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第28話 魔皇石と魔晶石

 ブックマーク&ポイントありがとう御座います。

 ゴブリンの巣に移動した俺達はゴブリンの死体を回収しながら新たに作られていた、ゴブリンの掘っ建て小屋に入ってみる。


 既に【マップ】&【探知術】でゴブリンがいない事を確認済みなので気楽なものだ。


 中には汚れた毛布がそこら中に置いてあるだけで、他に目に付くものは何も無かった。

 建物自体は思ったよりもしっかりした物で、ここのゴブリン達が思ったよりも知性が高く器用なんだなと思わせる造りだった。

 これがホブゴブリンのような上位種が多くいた為なのか、それとも異常成長種だった為なのかは分からないが、なんとなく両方とも正解のような気がした。


 他の建物にも入って見たが内容は同じで、寝るためだけに作られたような建物だ。




 続いておおもとの巣となった洞窟に入る。

 洞窟はさすがにゴブリンロードがいただけの事は在り、上にも横にもかなり広い洞窟になっていた。

 【生活魔法】の『ランタン・ライト』を使い洞窟内を照らし出す。

 ウイは少し不安そうな表情をしながら、俺の服の裾をつまんで付いてくる。


 洞窟の中はそこら中に動物の骨などのゴミが散乱し、それに伴い洞窟内の臭いは酷いものだ。とても衛生的な環境とは言えない。

 よくゴブリン達はこんな所で生活出来るな。

 あっ! だから外に掘っ建て小屋を建てたのかな。


「レオン様、こちらからかなりの濃度の魔素が漂ってきます」

 しばらく中を探索していると、ウイが報告してくる。

 俺もそのことに少し前から気がついており少しずつ魔素の濃い方に移動していたのだ。

「うん、何かありそうだね、行ってみよう」

「はい」


 魔素の濃い方に近づくにつれ、ある事に気が付く。

 先ほどまであった。動物の骨などのゴミが消え去り、臭いも殆どしなくなった。

 まるで別の空間移動したようなそんな感覚にとらわれる。


 奥に進むにつれ今まで感じた事の無いほど魔素の濃度が上がって行く。

 やがて、扉が現れた。

 洞窟に無理矢理、拵えたような木の扉だ。

 扉の造りから見ると前から有った物ではなくおそらくゴブリン達が造った物だろう。

 何のために?

 この異常な魔素濃度がその答えなのだろうが・・・

 

 【マップ】&【探知術】で確認しても、特に魔物がいる様子は無い。

 【危機感知】の特に警鐘鳴らしている訳でもないし、中に入っても特に問題ないだろう。

 もしヤバそうなら、すぐに転移して撤退すればいいしな。


「ウイ、今から中に入るが、もし危険と判断したらすぐに転移で撤退するからそのつもりでいてくれ」

「はい! 大丈夫です」

 ウイの返事に頷き返し扉を開けた。



 咽かえるような魔素が全身を覆い尽くす。

「すごい魔素の濃度だな」

「そうですね。これほどの魔素は私も感じた事無いです」

 あまりの魔素の濃度にウイは冷や汗なのか大量の汗をかいている。

「辛いのなら外で待っていてもいいよ」

 俺の言葉に頭を横に振り

「大丈夫です。レオン様にお供します」

 と力強く答える。

 もしかしたら先ほどの戦いで俺が死にそうになったのを見て離れたくないと思っていてくれているのかもしれない。

 ただ洞窟を歩いてた時の表情を見ると、1人いるのが怖いだけって可能性もあるけど。


 部屋の奥に進むと洞窟の壁を削って造られたような祭壇が現れた。

 その祭壇には3つの大きな丸い石が黒く光りながら並んでいる。特に真ん中の石は他の2つの石の2倍以上の大きさがあった。

 どうやらその3つの石から放たれた魔素が辺り一面に漂う高濃度の魔素の発生源のようだ。

 特に真ん中の大きな石から放たれている魔素は、もはや瘴気と言ってもいいほどの凶悪な濃度の魔素を放っている。


 凄く気になるので鑑定してみましょう。


 【名称】 魔晶石     

 【ランク】特殊級(ユニーク) 

 

『高濃度の魔力結晶です。高濃度の魔素溜まりで長い年月を掛け出来上がると言われております。その場にあるだけでも周辺に魔素を振りまくほど魔力を内包しており、強力な魔道具の素材としても使用されています。主な原産地は魔神大陸、素材価格として最低でも白金貨2枚以上の価値が在ります(価格は大きさにより変動)こちらのサイズですと2つとも白金貨5枚の価値があると思われます』


