表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/320

5日間で得たものは?④

ひとしきり皆で笑った後、ゼロが俺のダンジョンの説明に入る。


「えーっと最後のダンジョンは、真面目に高レベル用を造ろうと思ってて、ボスはハクね」


黙って頷く。


「で、ここは地形を迷ってて。地形ダメージとかでどうかなーとは思うんだけど」


「ぜーんぶ詰めちゃえば?マグマに氷、毒に瘴気…。色々あるじゃない?」


「魔法が使えないのは、地味ですがかなりの痛手ですわよ?」


「霧で方向感覚なくすとか?」


さっきのアイディアラッシュですっかり頭が柔らかくなってしまったらしい。あまりにアイディアが出過ぎて、結果決まらなかった。ゼロが持ち帰って、再度検討する事にする。


「皆のおかげで、また造りたいダンジョンのイメージも沢山出来たよ。ありがとう!」


ゼロも嬉しそうだが、会議に参加したメンバーも、皆楽しそうだ。


「えっとね、この3つのダンジョンがオープンしたら、人員の補充が必要なとこも出てくると思うから、その時は言ってね」


会議はなごやかに終わり、俺達はマスタールームに戻った。



戻るなり、モニターに映る衝撃映像に、固まる俺達。


なに…?

何がおこってるんだ、これは…?



モニターに映っているのは、数え切れない程のスライム達。メイジもホーリーもメタルアシッドも、スライム属は全部集結しているようだ。


スラっちと思しき七色にビカビカ光るスライムが飛び上がると、後を追うように、全てのスライム達が一斉に飛び上がる。


なんだよ、この儀式は…。


「すげー、スラっちカッコいい!」


ブラウの言葉にハッとする。

そう言えば、こいつ、スライムの言葉が分かるとか言ってなかったか?


「スラっち…なんか言ってんのか?」


恐る恐る、尋ねる。


「なんか、スライム・ロードが出来るって。スライムだけのダンジョンだから、皆で頑張ろー的な?」


要は、決起会みたいな感じか?


その後も、ただプルプル、ぴょんぴょん、フルフルと動いているだけに見えるのに、色々なドラマがあったらしい。


スラっちが他のスライム達からスキルを覚えるには、一旦そのスキルで攻撃して貰うのが手っ取り早い。


尊敬するスラっちを攻撃したくないと、ごねるスライム達。アツく説得するスラっち。


…スライム界も大変らしい。




そして暫くの後…。

俺達は今、数体のスライムを前にしている。


ブラウによると、なんでも「どうしてもお願いしたい事がある」と、ゼロに直訴にきているらしい。


神妙な面持ちで、ゼロに何かを訴えるスライム達(多分)。…まぁ、見た目的には、単に皆して可愛いくプルプル揺れているだけだ。スライム属の中でも、最もシンプルな「スライム」ちゃん達。いったい何をお願いする気なんだか。


マスタールームの皆は、微笑ましい、といった表情で、ニコニコと見ている。大体のおねだりなら、簡単に聞いて貰えそうだ。


「なんて言ってるの?」


ゼロがブラウに訊く。スライムの言葉が分かるのは、今のところブラウだけだから、今日は通訳だ。


「………」


いつになく口ごもり、言い辛そうにモジモジするブラウ。よっぽどデカいお願いなのか?


「怒らないから、まあ言ってみなよ」


極力軽い調子で促すゼロ。


チラチラ上目遣いでゼロを見ながら、やっと覚悟が出来たのか、ブラウが口を開く。


「えと…スライム・ロードが出来るから…。こいつら、強くなりたいって。錬金で、合成してくれって、言ってる」


その場の空気が凍りつく。

可愛さゼロ。グロいお願いだった… 。


「進化して、活躍してるのが羨ましいって。自分達以外にも、進化したがってるヤツはいっぱいいるって。……だから……」


この前怒られたのが堪えたのか、だんだんと声が小さくなるブラウ。


ゼロは頭を抱えている。


そりゃそうだろう。

自分の発案が元で出てきた話だ。無下にも出来ない。でも、元々錬金で生物合成もやらせたくない。


ジレンマだよな。


本人がやりたいって言うんだから、やらせりゃいいのに。こういうところはモンスターと人間の、感覚の大きな違いだな。


暫く黙って見ていると、ゼロは、諦めたように肩を落とした。


「僕が…」


ゼロが口を開くと、スライム達が一斉に期待に身を震わせる。


「僕が言いだしたせいだから、責任持って、凄いスライムに進化させる!」


おお!吹っ切った!


天井近くまで飛び上がり、喜びのジャンプを繰り返すスライム達。更には次々とゼロに飛びかかり、ぷにぷにと体を擦り付けている。


くすぐったいのか、ゼロは身を捩って爆笑。「た、助けて~」とは言ってるけど、危険も感じないから放置する。


これはアレか?

抱きついて頬擦りしてる感じなのか…? 多分、ありがとう的動きだろう。


思う存分感謝の意を示した後、スライム達は満足げに(多分)去って行った。


それにしても、彼らは一体、どんな進化をするんだろうな。


楽しみだ!




マーリンとブラウは早速錬金部屋に籠り、準備に入ったようだ。


スライム達のあの様子だと、すぐにでも進化したいみたいだし、確かに準備は早い方がいいだろうな。



「ハク~、カタログ取って~」


ゼロはベッドの上でぐったりしている。

笑い疲れたんだろう。


分厚いカタログを投げてやる。


「危なっ!」


避けた。

体力は無いけど、反射神経は悪くないんだな。変なところに感心する。


ゼロはルリに「エルフの皆に、どういう講師が欲しいか、詳しく聞いて来て?」と頼むと、自分はベッドに転がったまま、カタログを読み始めた。


なんとなく俺も、つられてゴロゴロ。


久しぶりだな。

こういうゆっくりした感じ。


この5日間、とにかく忙し過ぎた。

思わずウトウトする。気持ちいいな…。



…………。


はっ!


ヤバい、マジ寝してた!


「あ、起きたね。疲れてそうだったから、放っといたんだけど」


ゼロはまだカタログを読んでいた。


「悪りー、寝ちまってた。つーかゼロ、何熱心に調べてんだ?」


「ん?ああ、スライム達の合成候補を探してるんだよ」


ノリノリじゃねぇか…。


「最終的には、どんな能力が欲しいかとか、何と合成されたいかって、本人に決めて貰うけどさ。ものによってはポイントの関係で無理って事もあるからね」


なるほど。

これからダンジョンも改造予定だしな。そんなに予算もかけられないかも…。


「ヤバ!!」


突然、ゼロがガバッと飛び起きる。


「ドワーフのお爺さんに、お礼言ってなかった!」


猛ダッシュでダンジョンに消えるゼロ。

取り残されてポカンとする俺。


……なんだよ。

なんだか面白くない。


ちょっと不貞腐れぎみにカタログをペラペラめくってたら、面白いものを見つけた。


何気なくモンスターの項目を見ていたら、なんと龍人(白龍)のページが増えて、クラスチェンジ情報が付加されてる!


なんか情報の開示条件でも満たしたのかも知れない。


とにかく夢中で読む。


正直、スラっちに比べて大したスキルもないし、言いたくないが自分でも戦闘時の派手さがなさそうだと思ってたんだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