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Endless.wonder  作者: 桜月


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有沢課長の溺愛と独占欲 前編

生きてます(笑)

前後まとめて更新します。

 旦那さまに、ハイエナ(と呼ばれる肉食獣女)がまとわりついているらしい。


 私は有沢(ありさわ)柚希(ゆずき)、旧姓吉岡(よしおか)柚希24歳。結婚して2年。旦那さまである有沢(ありさわ)真尋(まひろ)30歳が課長に昇格してからというもの、乙女ネットワークを通して元同僚達からの愚痴という名のリークが半端ない。そらもう、履歴書レベル以上の情報だったよ。


 犯罪歴とか交際歴とかどこで調べたんだ、恐るべし乙女ネットワーク。そしてこの交際歴がまた……まぁ、うん。ね。その情報によると、私が辞めてから採用した新人さんがなにかとやらかしているようだ。


 そして、この週末我が家に来襲するのだとか。なんでやねん(棒読み)




 もともと、週末に来てくれるのは旦那さまが営業課主任で、ご自身は総務の茜さんや企画課所属の旦那さまをもつ葵依ちゃん、開発課係長の奥さまの奏ちゃんと、企画課の金澤さんの奥さまの日色さんという奥さま方の集いだったはずなのだ。あと何人かいるんだけど、諸事情で今回はパスになった。残念。


 会社の休憩室で、日時の確認ついでに手土産の話で盛り上がってる所を盗み聞きされたらしく、若手男性社員を煽って(バレバレの)サプライズ(しかもバレてる時点でお粗末様)を決めたそうな。


 連絡もらって、思わず笑っちゃったよ。ないわー、と。その時点で今回の話をキャンセルしてもよかったんたけど、総務課3人娘と真尋が結託した結果、返り討ちの準備が整ったのさ。やれやれ。




 当日、早めの来訪を謝罪しつつ、わくわくとやってきた茜さん夫妻。同じくわくわくとした葵依ちゃんと苦笑いの井川さん夫妻。クールビューティーな奏ちゃんと滝さん夫妻はこっそりわくわくしてる模様。我関せずな金澤さんとドキドキしてるっぽい日色さん。かわいい。


 皆さま、それぞれお子さまを連れての来訪なので、リビングから危険なものは撤去済み。ローテーブルも片付けたラグの上に0歳から一歳前後の子供が5人。葵依ちゃんとこは双子さんなのだ。かんわいい!


 麻木コーポレーションには、託児所が新設されているので、みんな預けて復帰予定。和泉グループの次に、女性の離職率が少ない企業になったそうだ。まぁ、うちは専業ですね、はい。


 真尋サンの独占欲が半端ないせいです。はい。そらもう、はい。


「寝返り始めたんですけど、うつ伏せになったままうぐうぐやってるので、なんか怖くて」

「あー、息してる? とかなるよねぇ」

「苦しくはないみたいで、そのままきゃっきゃっしてるんですけど」

「転がりだしたら追いかけるの大変だよ。クッションで囲い作るとかしないと、どっかいっちゃうっす」

「中村のとこは二人だしねぇ」

「双子の神秘を身をもって体感中っすよー」

「やっぱり片方が泣くと片方も泣くんですか?」

「もちのろんっす。二人だけで通じあってて悲しくなるっす」

「……お疲れ」


 なるほど大変だわ。みんなそれぞれ転がったり座って遊んでたりするけど、いつお茶にしたらいいかなぁ。


「ところで、有沢課長は?」

「あー、下で待ち伏せを」

「なにそれ怖っ」

「ひとりで追い返しちゃうんじゃね?」

「そこでの行動見て判断するそうです」

「……叩き潰されちゃうんじゃね?」

「「「あー」」」


 納得なんだ、そこまで呆れられるほどなにしたんだ、ハイエナさん。


 そんなこんなで、赤ちゃんズのお世話を交代で見ながら(てか、男性陣に丸投げして)女性陣でお茶してたら、インターホンが鳴った。


 モニターには勝ち誇ったようなどや顔の女性と、ニヤニヤ笑う男性数人。


「どちらさまでしょう?」

『私、有沢課長に可愛がられております、熊田と申します。課長はご在宅でしょうか』


 挨拶はできるようだけど、問いかけじゃないあたり、確信犯だろうなぁ。てか、可愛がられておりますってなにさ。そこはお世話になっておりますじゃないのか。


「お約束があるとは聞いてませんが」

『課ちょ、』

『そんなこと言わないでくださいよぉう。真鍋主任がいるの知ってるんですよぉう』

『そうそーう、入れてくださいよぉう』


 男の間延びした口調にイラっとするのは私だけだろうか。いや、人にもよる。男をひとくくりにしちゃいけないが、しかし。後ろの奴も同様の口調とはこれいかに。


 今年の新人どうなってるの。てか、最近の人事課なにやってんの、おかしいのばっかじゃん。今の部長になってから縁故採用多いって聞いたけど、夏音さんに一報入れとかなきゃ。