 

 【名称】 魔皇石     

 【ランク】伝説級(レジェンド)


『超高濃度の魔力結晶です。高濃度の魔素溜まりで悠久の年月を掛け出来上がると言われております。超高濃度魔素を発生させその場にあるだけで周辺の魔物を変質させるほどの魔力を内包しており、神話に出てくるような究極級(アルティメット)のアイテムの素材として使用されていると言われています。主な原産地は魔神大陸、素材価格として最低でも白金貨20枚以上の価値が在ります(価格は大きさにより変動)。こちらのサイズですとおそらく白金貨30枚の価値があると思われます』



 おお、珍しく【ロラ】の注釈付きだ。

 しかし白金貨30枚って、なんじゃそりゃ!

『魔晶石』と合わせたら白金貨40枚・・・・。

 4000万コルドの価値・・・・すごい。


「レオン様、これはいったい・・・」

 俺があまりの高価な素材を見つけて唖然としていると、ウイが『魔皇石』の異様さにおびえながら俺に声を掛けて来た。

「ああ、これね。これは大きい方が『魔皇石』で小さいのが『魔晶石』だね」

「『魔皇石』と『魔晶石』・・・・、これがあのダンジョンコアにも匹敵すると言われる魔力の結晶なのですか・・・、初めて見ました」

「だろうね。俺も初めて見るけど、鑑定でそう出ているから間違いないと思う」

「そうすると、今回のゴブリンロードの原因は・・・」

「うん、間違いなくこの『魔皇石』と『魔晶石』が原因だろうね。実際、『魔皇石』には周辺の魔物を変質させるほどの高濃度魔素を出すらしいから、それによりゴブリンロードや上位種への進化を促し、更には異常成長種へと成長させたんだろう」

「すごいですね・・・」

「ああ、今回はゴブリンだったからよかったけどこれが、もっと上位の魔物だったらと思うと・・・・。しかし、なぜこの『魔皇石』と『魔晶石』がこんなところにあるのか、何か人為的なのものを感じてならないんだけど。とは言ってもこれほどの魔力の結晶を普通の人間が用意できるとは思えない・・・、とすると考えられるのは魔神大陸の住人」

「魔人という事でしょうか?」

「なんの確証も無いけどね。まぁ、俺達が判断するには事が大きすぎる。一度ギルドに戻り報告した方が良いだろう。もちろん温泉に入ってからだけどね」


 ただ、魔人が置いたにしても何故『魔皇石』だけでなく『魔晶石』まで置いていったのか、魔物を変質させるだけなら『魔皇石』だけでも充分効果は有りそうなんのに・・・まぁ、俺の頭じゃ考えても分からないし、その辺はギルドのお偉いさんが考えるでしょう。


「急で報告しなくてもいいのでしょうか?」

「な~に、今日はもう遅いから、どうせ温泉宿にでも泊まっても、明日の朝【転移魔法】で戻れば普通の冒険者よりも充分早いくらいだから大丈夫だよ。それに温泉が本来の目的だしね」

 イタズラをする時の子供のような笑顔を見せると、ウイもクスッと笑う。

「そうでしたね」

「そういう事。じゃ~『魔皇石』と『魔晶石』を回収してもう少し洞窟内と調べよう。まだ何かあるかもしれないしね」

「はいです」


 

 早速『魔皇石』と『魔晶石』を【神倉】に収納する。

 すると、周りに立ち込めていた魔素の濃度が一気に下がったのが分かった。

 今まで辛そうにしていたウイの表情も幾分か楽になったのか余裕が出てたように見える。

「じゃ~、他を見に行こう」

「はい」



 そこから30分ほど洞窟内を調べたが、特に目に付くものは無かった。

 一応成果と言える物はゴブリンが武器庫にしていた部屋に質は悪いがそれなりの数の武器があり、それを回収出来た事だろうか。



 そんな感じで、ゴブリンの巣の調査を終えた俺達は最後にゴブリンの巣穴を他の魔物が住み着かないように【七元魔法(土)】でふさぎ、ゴブリンが建てた掘っ建て小屋を【七元魔法(風)】で壊してから、アヒム村長に報告する為【転移魔法】を使いリッカ村に戻ったのであった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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