今日は休日!④
「あんた達も閉じこもってないで、これくらい元気に外に出ればいいのよ」
「…外には出てないけど、僕達も結構充実した一日だったよ?魔法も覚えたし、格闘の講師も召喚したし」
ルリのお小言に、不服そうに呟いたゼロ。皆が一斉に「えっ!?」と驚いた。
「格闘の講師、召喚したの!?」
そうか…言ってなかったよな。
紳士然としたグレイについて軽く説明すると、皆揃って見たい、見たいと騒ぎだした。
「お初にお目にかかります。グレイと申します。以後、お見知りおきください」
丁重に頭を下げるグレイ。
「へえ、土龍の龍人か。あんた、なかなか鍛えたクチだろう?強い匂いがプンプンするぜぇ?」
カエンがニヤニヤとツッコむ。
「あなたに比べたら、赤子も同然ですよ。レベルも1に戻っていますからね」
「へえ、相当レベル高かっただろうに、なんで召喚になんか応じたんだ?」
遠慮なしに踏み込むカエンに、グレイは苦笑ぎみに答えた。
「大切にお守りしてきた主と死に別れたもので…またお守り出来る主になる方を探していたのです」
そうか。土龍は忠義に篤いヤツが多い。グレイもきっと、主にずっと尽くして来たんだろう。
「叶うならお側でお世話が出来れば嬉しいんですがね、わが主」
グレイのお願いに、ゼロはあたふたしている。悪いヤツじゃないと思うけど…執事みたいにいつでも側に控えて、生活を牛耳られそうだな。あんまり褒められた生活態度じゃない俺は、ぶっちゃけ気乗りがしない。
「おー!いいじゃねぇか!お前らガキにゃあ丁度いい躾役だ。ちゃんとしたオトナに面倒見て貰え」
カエンが無責任にけしかける。
「ええっ!でも、格闘講師として召喚したんでしょう?講師もして くれないと、あの子達が納得しないわよ」
ルリが慌てた様子で遮ってきた。
ああ、エルフ達ね…。
格闘講師が来て、すげぇ喜んでたもんな。そりゃ納得しないだろう。
「う~ん…じゃあ、基本モニタールームで、午前中だけスキル教室に出勤するようにしようか」
唸った末、ゼロはどっちの気持ちもなんとか汲み取れる折衷案を弾き出す。マスターもまぁまぁ大変だ。
マスタールームのメンツがまた一人増え、俺達は早速一緒にメシを食いながら、色々な話で盛り上がった。
メシの後は各自訓練の時間に充てると聞いて、グレイは軽く驚く。前のマスターは病弱で、1日の大半はベッドにいたそうだ。それに比べたら俺達は活動的だもんな…。
その日は俺はカエンに、ゼロはグレイに、稽古を付けてもらう。
ゼロ、俺のスターセイバー、頼むから忘れないでくれよ…?




