第18話 匠創魔法
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宿屋に戻り夕食をとった俺は、トロール亜種を討伐してから考えていた事を試すことにした。
試すと言うのは、今回の鬼退治で手に入れたトロール亜種の素材を使って、自分で防具を作れないかということだ。
スキル自体は問題なく取得出来るだろうが、問題は工房どころか作成道具も無い状態で作れるかと言うことだが。
まぁ、道具が必要なら明日にでも買ってくればいいか。ただ鍛冶をするには工房は絶対必要になるだろうがその時はまた考えよう。
部屋に戻った俺は早速スキル取得を始める。
【ロラ】生産系のスキルはどんなのがあるのか教えてくれ。
『了解致しました。生産系スキルの代表的なもの以下の通りです。
【鍛冶】【木工】【革細工】【裁縫】【大工】【彫金】【彫刻】【錬金】【治金】【調合】【武器作成】【魔道具作成】【道具作成】etc』
うん、問題はここからだ。ここにあるスキルは工房や道具が有って初めて力を発揮するスキルだ。何の道具を持っていない今の俺にとっては使えないスキルだ。
さてと【ロラ】、生産系スキルを、道具を使わずに魔法で行うスキルってあるか?
『現状ではそのような魔法スキルはありません』
だよな、しかしだ。
では、創る事は可能か?
『はい、可能です』
よし、予想通り。
でだ、生産系スキルを統合した上に魔法化は可能か?
『統合は特に問題ありません。その上で魔法化に関してはマスターが望めば可能です』
やっぱり出来るのか。この能力何でもありだな。
早速始めるか。
イメージするのはすべての生産系スキルの統合と魔法化だ。
ではイメージ開始………………よし! イメージ完成!!
「スキル創造!!!」
…………
『【生産系スキル】が統合され【匠創術】が創造されました。更に【匠創術】の魔法化が行われ【匠創魔法】が創造されました。【匠創魔法】の取得しますか?』
「YESだ!!」
『【匠創魔法】を取得しました』
よしよし、想像以上に上手くいった。
これで、装備を自分で作れるようになったぞ。
後は、神才系のスキルだな。
生産系の神才スキルってあるのか?
『はい、【匠の神才】というスキルがございます。取得されますか?』
そりゃ在るよね。
もちろん「YESで!!」
『【匠の神才】を取得しました』
これで準備完了かな。
よし、早速試してみよう。
と意気込んでみたのはいいが、使い方が分からん。こんな時は【ロラ】さん教えて。
『了解致しました。
【匠創魔法】の使用方法についてご説明致します。
まずは必要素材を用意いたします。
素材が用意出来ましたら次の工程を行います。
①スキルの認識、②完成形のイメージ、③素材に魔力注入、④発動。この4つの工程で行います。
完成品の性能は、素材の種類及び品質、スキルレベル、補助スキル、魔力値、注入する魔力量、イメージ力等により変化します』
ほぉ【七元魔法】の使い方によく似ているな。
よし、取り敢えず分かったぞ。でだ、いきなりトロール亜種の素材を使うのは失敗が怖いから最初は練習も兼ね、簡単兼失敗してもいい物を作るか。
なにがいいかな、ん~~~!! そういえば色んな薬草採ってあったけど【神倉】に入れっぱなしだったな。ならばここはポーションでも作るか。
【ロラ】確かポーションの材料って、『ケーア草』と『マジク草』だったよな?
『はい、その通りです。後それに純水が必要になりますので、作成の際に【七元魔法(水)】を合わせご使用いただければ問題ございません』
なるほど、流石【ロラ】先生だ。
では、作ってみるか。
まずは『ケーア草』と『マジク草』を【神倉】から出す。そして【匠創魔法】と【七元魔法(水)】を意識して、完成イメージはポーション。そして『ケーア草』と『マジク草』に魔力を込めていく。折角なのでたっぷり魔力を注ぎ込む。よし、こんな感じかな。それでは、
『アイテムクリエイト』(俺命名)
魔法名を唱えたとたん目の前の素材が消え新たにそこに液体の入った瓶が現れる。
おっ!! 出来た。でもなんで瓶入り?
まぁ、魔法だから気にしても仕方ないか。
取り敢えず鑑定してみよう。
【名称】 ハイポーション
【ランク】上等品
あれ? 普通のポーション作ったはずだけどなんでハイポーションなのだ?
『魔力の注入量がかなり多かった為、ポーションの材料でハイポーションが作成されました』
ほぉ、確か注入する魔力量でも品質が変わるとあったしな。しかし品質だけでなく上位品になることもあるのか。
そこからは練習を兼ねてポーション作成を繰り返す。20個を作り終わった頃には品質に+2が着くようになり、スキルレベルを確認するとレベルが3に上がっていた。
そろそろ装備品に取り掛かっても良さそうだな。
という事で早速トロール亜種の皮を使った装備品の作成に取り掛かる。
最初に作るのは服関係だろう。
素材はトロール亜種の皮、作るのは服だ。
では早速ポーションで慣れてきた工程を行い、魔法を行使する。
『アイテムクリエイト』
トロール亜種の皮は光り輝き一部が消え、代わりに黒色の長袖の革シャツが現れた。
おお、いい感じの出来だ。早速完成品の鑑定だ。
【名称】 黒巨鬼の革シャツ+1
【ランク】希少品
【付与】 空き
やった!! それも【希少品】だ。予想通りの高ランク品の完成だ。
よし、試しに着てみよう。
ん? 着た瞬間なんか急にサイズが変わった気がするぞ?
