第八十六話 土と強欲のバジリスク
直しました
今日も俺は 大丈夫
あの約束を覚えている
何も持たないこの俺に
フルーレがくれた あの約束
俺にはもう この約束だけだ
この約束は 俺の物
この約束だけが 俺の物だ
見るものが全て 石になる世界
触れるものが全て 石になる世界で
フルーレだけが 俺にとって全てだった
だから俺はどうしても欲しい
それまで俺は 狂うわけにはいかない
覚えていることを 反芻して
あの世界のこと あの約束のこと
俺の持っている物は つまりは記憶だけ
それを 失くさないように 覚えている
それが続く限り 俺は大丈夫
覚えている 覚えている
あの約束を失くさない
あの約束を覚えている限り
俺は 何も失わない
俺は まだ狂ってはいない
大丈夫
大丈夫・・・
・・・・・・・
・・・・あ
来た
来た のか
ああ
ああ あああ
とうとう来た
とうとう来た
来た
来た
来た 来た 来た キた
キた キた キた キた キた キた キた
キたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキた
キたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキたキた
このヒをどれほどマちコがれたことか
あれからどれほどのツキヒをマったか
キがクルうのをコラえながら
オレはずっと このヒを マっていた
これでヤクソクが ハたされる
オボえている 覚えている
あの約束を 覚えている
覚えているから 大丈夫
この温もりは地球のものだ
地球から来た人間だ
これで約束が 果たされる
覚えている フルーレとの約束
約束だ
約束だ 約束だ
フルーレは言った
この手紙を届けて欲しいと
いつかこの世界に迷い込むであろう
あの世界の人間に
あの世界の者たちの手紙と
フルーレの手紙を 届けて欲しいと
覚えている
この約束が果たされるとき
フルーレは 心をくれると言った
見るもの全てが 石になる世界
触れるもの全てが 石になる世界で
ただひとつだけ石にならなかった フルーレ
冷たい石の世界
熱の感じられない世界
蛇となった俺の ピット器官には
フルーレは何よりも温かく感じられた
フルーレだけが 俺にとって全てだった
あの温もりだけが 全て
だから俺は どうしても欲しい
それを フルーレはくれると言った
覚えている あのヤクソクをオボえているぞ
キョウこそあのヤクソクは ハたされる
ダイジョウブ
まだ 大丈夫
狂おしいほど 欲しいモノ
フルーレ
今こそお前は 余す所無く俺の物になる
その温もりすらも 俺の物になる
フルーレの言ったとおりだよ
フルーレの心は 石になどならない
見ることもなければ 触れもしない
けれど あの約束を覚えている
俺が初めて 手に入れるモノ
あの約束が果たされるとき
俺は フルーレに その心を貰える
そうだ そうすれば
俺は初めて 何かを手に入れられる
ならばいつか 全てをも手に入れられる
フルーレが俺に教えてくれた
石以外のものを見る方法を
石以外のものに触れる方法を
俺はもう見ることも 触れることも出来る
石以外の全て 手に入れられる
だから俺は欲しくて堪らない
この世の全ては 俺の物
俺の物とは この世そのもの
けれど
俺はいつか 狂ってしまうだろう
フルーレに出会う前のように
そうすればまた 全ては石になる
俺は全てを 失ってしまう
けれど大丈夫
フルーレの心も 俺の物
見ることもなければ 触れもしない
何よりも 温かいもの
俺が狂っても フルーレの心は石になどならない
それが今こそ
あの温もりが 今こそ俺の物になる
大丈夫
大丈夫
あの約束を 覚えている
だから俺は 大丈夫
何度狂っても 大丈夫
この世の全ては 俺の物
俺の物とは この世そのもの




