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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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309/320

迷宮ダンジョンは仕掛けがいっぱい

「最初は数人並んで歩けるくらいの道幅の方が安心して進めるだろ? さすがに入りくらいはとっつき易い方がいいんじゃないか?」



なんてったって『迷宮』で、しかも冒険者達は『でたらめ錬金』で編み出されたヘンなもん達の洗礼をうけるわけだから、最初くらい優しくしてやりたいじゃないか。


みんなそれには異論が無いらしく、うんうんと頷いてくれている。



「それならば最初は灯りも多めが良いでしょうなぁ。古びて割れたような石造りの壁が続く様が視覚的に目に入るのも一興でしょう」



グレイが優しいのか酷いのか分らないことを言っている。



「徐々に道が細くなり、並んで歩けなくなってきた頃に灯りが明滅したりほの暗くなったり……あとは天井の高さが気づかないうちに低くなって歩きにくくなっていくのも結構堪えるものですよ」


「そうねえ、それもいいけれど……あたしならずーっとまっすぐに歩いてるのに、いつのまにか元の地点に戻ってたり、同じ景色や同じ曲がり角みたいな混乱するタイプの方がイヤかも」


「どっちもえげつねえな」



グレイとルリの応酬に割とげっそりした。たかが通路というそれだけで、よくそんなイヤなこと考えつくもんだな。



「ね、二人とも頼もしいよね」



そしてゼロはそんな二人を眺めてご満悦だ。



「まあでも今回は時間を気にせず迷ってもらって大丈夫だから、階層が違うところに設置すればなんだって入れられるし、考えつく限り言って貰って大丈夫だよー」


「冒険者が可哀想過ぎるんだが」



おっと、つい本音が。ゼロは呑気に言ってるけど、このダンジョンで永久に彷徨ったりしねえだろうな。ちょっと怖い。



「あら、だって悪意のあるダンジョンで死なないように鍛えなきゃいけないんでしょう? それなりに嫌ぁな仕掛けがふんだんに盛り込まれてないと」


「そうだろうけど、お前達が本気で作ると、このダンジョンから出られなくなる冒険者がでそうだなと思って」


「あ」


「ん? どうした?」



思わず苦い顔をしてしまったオレの横で、ゼロがはっとしたように顔を上げる。オレの顔をまじまじと見つめたゼロは「そうだよね」と呟いた。一人で納得されても俺的には今ひとつ意味が分らないんだが。



「ねえカエン」


「ん?」


「このダンジョンのスタンスを決めとかないといけないよね、きっと」


「ああ? どういう意味だ」


「えっと……なんて言えばいいのかな」



説明が難しいのか、ゼロはうーん……と呻っている。



「例えば一応何日くらいで攻略可能だとか、とにかく永遠に探索できるとか、死に戻り前提だとか」



死に戻り……って。確かにこのダンジョンは本当に死ぬわけじゃないからそれもアリなんだろうが、俺は嫌だな、そんなダンジョン。



「永遠に探索って……戻って来れねえんじゃ他のとこに派遣できねえだろ」


「そこはなんとでもなるよ。必要な時に強制的に出すことも出来るし、地下に潜っていくような仕様にして数階おきに街に戻れるワープゾーン作ってもいいし、割とどうとでもできるんだ。だからこそ、ダンジョンの規模感どうしようかなって思って」



ゼロの説明をきいて俺も納得がいった。



「あー、確かに規模感は重要かもな。カエン達が冒険者に色んなダンジョンを体験させたいんなら一個のダンジョンにかかりっきりにさせるのも良くないもんなぁ」


「あー、なるほどな」


「うん。それにどのくらいのレベルの冒険者がクリアできる設定にするかによって結構難易度変えなといけないし、宝箱とかトラップの頻度も調整が必要だよね」


「あー、それは簡単だ。レジェンドの爺さん達がギリでクリアできる難易度で頼む」


「なるほど。じゃあ上の方の階層は冒険者たちがそのレベルになれるように鍛えるためのモンスター配置とかトラップ配置にすればいいんだね」


「だな」


「トラップ配置なんかで鍛えられるもんなのか?」



思わず口をついて出てしまった。だってトラップなんて毒とか矢とかワープとか……レベルアップに関係するイメージがないんだが。



「うん、トラップって言っても色々あるから。解除の難易度を調整すれば解除スキルを鍛えることはもちろん出来るし、例えばワープトラップで魔物がわんさか出る部屋に送り込むこともできるし」


「ひえっ……心が折れる」


「折れない程度を目指さないといけないよね……だからそのさじ加減が大事だなって」


「なるほどな」



俺たちの話を聞いて、カエンも腕組みをしたままちょっと考え込む。やがて考えがまとまったのか、カエンは唇の端を上げてこう言った。



「数階おきに街に戻れるワープゾーンってのはナシだ。入ったら最後、死ぬかクリア。ダンジョンなんて体力も魔力も尽きたジリ貧で進むのが普通だろ」


「うん、まぁそうなんだけど」


「そのかわり宝箱の中身は少し豪勢にしてやってくれ。確かに心が折れねぇようにしないとな」


「ハイリスク・ハイリターンならやる気も出るものね」


「宝箱の中身なら任せてよ。ドワーフたちが作った武器や防具も沢山在るし、ブラウ達が錬金で作った面白い装備とかポーション系とか色々あるから。ね、ブラウ」


「おう! いっぱい作るから任せとけって!」



急に名前が出たブラウは嬉しそうにニカッと笑った。

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