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第16話 鬼退治

ブックマーク&ポイントありがとう御座います。

 翌朝、朝食を済ませるとそのまま鬼退治の為、城門に向かう。


 ちなみに【転移魔法】を使えるのに何故、直接トロール&オーガの所まで転移しないかと言うと、それはマナー違反…………、ではなく、ある程度の規模以上の都市には、不法侵入や魔物の侵入を防ぐ為、結界が張られている。その為【転移魔法】で街の出入りが出来ないようになっているからだ。


 そんな訳で一度街を出る必要があるのだ。ついでに言うと街の中だけで転移する事は問題なく出来るが、マナー的にあまり好ましくない。使うなら自宅に帰る時くらいだろうか。



 それはさておき、朝でも城門付近は相変わらず混雑している。


 城門は6時の鐘と共に開門され、夜の10時に閉門される。


 昨日の内に街に入れなかったものが城門前で野営をして朝の開門を待っており、開門と同時に街に入ってくるため朝は特に混雑するようだ。


 俺はその混雑した城門から入って来た幌馬車を何気なしに目で追っていると、馬車に中に乗っていた1人の少女と目が合った。


 肩まで伸びたふんわりミディアムヘアーの美しい空色の髪と、あまりにも整った顔立ちがまるで美の精霊を思わせる犬耳美少女だ。


 思わず彼女の事が気になり鑑定してしまった。

 

 【名前】 ウェンディ  【年齢】 15歳

 【種族】 狼人族(エレメンタルハーフ)      

 【職種】 奴隷(所有:レべロ商会)

 【レベル】3/23『封印』(D/B+『封印』)

 【状態】 封魔の呪い:ステータス低下及びスキル封印



 ……?! なんだこの鑑定結果。レベルと素質ランクが2つ表示されている。こんなの初めて見た。

 間違いなく【状態】の『封魔の呪い』が原因だろう。馬車が角を曲がって行ってしまったのでスキル欄までは見る事が出来なかったが、おそらくスキルすべてが封印状態になっているのだろう。


 【職種】を見る限りレベロ商会の奴隷となっていた。

 レベロ商会はウインザー王国でも1・2を争う商会で、奴隷商としても、最大手になる。エルセンにもレベロ商会の奴隷販売店が有るから彼女もおそらくそこで売られることになるのだろう。


 しかし、彼女の事が気になるが、俺の今までの生活から考えると、奴隷を持つイメージが全く出来ないからな。

 盗賊退治で充分余裕は有るから買えない事はないと思うけど。


 取りあえず鬼退治の後で考えるとしよう。呪い持ちみたいだからすぐには売れる事は無いだろうし、慌てる事は無いな。


 

 その後、城門を出てからトロール&オーガの所に設定した【マーカー】で、周辺状況をチェックして【転移魔法】で現地に到着した。

 



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 目的地に到着。

いよいよ作戦開始だが、先ずは魔物の現戦力を確認していく。

 

 トロール亜種1体:レベル40(B)

 トロール4体:レベル33×1・32×3(C)

 オーガ24体:レベル23~25(C)


 前回来た時よりもオーガの数が3体増えている。まぁ、オーガなら誤差の範囲で済むだろう。


 今回は今までみたいに色々試した戦闘をするのではなく、全力で戦闘を行い俺がどこまで戦えるのかを見る事にする。


 【闘鬼術】で身体能力を上昇させ、【付与魔法】で武器に斬撃強化の魔法を、防具に物理耐性強化の魔法を掛けていく。更には【結界魔法】の『フィジックス・シールド』で身体全体に防御壁の膜を創る。


 準備完了だ。一度大きく深呼吸をして気持ちの準備も整える。



 よし! いくぞ!!!


 心の中で気合をいれて、先制攻撃に魔力多めの『ファイヤー・ボール』を3発撃ち込む。

 『ファイヤー・ボール』はオーガが集まっている場所に着弾し激しい爆発を引き起こす。その爆発に巻き込まれて5体のオーガが息絶える。

 想像以上の威力に俺自身若干驚きながら、今度は剣を抜き、群れに突撃していく。



 そこからは俺の無双状態となる。


 次から次に襲い掛かるオーガを一刀で屠り、更には魔法で殲滅していく。森の強者オーガがまるで最弱のゴブリンのように打倒されて行く。


 やがてレベルアップのメッセージが流れた頃、いよいよトロールが俺の前に立ちはだかった。


 トロールの怖さは巨体を活かしたパワー攻撃と思われがちだが、一番厄介なのは生半可な傷は一瞬で再生してしまう再生能力にある。トロールを倒すには一撃で息の根を絶つしかない。その為に一撃で首を刎ねる事が最も有効な手段になる。


 4m近い巨体だが今の俺の身体能力ならおそらく問題なく届くだろう。


 一気にトロールに突撃して間合いを詰める。

トロールのハンマー攻撃をジャンプして躱しそのまま一気に首を刈りとる。トロールの頭は刎ねとび、首から大量の血を噴水のように吹き出しながら、巨体が前のめりに倒れる。


 一息つく間もなく、他のトロールが俺の着地の隙をついて巨大な斧を振り下ろしてくる。それを剣で受け止める。激しい衝撃が両手に伝わるが、今の俺なら特に問題ない。


 押し返して反撃に移ろうとした時、左から別のトロールがこちらに迫ってきた。


 邪魔だな。取りあえずこれでも喰らっとけ!

