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01.悪い予感はだいたい当たる

 森の中はいつもと変わらず静かで穏やかだ。しとしとと降る雨の音だけが微かに聞こえている。

 リーナは憂鬱だった。これから納品に行けばまとまったお金が入る。一枚のパンを朝昼晩と3回に分けなくてもいいし、欠片のような小さい石鹸を溶かしてしまわないよう細心の注意を払わなくてもよいというのに、家を出たくない。

 昨日の夜遅くにようやく完成した20枚の術符は12時までに届ける約束だ。道が泥濘(ぬかる)んでいても、徒歩なら2時間もかからない。これから家を出れば町まで充分間に合う。

 もともと外出が苦手なリーナにとってこれから向かうのが田舎の小さな町とはいえ、人が滅多に入らないこの森を出ることはなかなかに決心がいる。他人と接するときは何かと注意が必要なので、一人で静かに過ごすことが楽なのだ。けれど今は、()()()()()()()()()()()()。そんな不吉な予感が朝からずっと頭の中を巣くっていて、いつも以上に外出したくない。

 よりによって何で今日なんだか……。せめて天気だけでも良ければいいのに。

 けれど、窓の向こうに広がる灰色の雲は昨日の夜からせっせと雨を撒き続けていて要望に応えてくれそうにない。小さく溜息を吐くとリーナは古びた黒い外套を手に取った。



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