『はい、その通りです。【匠創魔法】で創られた装備品は装備する人に合わせて自動的にサイズが変わります』
マジか!! 魔法でピッタリサイズを作るのは難しそうだから何度か試しながら作らないと、って思っていたからすごくありがたいな。
これならサイズは気にせずガンガン作っていけるな。
それから次に作ったのが革パンだ。
【名称】 黒巨鬼の革パン+2
【ランク】希少品
【付与】 空き 空き
品質が+2になっている。良い出来だ。
では、履いてみるか。
うん、こちらもピッタリサイズに自動変更された。
着心地もよく、何より動きやすい。こちらも想像以上の出来だ。
もちろん動きやすいだけでなく、物理攻撃や魔法攻撃に対してもかなりの耐性があるようだ。
よし、ここまでは思ったよりも出来がいい。ここからは防具関係に移ろう。
先ず革鎧だがトロール亜種の皮だけで作れるのか?【ロラ】教えてくれ。
『了解致しました。
革鎧関係には一部金属も使われております。作成の際には何かしらのインゴットが必要になります』
金属素材がいるのか。持ち合わせがないから買ってこないとダメかな。
『【匠創魔法】には【治金】スキルが組み込まれています。それにより【匠創魔法】を使用すれば【神倉】に収納されている使わない鉄の装備品から鉄のインゴットを創り出すことが可能です』
なるほど、それなら今後も使わなくなった金属装備をインゴットにして再利用も可能なのか。
『はい、その通りです』
中々便利な機能だ。大いに利用して行こう。
てな訳で早速鉄の剣を5本取り出し【匠創魔法】で鉄のインゴットを作ってみました。
その結果……
【名称】 魔鋼のインゴット
【ランク】希少品
へ? 魔鋼のインゴット? 鉄のインゴットを作ったはずだけど。
確か魔鋼って高純度の魔鉱石からしか作れないはずだけど。
『はい、その通りです。ただ、マスターが【匠創魔法】で鉄のインゴットを作る際に多量の魔力が込められた為、高純度の魔鋼が出来たようです』
なるほど確か魔鉱石は魔素濃度の高い場所にある鉄鉱石が長い時間をかけて変質した物のはず。
【匠創魔法】は物質を魔法に依って変質させた為、本来は時間をかけて変質する物が魔法に依って魔力を込めたことより瞬時に魔力が馴染み変質したのだろう。
折角なのでこの魔鋼のインゴットでバスタードソードを作ってみるか。
と言う訳で『アイテムクリエイト』
で、これが出来ました。
【名称】 魔鋼のバスタードソード+2
【ランク】希少品
【付与】 空き 空き
うん、いい感じだ。今までの鋼のバスタードソードと比べても段違いだ。
もともと魔鋼の武器は魔力と親和性が高く、【魔装衣】という武器や防具に魔力を通して戦うスキルと相性がいい。もちろん俺の【闘鬼術】にも【魔装衣】は組み込まれているから充分効果的な武器に成る訳だ。
よし武器はこれで申し分ないな。では次は防具だ。
で、一式作りました。
【名称】 黒巨鬼の革鎧+2
【ランク】希少品
【付与】 空き 空き
【名称】 黒巨鬼の革ブーツ+1
【ランク】希少品
【付与】 空き
【名称】 黒巨鬼の革籠手+2
【ランク】希少品
【付与】 空き 空き
うん、素晴らしい出来だと思う。
ここから更に付与魔法を掛ければ完璧だ。
しかし今気がついたのだが、品質の+1や+2はその道具の品質だけでなく付与できる魔法の数も表しているようだ。
つまり+1なら付与出来るのは1つ、+2なら2つ、無印なら付与出来ず、と言った感じだ。
そんな訳でそれぞれに【付与魔法】を掛けてみました。
【名称】 黒巨鬼の革シャツ+1
【ランク】希少品
【付与】 斬撃耐性+3
【名称】 黒巨鬼の革パン+2
【ランク】希少品
【付与】 瞬発力強化+3 斬撃耐性+2
【名称】 魔鋼のバスタードソード+2
【ランク】希少品
【付与】 斬撃強化+3 光属性+2
【名称】 黒巨鬼の革鎧+2
【ランク】希少品
【付与】 斬撃耐性+3 打撃耐性+3
【名称】 黒巨鬼の革ブーツ+1
【ランク】希少品
【付与】 瞬発力強化+2
【名称】 黒巨鬼の革籠手+2
【ランク】希少品
【付与】 斬撃耐性+3 筋力強化+2
まぁ、最初だからこんなものだろう。
それから黒巨鬼の革シャツと黒巨鬼の革パンの予備を2セット作って今日の装備作成は終了した。
【匠創魔法】はかなり有効なスキルだから時間がある時はポーションなどを作ってレベルアップに励もう。
装備も充実したし、お金にも余裕が出たから明日は早速奴隷商に向かおう。
しかし今日は疲れた。鬼退治に装備作成と肉体的にも精神的にも疲れた。こんな日は温泉入りたいな、リヨン村が懐かしい。無いものは仕方ないので『クリーン』の魔法で身体をキレイにして明日備えて寝よ。
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【僕の装備は最強だけど自由過ぎる(仮)】
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