 剣を右手のみに持ち直し右手だけでトロールの斧を抑え、左手で新たに襲ってきたトロールに魔法を放つ、『ライト・レーザー』


 左手から放たれた一条の光は、光の筋を残し襲い来るトロールの額に吸い込まれ拳大の穴を穿つ。


 こちらに走って来ていたトロールはまるで人形のようにその場で崩れ去った。

 その後方にある巨岩にもトロールと同じように拳大の穴を穿ち貫通している。


 ヤベー!! これは強力過ぎるな。

 あまりの威力に驚愕してしまう。

 この魔法は使う時と場所を考えないと周りを巻き込みそうだ。


 次に剣を再び両手持ちに切り替え、今まで鍔迫り合いを演じていたトロールを思いっきり弾き飛ばす。体勢を崩したトロールの首を刈るべく、トロールの頭部に向けて跳躍する。


 その時、一瞬嫌な予感がして視線を動かすと、そこには大剣を振り上げ今にも襲い掛かろうとしているトロール亜種の姿があった。

 

 さすがにこれはまずい!!

空中では反撃どころか碌な防御姿勢も取れない。


 迫りくる大剣と身体の間に無理矢理剣を割り込ませると激しい金属音が響き渡り俺は弾き飛ばされた。


 地面に平行して吹き飛び続け、何本もの木をへし折りながら岩に直撃してようやく止まった。


 『フィジックス・シールド』を張っていた為、大きなダメージを受けずに済んだが、さすがに今のは焦った。『フィジックス・シールド』を張っていなかったらと思うと冷汗が出てくる。


 追撃を掛けるべく、生き残っているオーガが一斉に俺に襲い掛かる。


 ザコは邪魔だ!

 両手を広げ、10個の『ファイヤー・ボール』を展開して、襲い来るオーガの群れに向け一気に解き放つ。


 10個の炎球は、朱色の帯を引きながら、オーガの群れに襲い掛かる。激しい爆発が周りを朱色に染め、オーガ達は断末魔の悲鳴すら上げる事も出来ず、命を奪われて行く。


 爆発が収まる頃には生き残っているオーガは1体もいなくなっていた。


 残る敵は、トロール亜種が1体とノーマルトロールが2体。


 この戦いの中何度かレベルアップのメッセージも流れている。

 ここまで来たらもう問題はないだろう。ここからは掃討戦だ。


 亜種の方はいまだに戦意を失っていないようだが、ノーマルの方は完全に脅えの色が見えている。

 それでも亜種がいる為、逃げずに留まれているのだろう。


 先に動いたのは亜種だ。一つ咆哮を上げ、大剣を振りかざし俺に突っ込んでくる。

 俺はそれを正面から受け止め弾き、返す刀で足を切り付ける。亜種はその傷を全く気にする様子も無く再び剣を振り下ろしてきた。

 その攻撃をバックステップで躱し、すぐに反撃に移ろうとしたが、左右からノーマルトロールが同時攻撃を仕掛けて来る。


 俺は右手の剣で右から来るトロールの攻撃を防ぎ、左から来るトロールには左手で『ライト・レーザー』を頭にお見舞いする。


 すぐに右のトロールにも止めを刺そうとしたところに、今度は亜種が剣を振り下ろしてくる。


 右手の剣はいまだノーマルトロール攻撃を抑えている。咄嗟に左手のバックラーで亜種の攻撃を止める。しかしバックラーはその攻撃に耐えきる事が出来ず、砕けてしまう。


 それを好機と見たトロール2体は武器を振り上げ攻撃を仕掛けてくる。

 巨大な剣と斧が俺に向かい振り下ろされる。


 激しい金属音が周りに響き渡る。

 巨大な斧は右手に握られた鋼のバスタードにより防ぎ、大剣は【神倉】から出し左手に握った鉄の剣で受け流す。


 そのまま鉄の剣を亜種に向けて投擲する。鉄の剣は亜種の肩に突き刺さり体勢を崩させる。


 そして空いた左手でノーマルトロールの眉間に向けて『ライト・レーザー』をブチ込む。

 その場で崩れゆく、ノーマルトロールに一瞥をくれて俺は亜種に突撃していく。


 体勢をなんとか立て直した亜種は俺を迎え撃つべく大剣を振り下ろす。

 唸り上げて襲い来る大剣を鋼のバスタードで迎撃し弾き飛ばす。そしてそのまま懐に潜り込み、一気に喉元に剣を突き上げる。


 亜種は直撃を受けるが、止めとはならず逆に殴り飛ばされる。


 ガラスが割れるような音と共に『フィジックス・シールド』が破壊され、俺は激しく地面に叩きつけられた。

 一瞬息が詰まり動きが止まったところに亜種は剣で追い打ちをかける。


 これは流石にヤバイ!! 身体よ動け、動け、動けー!!

 

 ガッキンンーーーー!!!

 剣が地面と叩く激しい音。

 視界に広がる血しぶき。


 意思が手足に届いたのか、剣が届くギリギリのタイミングで身体をそらすことでなんとか頭部への直撃を躱す。しかし肩を大きく斬り裂かれ傷口から血が噴き出す。


 ここだ!!


 肩の痛みに堪えながら、亜種の首に刺さる剣を掴み、一気に振り抜いた。

 亜種は首からは激しく血が噴き出す。

 しかし亜種はよろめきながらもまだ立ち続けている。


 これで止めだ!!!


 振り抜いた剣を切り返し、未だに繋がっている首に叩き込み一気に切断した。


 亜種の身体は3歩程後退するとそのまま巨木が倒れるように大の字に倒れた。


『レベルが上がりました』


 レベルアップのメッセージが流れ戦いは終わった事を伝えた。




 最後のはちょっと危なかったが、概ね予定通りだったかな。しかし、少し油断や過信が有ったことも否めない。反省しないとな。


 ちょっとした油断でいつ死ぬか分からないのだから……



 『ライトヒール』で傷を治した後、そんな反省をしつつ、トロール&オーガの死体を回収するのであった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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