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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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チビ達だけで闘えるかな?

「ええっ!?」


「む、無理だよぅ!」


「ばっ!ばかリプト、見殺しにする気かよっ!?」


真っ青な癖に強気な姿勢を崩さないツリ目のヤンチャ君。素直に謝ればいいのに…無理なんだろうなぁ。


うちのリザードソルジャー達も子供の相手は苦手なようで、人間には解り辛いだろうが結構困った顔をしている。


「バーカ、狩の練習に来てるんだ。俺が戦ったってしょーがねぇだろうが。死にゃあしねぇんだ、サッサと行ってやられてこい」


狩の練習!?

俺達のダンジョンは一体どういう扱いになってるんだ。獣人達の狩デビューに利用されてるとか、初耳だぞ?


「おにー!!」


「あくまー!!」


チビ獣人達の抗議の声を完全無視して、狼兄さんはツーンとソッポを向いてしまった。


空気を読んだリザードソルジャー達が悪者感全開でチビ獣人達に襲いかかる。


「グオオォォォッ!!」


大剣を振り上げてチビ獣人達に襲いかかるリザードソルジャー達は迫力満点だ。


ダンジョンの沽券に関わるからな、子供といえど手加減は許されない。やりずらいとしても、頑張れリザードソルジャー!


「うわぁぁぁ~!!!」


「助けて、リプト兄~!」


さすがはチビでも獣人だ。逃げ足だけは尋常じゃなく早い。勢いよく振り回されるリザードソルジャー達の剣を、ヒラリヒラリと避けている。てんでバラバラに避けるもんだから、意外と撹乱されて戦い辛そうだ。


「チクショー、ばかリプトっ!あ、あ、あ、謝るからっ!」


「アホか。謝らなくていい、訓練なんだから逃げてねえで戦えよ」


決死の覚悟でやっとこ謝ったのにつれなく返されて、ツリ目のヤンチャ君は「こんちくしょー!二度と謝らねーからなっ!」と捨て台詞を吐きながらリザードソルジャーに飛びかかっていった。


やっと覚悟ができたらしい。


「ちっくしょおぉぉぉ!!!」


ツリ目のチビ獣人が、渾身の力で殴りかかる。他のチビ達もそれを見て、わけのわからない声を上げながら、一斉にリザードソルジャー達に向かって行った。


…ていうか、みんな素手か?


そうか、獣人だから天然の爪があるし体術主体なのかも知れないな。


ただ逃げ惑っていたなんの統制もとれていないチビ獣人達が、いきなりがむしゃらに向かってくるのに、リザードソルジャー達も一瞬虚をつかれたようだ。


何発かパンチとキックをもらってしまったが、子供なだけに受けたダメージはさほど重くない。即座に体勢をたてなおし、さっきよりも明確な意志を持って剣を振り始めた。


「ちょ、わっ!?なんで俺ばっかり!!」


そう、ツリ目のヤンチャ君を狙っている。俺でもそうするだろう。明らかにヤンチャ君が他のチビ獣人達の核になってるからな。



「大人二人がかりとか!」


「ひきょーだぞ!!」


「なっちゃんを虐めるなっ!!」


マズい。チビ獣人達の心がひとつになった。


リザードソルジャー達の作戦にヒントを得たのか、一人に的を絞って四人がかりで攻撃し出したからたまらない。しかも子供だからかリザードソルジャーの方は上手く的を絞り切れずにいるようで、剣が空を切っている。


狼兄さんはヒュウ♪と軽く口笛を鳴らし、満足そうに頷いた。


チビ獣人達から、かなりボコボコに殴る蹴るの暴行を受けている相方を助けようと、もう一人のリザードソルジャーが群がるチビ獣人達に斬りかかる。


鮮血が散って、カフェからは女性陣の悲鳴があがった。


「パミュ!!」


「うう…っ、痛いよぅ…っ」


愛らしいドングリ目の女の子が、ヘタリと座り込んだ。…うわ、結構ザックリいったな。



「女の子に傷をつけるなんてサイテーなんだぞ!!」


こまっしゃくれた事言うなぁ。

第一ここはダンジョンだから、そんな事言われても困るんだが。リザードソルジャー、気にするなよ?


「謝れ!!」


「ワルモノはセイバイだ!!」


ドングリ目ちゃんを守るように円陣を組み、意外と強固な防御壁を形作っている。可愛いけど、戦うとなると意外と厄介だな。


リザードソルジャー達は互いに一瞬視線を交わし、チビ獣人達に斬りかかる。


「グガァァァァッ!!!」


「グオォォォォォォ!!!」


地響きのような唸り声をあげながら突進してくるリザードソルジャー達を、チビ獣人達が真っ青な顔で迎え討つ。


おいおい、そこは怖くても目ぇつぶっちゃまずくないか?


思わず心配した途端。


「はい、そこまでにしてやってー」

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