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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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第三クールはスライム祭り!①

26日目の朝。


全身が痛い。


昨日は休みの筈だったのに、朝から夕方まではスターセイバーの特訓、晩メシ後はひたすら新しい武器の特訓…。


割と散々だったな。

昨日を思い出しながら食卓につく。


…あれ?皆は?


「あ、ハク。やっと起きたね。ブラウが飛びのっても起きなかったから、もう少し寝かせとこうって話になったんだよ」


相変わらず容赦ねぇな…。


疲れ切って寝てるヤツに飛び乗るとは…もうちょっとだけ、優しくして欲しい。


「早くご飯食べちゃいなよ。もうすぐ11時になっちゃうよ?ザイガン兵士長達が来る時間じゃない?」


そうか、引き継ぎ済ませてなかったな。


「兵士達の訓練さ、格闘の講師達に引き継ぐつもりなんだけど、グレイとゴール、どっちがいいと思う?」


とりあえず、ゼロにも意向を聞いてみる。


「わ~…どっちだろう。ん~…グレイかなぁ。一人はしっかりスキル教室に掛かりっきりの方がいいだろうし」


「分かった」


クロワッサンを頬張り、ミルクで流し込みながら、頷く。確かにグレイがいいかもな。 これから武闘大会に向けて訓練も厳しくなるだろうし、グレイの方が色々なタイプの修行方法を知っていそうだ。


何よりザイガン兵士長とムキムキ系獣人のゴールが揃うと、暑苦し過ぎて兵士達が可哀想だしな。


そうこうしているうちに、ザイガン兵士長率いる兵士達がやってきた。


途中でスキル教室に寄ったら、グレイも丁度ゴールに生徒を引き継いで手が空いたところだったらしい。


前に軽く説明した事があったから、グレイの方でもそろそろ引き継ぎがありそうだと踏んでいたようだ。


グレイと共に最後の訓練に向かう。


いや、兵士達もちょっとは格闘の型も出来てきたし、覚えの早いヤツは俺の攻撃を大分凌げるようになってきたよな。


グレイの指導のもと、しっかり頑張って欲しい。 少しだけ寂しい気もしたが、俺にはスターセイバーの特訓が待っている。


後をグレイに託し、俺はそっとその場をあとにした。



「あれ?早かったね」


30分程で戻ってきた俺に、ゼロが驚きの声をあげる。


「ああ、グレイに引き継いできた。俺はスターセイバーと新しい武器の特訓があるからな」


それを聞いて、ゼロはにっこりと笑う。

それから昼メシまで、俺達はみっちりスターセイバーの特訓を行った。


正直、これを本だけでマスターしたゼロは、マジで凄いと思う…。


昼メシも食って、いよいよ今日は、スライム・ロードのお披露目だ。


うちのスライム達はいつも一生懸命だから、こうしてちゃんと脚光を浴びるのは、俺としても嬉しいんだよ、なんだか。


今日のスライム・ロードお披露目が無事に済めばいいな、と思っていたら、開場直前、アライン王子が、エリカ姫とユリウスを伴ってやって来た。


「やあ、約束通りエリカも連れて来たよ。なんかスライム達がカフェの客からも人気出てるらしいね」


「ごきげんよう。お久しゅうございます」


くだけた感じのアライン王子と、久しぶりに会って、少し緊張気味のエリカ姫。


こうしていると、エリカ姫は本当に一見たおやかそうに見える。…まぁ実際はキレのある回し蹴りを放つおてんばだがな。


「スライム達の戦い方は、何となく可愛いんで、今日は気軽に楽しんで下さいね」


ゼロが優しく声をかけ、エリカ姫もコクコクと頷いている。うん、微笑ましい光景だな。



「皆さん、本日もギルド:クラウンの訓練施設へようこそ!本日はいつものダンジョンに加え、新たにスライム・ロードがオープンします!」


キーツのアナウンスが始まった。

俺達はアライン王子達をロイヤル席に案内し、マスタールームに戻る。


さあスライム達、頑張ってくれよ!


「スライム達と素晴らしい戦いを披露して貰うため、今回は特別な挑戦者をご用意致しました!」


ダンジョンに入ってきたのは、男3人、女1人。これは…。


「へへっ、このダンジョン、グリードが苦手なスライムばっかなんだってな!」


「どのモンスターも苦手なお前よりはマシだ。今度は足引っ張るなよ?」


男戦士に、美形の魔族魔術師。


「今度足引っ張ったら、もう一緒に連れて行かないからね?」


「アイカさん、それ、僕が困るんで、勘弁して下さい…」


女戦士と男盗賊。


以前キング・ロードで熱戦を繰り広げたパーティーだ。これは期待出来るんじゃないか?



4人のパーティーは、早速草原のフィールドに入って行く。


もちろんそこは、だだっ広い起伏のない草原に、スライム達が飛び跳ねている、なんとも平和な空間だ。


「…なんか、戦う気がしないわね」


「…ここら辺は、本当に普通のスライムとか、ポイズンスライムとかみたいだな」


スライム達は一生懸命アタックしているが、当然ながら相手にならない。魔術師でさえ、杖で物理攻撃って…ちゃんと相手してやってくれよ…。


ハラハラしながら見ていると、あっと言う間に草原の奥地まで進んでしまった。

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