」
俺が話し終えるとすごく感動したのか目をキラキラさせてこちらを見てくる。
「そこの奴隷の方はいいご主人様に巡り会えてとても幸せだと思います」
「そうだね、ボクもそう思う、それにボク達も素晴らしいご主人様に巡り会えてとても幸せだね、ウイちゃん」
「そうですね、ティア」
急に褒められると嬉しいけど慣れてないので居心地が悪くなる。
「まぁ、そんな感じだから二人とも俺的には主従関係というより仲間や家族と思って接してくれると嬉しい」
「ありがとうございます。レオン様」
「は~い」
それからしばらく3人で談笑しながら食事をとり部屋に戻る事となった。
それから途中で気が付いたのだが、いつの間にかティアナのウイの呼び方がウェンディちゃんからウイちゃんに変わっていた。俺の呼び方を真似しだしたようだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
部屋に戻ると早速ティアナの装備品を作成した。
「すごい。すごい、すごいです。ウイちゃんも見て、ご主人様がすごいです」
【匠創魔法】を見て、ウイの手を掴みブンブンしながらティアナが興奮している。
ウイは2度目の為か落ち着いているが、ティアナの反応を見てすごく満足そうにしている。
そうこうしているうちに出来た装備品がこれだ。
【名称】 黒巨鬼の革シャツ+2
【ランク】希少品
【付与】 斬撃耐性+3 打撃耐性+3
【名称】 黒巨鬼の革レギンス+2
【ランク】希少品
【付与】 瞬発力強化+2 斬撃耐性+3
【名称】 魔鋼のバスタードソード+2
【ランク】希少品
【付与】 斬撃強化+3 筋力強化+3
【名称】 魔鋼のカイトシールド+2
【ランク】希少品
【付与】 斬撃耐性+3 打撃耐性+3
【名称】 魔鋼のライトプレートメイル(女性用)+3
【ランク】希少品
【付与】 斬撃耐性+3 打撃耐性+3 重量軽減+2
【名称】 魔鋼のグリーブ+2
【ランク】希少品
【付与】 瞬発力強化+3 打撃耐性+3
【名称】 魔鋼のガントレット+2
【ランク】希少品
【付与】 斬撃耐性+3 筋力強化+3
【名称】 黒巨鬼の革ブーツ+2
【ランク】希少品
【付与】 瞬発力強化+3 筋力強化+2
ティアナは前衛として戦うのが得意という事で金属製の防具で固めてみた。
「ティアナ、どう、違和感とか無い?」
試しに確認の為、一度装備してもらい。
「ご主人様この装備品すごいです。違和感があるどころか、まるでボク専用の装備みたいにピッタリだよ」
サイズ自動調整があるからね。
「こんなすごい装備品を簡単に作ってしまうなんて、ご主人様は神……。神なのですか」
「違うから。神じゃないから、少し便利な魔法が使えるだけだから」
少しじゃないかもしれないけど。
「で、問題ない?」
「はい、最高です、さすがです」
まだ興奮が収まりそうにないな。
後はステータスの話もあるけど、【創造神の加護(下位)】だけ設定して説明はまた今度でいいかな。今説明すると今以上に騒がしくなりそうだし。
で【創造神の加護(下位)】を設定してみました。
【名前】ティアナ 【年齢】15歳
【種族】竜人族 【職種】奴隷(所有:レオンハルト)
【レベル】8(B-)→(S-)
【HP】145/145 → 304/304
【MP】111/111 → 111/233
【筋力】126(A) →177(SS)
【耐久】152(S) →203(GS)
【俊敏】101(B) →151(S)
【器用】75(C) →126(A)
【知力】50(D) →101(B)
【魔力】102(B) →152(S)
【幸運】76(C) →127(A)
【加護】創造神の加護(下位)
【装備】魔鋼のバスタードソード+2 魔鋼のカイトシールド+2
魔鋼のライトプレートメイル(女性用)+3
魔鋼のガントレット+2 魔鋼のグリーブ+2
黒巨鬼の革ブーツ+2
黒巨鬼の革シャツ+2 黒巨鬼の革レギンス+2
【創造神の加護(下位)】の設定前と設定後を同時に表示出来ないかと【ロラ】に聞いたら簡単に出来ました。
で、内容だがレベルがまだ低い為、全体的に能力値が低い。
まぁ、俺やウイも数日で今のレベルまで上がったのだからティアナもすぐにレベルが上がるだろうし、そうなれば素質ランクが高いから、すぐに戦力になってくれるだろう。
ただ、どうやって訓練していくかだが、ここ王都周辺は、さすがと言っていいほど治安が良く、殆ど魔物を見かけない、エルセンの鬼の森まで転移してそこで訓練してもいいのだが、次のオークションまでの1ヵ月間は王都にいるつもりなのだから、出来るだけ王都周辺で訓練をしたい。そうなるとやっぱり迷宮か。
ここ王都には歩いて2時間くらいの所に『人魔迷宮』という迷宮が有る。
この『人魔迷宮』は低ランクから中ランクまでの冒険者が多く利用している迷宮で、低層であればアイアンランクパーティーでも充分戦えるレベルの迷宮だと聞いた事がある。
俺とウイ2人なら特に問題ないだろう。だがしかし、俺とウイは迷宮探索に慣れてない、そこに低レベルのティアナが加わった場合、ティアナの安全を確保しながら上手く訓練出来るか不安だ。
【ロラ】はどう思う?
『特に問題ないかと。『人魔迷宮』はマスターがおっしゃったように低層であればアイアンランクパーティーでも充分戦える魔物しか出現しません、更に低層であれば罠等もございませんので、迷宮探索の訓練やティアナの戦闘訓練場所としては最適でしょう』
よし、【ロラ】お墨付きも得られたし明日から迷宮探索をするか。ただ一応2人にも確認しとかないとな。
「ウイ、ティアナ。明日の予定なんだけど、訓練の為に『人魔迷宮』に入ろうと思う。2人にも意見を聞きたいんだけど、もし迷宮で戦うのが無理だと思うなら言って欲しい。特にティアナは無理だと思うなら正直に言ってくれ、ダメだと思うなら他の方法を考えるから」
「私は大丈夫です」
ウイは予想通り即答だな。
「ん~、少し不安だけどご主人様とウイちゃんがいるからボクも大丈夫です」
ティアナも少し考えて大丈夫とこたえてくれた。
「分かった。じゃあ明日から迷宮に入ろう。ただ、無理せずダメだと思ったらすぐに言ってほしい」
「はいです」
「は~い」
2人の返事を聞き、迷宮探索を決定した。
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完成間近の34話のWordデータが壊れて、再度慌てて打ち直したのでいつも以上に変な部分があるかも。変なところがありましたらご指摘頂ければ助かります。




