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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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33/320

いよいよプレオープン

9日目の朝。


昨日とは打って変わって、妙に落ち着いた朝食だ。まあ、客がくるのは昼からだしな。それまでは、それぞれ持ち場の最終点検をする事になっている。


普通で当たり前だが、せっかく早起きしたのに…拍子抜けだ。しかも、なぜかダンジョンのオープンと関連性薄そうな話に聞こえるけど…どうなってんだ?


「畑とかなんとか聞こえっけど、なんの話?」


「あ、おはよ。いや、マーリンが錬金術で使う素材を自家栽培したいんだって」


「はい。素材の召喚もばかになりませんし。私、薬品系の錬金が得意なんで、素材から作れば、錬金サイクルも、作れる薬の幅も広がるんですぅ」


ああ…ブラウの称号に昨日相当凹んでたからなぁ。マーリンなりに思うところがあったんだろう。




「実は昨日、兵士の人達が20人も来たおかげで、ポイントは余裕あるんだよね。どんなのがいいの?」


「あの…錬金術用の特殊な苗床があるので、もしそれがダンジョンに作れるなら…」


造る方向で話は纏まりそうだな。

第一、ゼロは錬金術的実験のためなら、なんでもOKなんじゃないだろうか。


黙々と朝メシを食ってたら、ゼロから「聞いてる!?」と怒られた。ボンヤリしてたのがバレたらしい。朝はな…弱いんだよ。


「今、錬金用の苗床、大部屋1つ分造る事になってるからね?」


なんだよ、その後で文句言わないでね、的な目は…。


マーリンは「もちろん苗も同時購入ですぅ」と、嬉しそう。


「ああ…、いいんじゃねぇの?」と答えると、ゼロは間髪入れずに苗床部屋を召喚した。


相変わらず、俺の了解は一応とろうと思っているらしい。うちのマスターは本当に素直だな。


さりげなく「成長促進:最強」が入ってるけどな。まぁ、そこはツッコまない。


「ゼロ様っ!ありがとうございましたぁ!」


素早く礼を言うと、マーリンはブラウを連れて、部屋に籠ってしまった。


返事をする隙もなかったな…。

あの真っ白いチュチュで、これから畑仕事をする気なんだろうか。


「カエン、そろそろギルドに戻らなくて大丈夫?」


「ああ、そうだな。そろそろ行くか。あっ…と、今日はダンジョンのプレオープンには俺様も立ちあうから」


有難く思えよ?と、カエンはニヤニヤしている。


「へ?ギルドはいいのか?」


俺はつい、間抜けな声を出してしまった。


「やっとバイトが見つかったんでなぁ。明日っからは、もうちょいダンジョンに入り浸れるぜぇ?」


「ホント!?やったぁ!」


素直に喜ぶゼロ。


「えっ?マジで!?」


一抹の不安がよぎる俺。

今日こそ空気のようだったが、大体一番騒がしいのはカエンだ。

主に笑い声。


うるさくなりそうだ…。


ニヤニヤ笑いのまま、無言で俺にアイアンクローをかまし、カエンはギルドに戻って行った。


今のは俺、声に出してなかったぞ!?


ルリには「バカねぇ」と笑われ、ゼロには「もう…」と呆れられる。ペロペロ舐めて慰めてくれるのはユキだけだ。


さすが癒し要員。



朝っぱらからのアイアンクローに凹む俺をよそに、ゼロは再びコアに向かっている。


「よし、じゃ今日も新着チェックからね」


ゆうべ見たばっかだったよな…。

それでも新着ってあるもんなんだな。


『ハクが、新たなスキルを入手しました』


『ハクが、新たな称号を入手しました』


『条件を満たしたため、新たなモンスターが召喚可能となりました』


『分裂によりスライムが3匹、スライムメイジが1匹増えました』


スラっち、分裂した!?


