表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/320

そろそろボス戦①

「海の中に島があるでしょう?武器や防具を売っているわ」


「珍しい武器なのか?」


戦士が食いつく。

そう言えば、メタルアシッドスライムのせいで大剣が錆びたとか言ってたな。


でも、島に渡ったりしたら、タイムアウトの可能性、高すぎないか?ここまで来たら、俺としても、ぜひ戦いたい!


彼らがボス戦を選んでくれるよう、真剣に祈る。選ぶのはあくまで冒険者達だし…俺は、祈るくらいしかできない。


ダンジョンのボスも、意外と不自由なもんなんだな。


俺の気持ちも知らず、マーメイドは華やかに笑って殺し文句を口にする。


「もちろん特殊効果付きの、珍しい武器や防具よ。こんな所で、マーメイドが売ってるくらいですもの。…もちろん、泳いで渡って貰うから、危険は付きものよ。海の中にもモンスターはいるから…」


う~~~ん、と悩みだす冒険者達。



「武器買おうぜ!俺の大剣、かなりヤバくなってきたし」


「でも時間的にクリア出来なくなるんじゃない?」


「けどさ、メイももう魔力が切れかけてるじゃん。今ボスと戦っても勝てねぇだろ」


「…でも、少しでも戦っておけば、ボス戦のヒントは掴める…。次、倒すためにも」


アーチャーが怖い事を言っている。


…そうか、冒険者と戦う度に、対策を練られるわけか。しかも、モニターの前のヤツらにも、ついでに情報が公開されてしまう。


結構プレッシャーだな。


「確かにボスの情報も大事だが、珍しい武器や防具があるなら、そっちを優先すべきだな。…純粋に攻撃力も守備力も、底上げできる」


「武器買おうぜぇ!まだ誰も持ってない武器かも知れないじゃん!なぁ、頼むよ~!」


堅実な女達と、ただ武器が欲しいだけの男達の争いっぽくも見えてきたな…。


「もう、しょうがないな~。店に寄ってもいいけどさぁ、泳ぐんだよ?防具とかどうするわけ?」


僧侶が呆れたように問いかける。


案内役のマーメイドが、助け舟をだした。


「全員で行かなくても、大丈夫ですよ?もちろん戦闘は厳しくなりますが」


それを聞いて、男達は潔く脱ぎ始める。


「俺とシンで行ってくる。メイとマールはここで援護してくれ」


確かに、残るのは僧侶とアーチャー。遠距離での援護も可能だ。


男達は手早く上半身まで裸になると、ベルトに1本ずつナイフを帯びて、海に飛び込んだ。


こうなったら、出来るだけ早く買い物を済ませて、戻ってきてくれ!俺のデビュー戦はお前達の泳ぎにかかっている!


隣でルリが「往生際が悪いわね。ぶっちゃけ、もうボス戦はないわよ?」とか言っているが、俺は最後まで諦めない!


頑張れ、シン!

頑張れ、名前わからんチャラい戦士!


俺の勝手な応援を受けて、ヤツらは見事なクロールでぐんぐん進んでいく。海も遠いこの街に住んでる割に、なかなかやるじゃねぇか!



「ねぇゼロ、プリンス・ロードの2人、HPもMPもギリギリだけど、なんかスラっちのトコに辿りついちゃったわ」


ルリが呆れたように報告した。


なんと、毒に侵された戦士と、それを回復し続けてMPが既にない魔術師の2人、ついにボス戦にこぎつけたのか。


確かに意外だ。

いや、ここは、さすがレベル12と言うべきか。


「へぇー、頑張ったねぇ」


ゼロは感心したように言うと、早速アナウンスを始める。


「プリンス・ロード挑戦中のパーティーが、ボス戦に挑みます!皆さん、ぜひご注目下さい!」


しかし、冒険者2人は冴えない表情だ。


「……マジで……?」


「…さっきのオモチャの矢といい、かなりバカにされてる気がするのは、オレだけかい?」


冒険者達もカフェも、ブーイングの嵐だ。


……え?

この反応、なに…?


スラっちがボスだから?

見た目ショボいスライムだから…?


冒険者と観客達の思わぬ反応に、マスタールームには沈黙が落ちた。



その子、強いんです!

実力はうちのダンジョンの中でもトップクラスなんです!


…と言ってもムダだろう。

俺達は衝撃と共に理解した。


『ボスは強そうな見た目が大事』



誰か救援に行かせたくても、強そうなヤツも怖そうなヤツもいない。


ゼロのダメフィルター:怖い、キライ、気持ち悪い、にひっかかったモンスターは、ことごとく排除してきたからだ。


うちのダンジョンには、ほどほど温和な見た目のヤツしかいねぇんだよ、そもそも…。


まさかこんなところで、ダメフィルターのしっぺ返しを受けようとは…。



けしてバカにしてる訳じゃないんだが…。


冒険者の2人には申し訳ないが、スラっちと戦って貰うしかない。


なす術もなく、プリンス・ロードのボス戦が始まった。



「瞬殺じゃあぁぁ~~~!」


殺気だった冒険者達が、スラっちに襲いかかる。


瞬殺だぁ?

さすがにちょっとカチンと来たぞ。


言っとくが、スラっちは本気で強い。


行け!スラっち!

お前の真価を見せてやれ!



冒険者達の剣と杖がスラっちに突き刺さる。


…と思ったら、ボヨ~~ンというマヌケな音を発しながら、冒険者達が跳ね返された。


…防御力が高いのにも、色々あるんだな…。


「なんだぁ?こいつ!」


「何!?今の!超ムカつくんですけど!」


どうやら冒険者達の神経を、かなり逆なでしてしまったようだ。


スラっちは、プルプルっと震えたかと思うと、炎を吐いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