「あれ、素ボケですか?」


 思わず呟いたら、茜さんが吹き出した。


「柚ちゃんったら、ステキ」

「課長相手にもあんな感じだな。見捨てられてるから注意もされないけどな」

「そりゃ末期ですねぇ」

『ちょっとー、なにこそこそしてんのぉ? 課長いないのぉ? 早く入れてよぉ』

「バカを招待する義理はない。常識学び直した上で幼稚園から入り直してこいや」

『まぁ、それでもまともになんてならないと思うけどね?』


 あ、しまった。つい本音がオブラートなしで駄々もれてしまった。そしてそれに返ったのは真尋の声。あ、観察終わったの。


『そんなわけだから、熊田くん以外は帰りなさい。俺の大事な柚希を見せたら減るからね』


「あれ、アウェイにお一人様ご招待アーンド完膚なきまでにすり潰すつもりだよねぇ」

「上げて落とす定番だね」


 井川夫妻がしみじみ頷いてるけど、ぬか喜びってことだね。うん、やるけどね。


 だから、喜んでる場合じゃないんだぞ、ハイエナさん?



 真尋と一緒に上がってきた(間延び野郎共は帰った。まぁ、その辺うろついてるだろうけど)ハイエナさんは、さっきまでのどや顔はどこへやら、真尋のシャツの裾をつかんでびくびくと上目遣いときた。


 しかも、真尋のスリッパはいてるし。それ、私とおそろいなんだけど。確かにもう来客用はなかったかもしれないけど、だからって他人の使うか?


「あ……」


 気づくの遅。もったいないけど捨てるか、あれ。


「真尋。そちらは?」


 声かけただけなのに、ビクッと震えて真尋の後ろに隠れた。てか、貴女に聞いてないけど。


「部下の熊田くん。今日はアポもなしに来たよ。ちょっと社会人として注意が必要かと思うんだけど、どうかな、滝?」

「そりゃ必要だな。真鍋の嫁さんもそう思うだろう?」

「あり得ませんねぇ。社会人としても、同じ女としてもないわぁ」

「そ、そんな……私、ただ課長に……っ」

「会社出たら課長じゃないっす。仲良くなきゃただの他人っす」

「中村、正論だけど違う」

「そもそも、有沢になんの用が? プライベート全て奥さんのためにしか使わない奴だぞ?」


 わぁ、フルボッコ。会社でもあんななのかな。てか、使えるの、あれ?


 栗色に染めたストレートの髪は横でシュシュ留め、ナチュラルに見せかけたフルメイクに隙はなし。潤んだ瞳はキラキラと。……お近づきになりたくないなぁ。


 対する私は、黒髪眼鏡の地味仕様。今日は赤ちゃんと遊ぶからとノーメイク。地味子は健在ですがなにか。


「ノーメイクでも負けないのは素材がいいからよねぇ」


 素材は遺伝なのでどうしようもないです茜さん。


「このぷるんとしたお肌。すべすべもちもちっすよ」


 赤ちゃんには叶いませんが葵依ちゃん。


「目もぱっちりだし、唇なんてなにもしてないのに艶々だし」


 自分だってノーメイクでも美少女でしょうが奏ちゃん。


「内面からの雰囲気だって大事ですよ? 見た目だけで騙される男は、自分も外面しか磨いてないって言うし」


 ほややんな見た目の割に結構鋭いナイフをお持ちですね日色さん。でもかわいい。


「そんな俺の愛しくてかわいくて大切で大事な妻にケンカ売ろうとしたんだ。覚悟はできてるね?」


 わぁ、揃い踏み。カッコいい。でも真鍋さんや。



 それ、私のセリフだから!!



スランプだなんて生意気にもかかわらず書けませんでした(トホホ)

ちまちま書いていきたいです。

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