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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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88/320

メンテナンスします!④

昼メシ後は定例の会議だ。応接室に集まって、この5日間の振り返りを行う。メンバーは前回と一緒。スラっちがいないだけだな。


「じゃあ、会議を始めます。いつもの流れで…オレンジ、カフェから報告してくれる?」


ゼロが口火を切ると、いつものごとくオレンジが元気よく立ち上がり、話し始める。


「はい!カフェは問題なしです!ダンジョン外での買い出しも順調です!」


「もちろん私めも絶好調でございますよ!」


「だね。いい感じだと思うよぉ」


ピアノ担当のイナバと司会のキーツも言葉を添える。


「二人は女の子達からプレゼント貰えるくらい馴染んでます!本当に順調ですよ!」


オレンジの言葉に、俺は一瞬固まった。


マジで?

プレゼントなんか貰っちゃってるのか…。

羨まし過ぎる…。


イナバは得意満面だが、キーツは申し訳なさそうだ。ここは触れないでおこう。


羨ましいが!


「じゃ、次はダンジョンの店ね」


ゼロに促され、店代表のホビットが立ち上がる。


「問題っちゅう問題じゃねぇんだが、炎だの雷だの特殊効果がある武器目当ての挑戦者が増えたんだぁ。ドワーフのじいちゃん達も頑張ってっけど、おっつかねぇなぁ」


「そっかぁ…」


ゼロは考えこんでいる。ドワーフを増やすかどうか、考えてるのかも知れない。


「まぁ人気はあるだろうが、量産すんのは、あんまり勧められねぇけどなぁ」


ゼロの考えを見越したように、カエンが釘をさした。


「えっ?どうして?」


「そういう便利な武器に頼り過ぎると、本当の実力があがらねぇからなぁ。まあ、稀少価値がある程度に作る方が賢明だぜぇ?」


なるほど。そうかも知れない。

ゼロも大きく頷いている。


「そっか、そうだよね。元々駆け出し冒険者を鍛えるためのダンジョンなんだもんね。あんまり強力な武器、手軽に買えちゃダメだよね」


さすが年の功。カエンの一言で、ダンジョンの店の品揃えは、増やし過ぎない方向で決着がついた。



話が一段落したところで、ホビットが何か包みを取り出す。


「そう言やぁ、今回も届け物があるんだぁ。ハクと、あと…こっちはグレイに、って言ってたなぁ」


「おーーー!!出来たか!!」


「試作品だから、まだ特殊効果はついてねぇってよぉ。それでとりあえず慣れとけって言うんだぁ」


「分かった!」


練習出来るだけでも、充分嬉しい!

ドワーフ爺さんに感謝だ!


「おっ!あの時話した武器かぁ!?あとで俺様にも見せろよ!!」


カエンも興味津々だ。

ああ!早く見たい!使ってみたい!でも、今はガマンだ。会議は大事だからな、集中、集中…。



「次、ご褒美ルームとスキル教室ね」


今度は知的美人エルフ、ミズキが立ち上がる。


「ご褒美ルームは前回同様、問題なしですわ。スキル教室は格闘講師としてグレイさんが入って、かなり生徒も増えましたわ」


うん、順調だな。


「それで、前回お願いした通り、講師を補充して欲しいんですわ」


ミズキが申し訳なさそうに訴える。


「そうだよね。あとは、格闘、斧、棒、銃…が、必須だったよね?」


「はい。スキルは複数ある方が望ましいですが…」


「分かった。明日、召喚するね」


ゼロは二つ返事で請け負って、最後にカエンを見た。


「カエンは何かある?アライン様はこの後来るんだよね?」


「ああ、3時くらいに来るって言ってたぜぇ。あと、ちっとギルドの方で気になる動きが出てきたなぁ」


「えっ…」


ゼロも驚いているが、俺も予想外だった。ぶっちゃけギルドはノーマークだ。


「いや、問題って程じゃないんだがな。観客が多いだけに、街で相当噂になってるみたいでなぁ。他のギルドに所属してるヤツが、自分達もチャレンジ出来ねぇかって聞いてくるんだわ」


それは…あの血の気の多そうなギルドマスター達は、面白くないだろう。 確かに気になる動きだ。


「ま、今んとこは断ってるから、大丈夫だけどなぁ。ま、気配情報ってヤツだ」


「そっ…か…。さっきの効果付き武器にしても、そういう意味でもやり過ぎない方がいいかもね」


ゼロの言葉に、ルリは小首を傾げた。


「どういう意味よ。武器となんか関係あったかしら」


ルリの怪訝な表情を見て、カエンは「やっぱ、こういう所は、ガキでも人間の方が察しがいいなぁ」と失礼な事を言いつつ、笑っている。


当然ルリもゼロも、ムッとした顔だが…それくらいでカエン様の笑いは収まらない。気が済むまで笑った後「ま、極力目立たねぇようにしてくれよ?程々が一番だ」と妙に人間くさい事を言うカエン。


「やっかみ程面倒なモンはねぇからなぁ。ここにだけある武器。訓練施設。王室のバックアップ。妬みのタネは今でも充分過ぎる。これ位にしとけ」


含蓄がある。


さすが、王室の守護龍ともなると、人間の心の機微にも精通してるんだな。

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先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

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