第30話 新メンバー候補
ブックマーク&ポイントありがとう御座います。
貨幣の種類が分かりにくいとご意見を多く頂いたので、貨幣の種類の中から小金貨を無くす事にしました。急な変更で申し訳ありません。また、関係した部分ば全て変更したつもりですが、抜けがありましたら教えて頂けると助かります。
翌朝、普段よりやや遅めに起きた俺達に温泉宿のオヤジが、ニヤニヤしてサムズアップしてきた。
えっと、ゴブリン討伐に対してだよね? 夜の運動に対してじゃないよね?
そんな温泉宿のセクハラオヤジを残し俺達はエルセンに戻る事を伝える為アヒム村長宅まで来ていた。
「もう、戻られるのか。もう少し温泉でゆっくりしていけばよろしいのに」
「そうしたいのも山々ですが、ゴブリンロードの報告も出来るだけ早めにしなければなりませんから」
「そうか、残念じゃが仕方がないの。また来てくだされ、いつでも歓迎しますぞ」
「ありがとうございます。また、温泉に入りに来ます」
「それじゃ、依頼完了の承認をするので2人ともギルドカードを出してくれんか」
言われるままにギルドカードをアヒム村長に渡すと、アヒム村長はギルドカードに魔力を流す。
「これで、承認終了じゃ、確認してくだされ」
そう言いギルドカードを返してくる。
内容を見ると受注依頼の欄に新たに完了確認済みと表示されていた。
「確認できました。ありがとうございます。大丈夫だとは思いますがまた何かありましたらギルドの方に連絡下さい。では、失礼します」
アヒム村長と挨拶を交わし、外に出るとクルトさんが外で待っていた。
「クルトどうしたんじゃ?」
俺達と一緒に表に出て来たアヒム村長がクルトさんに声を掛ける。
「宿屋に行ったら、もう宿を出たと聞いて、もしかしたらと思ってこっちに来たんだが正解だったようだな。レオンハルト君、もう帰るのか?」
クルトさんはどうやら、わざわざ追いかけて来てくれたようだ。
「はい、1日だけでしたがお世話になりました」
「何を言う。世話になったのはこちらだ。折角村の者にもゴブリンが討伐された事を伝えたのに、討伐した本人はもう帰ろうとしている。村の者にも感謝の気持ちを伝えさせてくれてもいいのに」
「気持ちだけで充分ですよ」
「そうか、せめて見送りをさせてくれ」
「もちろんです」
そして村の入口まで移動すると、アヒム村長とクルトさんに「また来ますね」と挨拶をしリッカ村を離れる事になった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アヒム村長と挨拶を交わしてから5分後、俺はエルセン・シティの城門の列に並んでいた。
さすがは【転移魔法】、行きは9時間掛かったのに帰りは一瞬とは、【転移魔法】様々である。
10分ほど経ち俺達はエルセンの街に入った。
早速、冒険者ギルドに報告に向かう。
ギルドに入ると、さすがに朝から酒を飲んでいる者はいないようだが、結構な数の冒険者が中にいるようだ。
受付を見ると、すべての受付嬢の所に冒険者がいたので依頼掲示板を見て時間をつぶす事にした。
相変わらずウイは注目の的のようだが、俺が睨むとみんな素直に視線をそらしてくれる。
どうやら俺もここのギルドではそれなりに危険人物として有名になってしまったようだ。まぁ、いいんだけどね。
それからしばらく依頼掲示板を見ていたが、これと言って興味のそそる依頼がある訳でもなく、すぐに飽きてしまった。俺って意外に飽き性なのだろうか?
依頼掲示板にも興味が無くなったので、ウイと今後の事を話しながら待つことにした。
「ウイ、今回のゴブリン討伐で思ったんだが、出来るだけ早くパーティーメンバーを増やそうと思うんだがどう思う?」
「そうですね。確かにパーティーメンバーが増えれば、それだけ安全性も増しますし、賛成です。ただ、ある程度実力が伴わなければ、かえってレオン様を危険にさらしてしまいますので、増やすにしても慎重に選ぶ必要が有ると思います」
ん~、そうだよな、メンバー増やしたせいでウイが危険に晒されるのは避けたい。ウイは俺が危険に晒される方を気にしているようだが、俺の事よりもウイの方が重要だ。
「ウイは王都のレベロ商会に居た事もあったよな、誰か戦力になりそうな心当たりはない?」
「戦力になりそうな者ですか? そうですね……」
顎に右手を当てて考えている。
あっ! 犬耳が突然ピンと立ち上がった!!
