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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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天族がいっぱい

「んー……じゃあ、ツバサ」


「ツバサ?」


「いや?」


「いや、それがいい!今までの中でなんか一番マトモ!」



満面の笑みで了承した天使くん。ラビちゃんもホッとしたように笑顔になった。



「えへへ良かった。翼、かっこよかったから」


「翼って、これ?」


「うん、かっこいい」


「そ、そう?」



ラビちゃんに素直に褒められてすっかり気をよくしたらしい天使くん、おだてられるがままに浮いてみたり旋回してみたりしていた。爽やかなイケメンだと思ったが、緊張が解れてきたら中身は以外とお調子者なのかも知れない。



「ラビ、そのくらいにしとけ」



ライオウがやれやれ、とでも言いたげに二人を止める。すっかりお目付け役的ポジションに収まってしまったのが若干憐れだ。



「本題。人型モンスターはどうなった?」



ライオウの一言に、ラビちゃんのうさ耳がぴーん!と伸びる。



「そう! そうでした! そっちが本題でした!」



慌ててダンジョンコアに駆け寄るラビちゃん。



「あっ、すごい!天族がビックリするくらい増えてますぅ!」


「なぁツバサ、天族なら人型が結構多いんじゃないか?」


「もちろん。っていうかほぼ人型だと思う」



その発言に、ラビちゃんの耳はもう、ピルピルと忙しなく動いて喜びを隠しきれない様子だ。うん、可愛いなぁ。



「見てください、ほら!レア度2が5種、レア度3が4種追加されてます♪」


「って事はツバサはレア度4か」


「あのっ、オススメ!オススメ教えてください!」



すっかり興奮してしまったらしいラビちゃんが、ずいっと天使くんに詰め寄った。



「オススメ? って、何のオススメ?」



そりゃいきなりそう言われても困るよな。



「人型として違和感がないのを教えて貰えると助かるな。さっきちょっと説明したが、このダンジョンは街として大きくなっていく予定だ。人に混じって住人として暮らして貰う事になるからな」



天使くんの最もな疑問には、ライオウが颯爽と答える。ただ、それを聞いた天使くんは明らかに困った顔をした。



「うわー、それ結構マズイかも。俺たちは基本天族っていう種族だから、羽根と輪っかがあるのがスタンダードなんだよ。レア度とかレベルが高くなってくると隠せるけど」


「今召喚できるレア度のヤツらは、基本翼は隠せないって事か」


「ああ、うーん、いたかなあ。ちょっとリスト見せてもらってもいいかな」



真剣にリストに向かう天使くんを眺めていたゼロが、不意に口を開いた。



「別にそのままでいいんじゃない?」


「えっ」



ラビちゃんが弾かれたように顔を上げる。



「でもでも、あんまりモンスターばっかりだったら、人間の皆さん不快じゃありませんか?」


「少なくとも不審には思いそうだよな」



ラビちゃんとライオウの心配も最もだ。そもそも今だって人が少ないだけに獣人比率高い状態だから、普通の村とは若干言い辛いと思う。それでも、ゼロは引かなかった。むしろちょっと楽しそうですらある。



「うん、でもさ。ここって将来的には『天空のリゾート』になるわけじゃない?天使が案内してくれる天空リゾートとか、なんかいい感じだと思うけど?」


「あっ……」


「これからどんどん生命の宿木だって大きくなって人じゃ扱いにくくなるわけだし、空飛べるメンバーが多いのは普通に助かるでしょ?」


「そりゃあ……そうかもな」


「確かに、ですね」



ラビちゃんもライオウも、予想外の提案になんだか考えこんでいる。



「天族だったら普通のモンスターと比べると忌避感少ないんじゃない?僕が前いたところじゃ天使って言ったら神様の御使い、って崇められてたけど」



ゼロの世界でもそうなのか。

でも確かに天使召喚、いいかもな。ルリだったら絶対にゴリ押し案件だと保証できるレベルだ。ここはひとつ、ルリのかわりに俺が一押ししてやろう。



「いいんじゃないか?人間含めて天族を崇めてる種族も多いはずだ」


「あ、やっぱりそうなんだ」


「俺らから見りゃ、天族は魔族と延々宗教戦争続けてるようなイメージだけどな」



いったん納得しかけたゼロは、俺の言葉に驚いたように顔をあげる。



「確かもういつ始まったのかも分からねえくらい昔から、ずっと戦ってるんじゃねえか?」



天使くんは困ったように笑い、ラビちゃんとライオウは二人して顔を見合わせてから頷いた。



「ただな、魔族は他の種族にもちょいちょい手を出すんだよ。面白半分で町を滅ぼすこともあるし、簡単に他の種族を攫ったり痛ぶったりするのもしょっちゅうで、天族はまたそれが許せねえってしゃしゃり出ていくわけだ」


「はあ……なんか、そんな感じ?」


「そんな感じだな。だから天族は力のない、魔族に虐げられるしかない種族にとってはまさに、崇拝すべき種族なんじゃねえか?」



窺うようにラビちゃんとライオウを見れば、二人は大きく頷いた。

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