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スナイプ・ハント  作者: 柚希 ハル
真像編
63/74

7 年に一度の宴Ⅳ

 


 停電が起きる直前、深矢は海斗とともに会場の隅にいた。

 誰かと話そうにも知り合いはいないに等しく、人混みに入れば視線が痛い。だから輪から外れて隅で大人しくしているのが分相応だった。

 招待者の大学長(ボス)には挨拶しなければならないと思っていたが、彼の周囲の人が途切れることがないため、ただそれを遠巻きに眺めていた。


「海斗。五代幹部のそれぞれの名前、知ってるか?」


 深矢は隣で同じように会場を観察する海斗に問いかけた。


「いいや。組織の重役のプロフィールは公開されてないんだよ。名前すら知らない構成員も多いはずだ」


 そう答える海斗はどこか落ち着きがない。


「でも、幹部に就く前は名前があったんだよな?」

「そうだな」

「ということは、大学長(ボス)の名前を知る人はまだ多いのかもな。他の重役に比べて若いし」


 大学長(ボス)と顔を合わせたことは二回ある。二回も召集された査問会で見た五代幹部の中、大学長(ボス)は比較的若い方だった。


「……深矢お前、もしかして大学長(ボス)を疑ってるのか?」

 海斗が驚いた様子で深矢を見る。

「『権力者』って言葉が一番似合うだろ?」

「まぁ、確かにな」


 そう言って、海斗はまた視線を戻す。

 少し落ち着かないように。


 耐えかねて、深矢は海斗の顔を覗き込んだ。


「さっきから何を気にしてるんだ?」

「知らない方がいい」

「何だそれ」


 それから海斗の視線を追いかけるように、その先にあるものを確かめる。

 海斗が見ているのは――ボーイ?

 正確には、ボーイとして会場内に散らばっている青嶋(スパイ)学園の学生だ。


 すると観念したように、海斗は首を振った。


「あいつらはバイトしに来てるんじゃない。青嶋のフィールドワークで、何も起……」


 その瞬間だった。


 フッと、張り詰めた糸が切られたように、会場の照明が落ちた。




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