「レオン様、一人心当たりが在ります」
どうやら思いついた反応らしい。一々行動が可愛いな、この娘。
「心当たり?」
「はい、半年ほど前に入って来た娘なのですが、種族はドラゴニュート、年齢は私と同じ15歳でした。彼女が入って来てからずっと同部屋だったのですが、その時話した感じでは魔物との戦闘経験もあったようですし、種族としてもドラゴニュートは戦闘において優秀だと聞いています」
ドラゴニュートか、確かに戦闘に特化している種族と聞いたことがある。魔法はそれほど得意な種族ではないが、魔力自体は高く、身体能力も高い。身体も大きく前衛としても優秀だったはずだ。
『その認識で間違いありません』
うん【ロラ】もそう言っているし間違いないようだ。
そうすると候補としては申し分ないか……
「ウイ、その娘はどんな感じの娘だった?」
「はい、先ず名前はティアナ、銀髪金瞳の小柄の女の子です」
「ん? ドラゴニュートなのに小柄なの?」
「はい、ドラゴニュートには珍しく、私よりも小柄で確か身長は150cm無いと言っていました」
「珍しいね」
「はい、身長もそうですが銀髪金瞳というのも珍しいらしく、そのせいで村から忌み子として扱われ、奴隷として売られたらしいです。私と同じような境遇だったのですごく仲良くなったのですが、私だけエルセンに移動になって、それからはどうなったかは……」
また忌み子かよ。
単一種族の村で、毛色が違う者が生まれるとそんな扱いになりやすいのかな?
しかし銀髪金瞳ってドラゴニュートとして珍しいんだな、これって何かあるかな?【ロラ】何か知っているか?
『はい、おそらくその少女はドラゴニュートから極稀に生まれる、変異種のドラゴノイドと思われます』
ドラゴノイド?
『はい、特徴としては銀髪金瞳で通常のドラゴニュートよりもかなり小柄であるという事』
そのまんまだな。
『そして、通常のドラゴニュートよりも高い素質ランクである場合が多いです。ただしレベル30までは他のドラゴニュートよりもレベルアップの必要経験値が多く必要で、中々レベルが上がらず若い内はその実力差を感じる事はありません。その為、世間ではドラゴノイドはドラゴニュートとの見た目が違うだけの変異種として扱われています。ただ小柄な分ドラゴニュートよりも立場が弱いと言えますが』
ほぉ、もしかして結構な掘り出し物?
ちなみにドラゴノイドってどれくらいの確率で生まれる?
『およそ100万人に一人です。現在ドラゴニュートの人口は70万人、1年に1万人くらい新たに生まれると言われておりますので、実質100年に一人生まれる計算です』
激レアじゃん。これはすぐにでも手に入れなくては。
「ウイ、その娘が売れてしまっている可能性は?」
「まず大丈夫だと思います。彼女は高級奴隷として売られる予定ですのでまだ教育期間中のはずです」
「それなら問題ないか、てか、それじゃあ俺にも売ってもらえないんじゃないか?」
「それもおそらく問題ないはずです」
「えっ、なんで?」
「あくまで、商品として紹介しないだけで、指定して購入する分には教育期間中でも問題なく購入できるはずです。極まれに、このルールを使って身内の者が買い戻しにくると聞いたことが在ります」
なるほど、買い戻ししたい人もいるだろうから、そういった場合の緊急処置にもなるのかな。
「分かった。その娘を購入する事にしよう。早速明日王都に向けて出発するか」
「はい、レオン様」
嬉しそうに笑うウイにこちらも自然と笑顔になってしまう。
そうこうしているうちの受付の方も空いたらしく、エレーラさんがこちらを見て手招きをしている。
「こんにちは、ゴブリン討伐の完了報告ですか?」
俺達が受付に行くと、エレーラさんから声を掛けて来た。
「はい、一応完了したので報告に上がりました」
「そうですか、でも折角温泉に行かれたのですからもう少しゆっくりされてくればよかったのに」
「そうしたいのは山々だったのですが、報告しなければならない事が有りまして」
「報告ですか? ゴブリン討伐で何かございましたか?」
「ええ、まずゴブリンの群れの中にゴブリンロードがいました」
「えっ!? ゴブリンロード? えっ!!! ゴブリンロードですか!!!!」
突然ゴブリンロードと叫ぶエレーラさんにギルド中の視線が集中する。
しかしそんな事お構いなしに話を続けるエレーラさん。まぁ、それどころじゃないんだろうね。
「そ、それは本当ですか?!!」
「はい、本当です。解体済みですがちゃんと魔石や素材もありますよ」
「あの~、詳しく説明をお願いします」
そこから今回の討伐で起きた事をエレーラさんに一通り説明した。
その内容をギルドにいる者全員が真剣な面持ちで聞き耳を立てている。
「少々お待ちください」
すべて説明を終えるとエレーラさんは2階へと駆け上がって行く。
「なんか大事になりそうだね」
人ごとのように言う俺にウイは
「さすがのゴブリンロードと聞くとあのような反応になるのは当たり前だと思いますよ」
とあきれた顔で言われてしまった。
まぁ、ごもっともなんだけどね。
なんか【創造神の加護】を得てから感覚がずれてきているよな。
傲慢と言うか、自信過剰と言うか、少し自分を戒めないと……
そんな事を考えているとエレーラさんが戻って来た。
「お待たせしました、ギルドマスターが呼んでますので一緒に来て下さい」
どうやらギルドマスター直々にお呼びのようだ。
「分かりました」
返事をするとすぐさまエレーラさんが
「ではこちらです。ついて来てください」と前を歩き出した。
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皆様良いお年を。