無言でダッシュしたルリは、2匹のスライムメイジを抱えて帰って来た。


「ふ…増えてた!」


すげー…。

いや、当たり前だよな。

スライム属が分裂するのなんて。


なぜか驚いてしまったが、早速ステータスを見てみるか。



名前:ノーネーム

LV:1

種族:スライムメイジ

性別:不明

レア度:2


◆能力値

HP:485/485

MP:485/485

STR(筋力):485

VIT(耐久):485

INT(知力):485

MIN(精神):485

DEX(器用):485

AGI(敏捷):485

LUK(幸運):485


スキル:

・回復魔術

・下級火炎魔術

・開眼


称号:ー


▽スキル詳細。

《回復魔術》。回復魔術を扱う事が出来る。


《下級火炎魔術》。下級の火炎魔術を扱う事が出来る。


《開眼》。戦った相手のスキルを身につける事ができる。



え…これって、レベル1の時のスラっちのステータス、引き継いでる…?

プラス魔術は今覚えてる分…。


凄過ぎだろう。


「スラっち、凄いよ~!おかげで僕、いい事思いついた!」


ゼロは、新しく生まれたスライムメイジを高レベルのダンジョンに配置すると、上機嫌で俺達に経験値をいれ始める。


カエンや兵士20人分の撃退で稼いだ経験値。高レベルダンジョンのモンスター達を一様にレベル15に引き上げ、残りの大部分を俺に注ぐ。


今日のデビュー戦で一番ヤバいのは、ぶっちゃけ俺だからだ。


おかげで俺はレベル31まで上がった。これなら5人がかりで来られても、ギリギリ行ける…か?


ヤバそうだったらユキが助けてくれる事になっているが、出来れば自分だけでカタをつけたい。


ユキと打ち合わせている目の端で、ゼロはまだコアに向かって色々やっている。


暫くそうしていたゼロは、振り向いて「ハク、ステータス確認しといた方が良くない?」と言って来た。




そうだな、何か戦闘に役に立つスキルかもしれないもんな。


早速見てみる。


名前:ハク

LV:31

種族:龍人(白龍)

性別:オス

レア度:5

属性:聖


◆能力値

HP:3520/3520

MP:2320/2320

STR(筋力):1600

VIT(耐久):1420

INT(知力):1300

MIN(精神):1320

DEX(器用):1250

AGI(敏捷):1420

LUK(幸運):4170


スキル:

・中級白魔術、

・《NEW》中級聖魔術、

・《NEW》かばう、

・格闘、

・幸運、


称号:

・主の忠臣、

・大金星、

・《NEW》ナイト



▽スキル詳細。

『NEWスキルのみ表示』


《中級聖魔術》。下級から中級までの聖魔術を扱う事が出来る。


《かばう》。対象者の代わりに攻撃を受ける。



▽称号詳細。

『NEW称号のみ表示』


《ナイト》

・対象者の危機を救った者に与えられる称号。




新しい称号って…ナイト?


危機を救った…?


…え…まさか…あれか?

リリスを止めた、あれか?


あれで、ナイト?

最悪だ。全然命に別状あるシチュエーションじゃねぇし!悪いが本気で止めてもねぇし。


あの件でナイトの称号、かなり恥ずかしいよ…逆に。


しかも今日のデビュー戦で使える称号でも、スキルでもない。


踏んだり蹴ったりだ…。


いや待て、むしろカエンにバレなくて良かった。軽く10分程爆笑されるところだった!


ゼロもなんとなく気まずい顔で、特に触れない。


俺達は見なかった事にして、ダンジョンプレオープン前の最後の仕事、ダンジョンの制限時間の検討と、3つのダンジョンの名付けについて議論した。



いよいよプレオープンの時間がやって来た。


ギルドに繋がるデカい扉を開けると、思っていたよりも沢山の人々が流れ込んできた。


冒険者風の人もいれば、着飾った女の子達も、かと思えば店番の途中で抜け出して来たような仕事着全開のおっさんもいる。


「いらっしゃいませ!」


シルキーちゃん達の元気いっぱいの声が響き渡る。お客様を迎える笑顔はキラキラだ。


ローラも含め、今日は色違いのメイド服で、見た目も華やか。ちなみにナギもいっちょ前に執事服のような服を着せられている。


「皆様、本日は、ギルド「クラウン」の冒険者支援施設、体験ダンジョンへようこそ」


客が入ると同時に、スピーカーからゼロの声が流れる。


ダンジョンマスターが顔を曝すのは自殺行為だし、この施設の経営者はカエンだという事にして、ゼロは裏方に徹する事に決めたからだ。

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