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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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呼び込み、呼び込み!

8日目の朝。


今日はプレオープンを明日に控え、やる事が多いせいか、皆バタバタしている。俺もいつもよりは早く目覚めてしまった。


今日はギルドのテリトリー内を、ルリ先生引率で、20人がかりでチラシを配りまくる予定だ。いわゆる人海戦術という訳だ。朝の出勤の時間に効率良く配ろうと、既にメシを食って、出かけようとしている。


「ルリ、皆の事よろしくね。マーリン、ブラウ、手分けして皆をサポートしてあげてよ」


ダンジョンを出ての初仕事に、ゼロは心配げにあれこれ声をかけている。まぁ、ここは信じて送り出そう。


「行ってきまーす!」


ダンジョンから20人が一斉に出て行った。ちょっと寂しいかも知れない。


だが、俺達は寂しがってる場合じゃないんだ。メシを食いながら、カエンに昨日の王子様との話を、簡単に説明する。


「はぁ?騎士団長?カルアが来るのか」


「…名前は知らねぇけど…美人騎士団長。兵士20人と来て貰う予定だ」


「それまでに、王子様や王様のアイディアも入った練兵場を造っとく、って約束なんだ」


はぁ…、とカエンがため息をついた。


「そりゃあカルアが荒れそうだな。…面倒くせぇな」


やっぱり怖い人なんだろうか。

彼女の弱点だという、子供から説得して貰おうと簡単に考えてたけど、甘いんだろうか。カエンは「ま、他の方法よっか、成功確率高そうだし、頑張れよ」と言いおいて帰ってしまった。


なんか逃げたように感じるのは、気のせいだろうか…。


気にしていても仕方がない。

俺達は練兵場造りに取り掛かった。



元々の設計図の広さと設備は確保した上で、その外周に階段状の観客席を設けていく。臨場感重視でロイヤルファミリー席は1階の最上段に設けた。


闘技場と言っても、兵士達が御前試合をするイメージだから、あまり危険な事もないだろう。2階席も合わせると、だいたい200席くらいが用意出来た。


練兵場横に併設される、王様考案の「身体能力を総合的に高める部屋」は、現在ゼロが鋭意制作中だ。


「なんか僕、イメージある!」


と楽しそうに言ってたから、今は放っといて、俺は闘技場のチェックに専念。出来るだけ手分けして進めないと、間に合わないしな。


チェックを終えて、ゼロの様子を見に、身体能力強化部屋に向かう。


「ゼロ、出来たか?」


「うん!自信作!」


部屋を見た俺は、唖然とした。


「何、この拷問部屋…」


これこそ地獄の練兵場なんじゃないだろうか。ゼロは「酷いよ!」と怒っているが、酷いのはゼロの方だと思う。


丸くなった天井まで伸びる、ロッククライミング用の壁。ご丁寧に、自然岩や雪壁まで用意されている。部屋の中には、数々の得体の知れない機械が置かれているが、拷問器具にしか見えない。


すでにプールやシャワールームも併設されているようだが…。


「普通のスポーツジム並みのトレーニング機器しか設置してないよ?ランニングマシーンとか、ウエイトリフティングとか、サウナとか…。まあ、僕も使った事ないの多いけど…」


大丈夫か、それ!?

あんまりユリウスには見せたくない設備になってるが、気のせいか!?


「そう言えばさぁ、兵士の人達って、女の人どれ位いるのかなぁ。女の人用のシャワールームも要るよね、きっと」


ゼロにとっては本当に普通の設備なのか、もう別の事を考えている。


俺も深く考えず、後はもう王室の人達に任せよう…。なんか、疲れた。


「あっ、そう言えば、ご褒美ルームの露天風呂問題も解決してなかったな。女の人用、どうしたらいいと思う?」


「えっ?ああ…俺より、女性陣の意見聞いた方が良くないか?もう昼だし、そろそろ帰って来るんじゃねぇか?」


話しつつカフェに移動したら、ちょうど皆戻ってきたところだった。


「あっ、お帰り!どうだった?」


「楽しかった!」


「なんかお菓子貰ったの!」


ちびっこ達は素直で可愛いな。


「格好が違うだけでチヤホヤされるのな。ハッキリ言ってムカつくぜ」


ナギはやさぐれてるな…。少しずつこの環境に慣れていけるといいが。


ローラとトマスは元気いっぱい、マークは人見知りなせいか会話がなくて、どんな子供か実は少し心配だった。でも、無言でゼロに貰ったお菓子を分けてやっているところを見ると、普通に優しい子なんだろう。


一方大人陣はお疲れ気味だ。

特に、魔法が得意な知的エルフ達のダメージは尋常じゃない。


「笑顔の作り過ぎで表情筋が壊れそうです」


「人が多くて、人酔いしましたわ…」


エアルやミズキはまだグチる元気があるが、元々がおどおど系のコノハは、話す元気もなさそうだ。一番ダメージを受けてるっぽいのはエルフ達だな。これが年の差か…。


感想は様々なようだが、なんと全部配り終えたらしい。反応も上々だったようだ。


驚いたのは、女性は王子様から、男達(多分、冒険者だろう)はカエンから、ダンジョンの事を聞いていた人が多かったという事だ。


「ああ、あれね。行くよ、いつ?」と、話がトントン拍子に運ぶ事が少なくなかったらしい。知らないところで広報活動もやってくれていたとは、頭があがらない。感謝だな。


今日チラシを配りまくってくれたメンバーにも、とりあえず冷たい飲み物を作ってやって、暫く休んでもらう。


一息休んで、皆でメシを食っていたら、なんと王子様がやってきた。


え?予定より早くないか?


そして後ろから一緒に入って来た、ダンディな男性。誰なんだよ、この人…。




「悪いな。どうしても父上が、騎士団長よりも先に見たいって言うから」


父上…王様か!

そう言われれば、威厳があるようにも見える…か?


この親子、ロイヤルファミリーにしては、服装が普通過ぎる。王様もホント単にダンディなオジサマにしか見えないんだよな…。


まぁ、それはいいとして、王様ならば、出来たてホヤホヤの練兵場を案内せねばなるまい。地獄練兵場にどう反応するか、楽しみだ。



王子様に紹介され、ゼロがギクシャクと挨拶をする。


「あ、あの…ダンジョンを、王室公認にしていただいて、ありがとうございました。その…すごく嬉しくて、お礼、言いたいと思ってました」


「ああ、あれかね!私もカエンも、前々からダンジョンの事は研究したいと思っておった。渡りに船の状況ゆえ、気にする事はない」


王子様から予想はしていたが、やっぱり王様もフレンドリーだ。


「アラインと練兵場について詳細を話したのは、昨日だと聞いておる。さぁ、造ったものを見せてくれ」


王様に急かされ、挨拶もそこそこに、それこそ応接室に通す暇もなく、練兵場を案内するハメになってしまった。

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